未公開株発行企業と国立がんセンターの関係

敬天新聞9月号

詐欺師同士はどこかでつながっている

 類は友を呼ぶ。若しくは、同じ穴の狢とも言うべきか。人様を騙して悪銭を掴もうとする輩は、自然と徒党を組むがために集まるようだ。悪党ならではの嗅覚で、美味しい餌を嗅ぎつけるのであろう。
 これ迄、幾度も本紙で取り上げてきた未公開株の悪徳販売業者「サクセスジャパン」の腰原信代表が、別件で追求していた同種の悪徳企業「ユーラス・ジェノミクス」(イチノツボ・ダナ・ヤスオ代表取締役=中央区銀座八丁目十八−四)に、取締役として潜り込んでいたのである。
 ただし、ユーラスでの腰原信の位置付けは、然程重要ではない。多少のお零れを頂戴しようと擦り寄ったか、裏に控える未公開株販売のカリスマ、西村博典の傀儡としてユーラスに送り込まれたといったところであろう。実際、一年余りの在任期間でユーラス社取締役を退任している。
 場数を踏んだ悪党の危険を察知する能力は正にドブネズミ並である。いち早く抜け出す素早さを見る限り、ユーラスは既に沈みかけた泥船だと判断してよいだろう。
 さて、悪党にも見切られるユーラスの現状は、典型的なペーパーカンパニーといえる。それでも、昨年の夏あたり迄は、唯一の売り物である企業株を売り捌いてはいた。
 そのネタが、米国デラウェア州にある「アンタラ・バイオサイエンス・インク」なる、米国本土はもとより何れの株式市場にも上場していない未公開企業である。

東芝…そしてまたも鈴木亜久里氏が被害

 しかし、このアンタラはそんじょ其処らの未公開企業とは質が違う。
 何と、我が国を代表する総合電気メーカーである「東芝」が、ユーラスと一千万ドル(十一億円)を共同出資して設立した、超優良企業だというから驚きだ。
 そんな企業の株が、出資者であるユーラス自らの営業によって、名も知れぬ一般市民に売りに出されたのか、全く以って不思議な話である。
 又、同社株を買ったとされる出資者のなかには、本紙でもお馴染み「ばんせい証券」と泥沼の訴訟に突入した元F1レーサー鈴木亜久里や、往年のアイドル近藤真彦が名を連ねているというが、本人をはじめ関係者が口を閉ざしている事から、真偽の程はさだかでない。
 何れにせよ、ユーラスが語るアンタラの企業概要が真実ならば、偶然にも株を手に入れた者は羨ましい果報者だといえる。しかし、そんな夢物語の儲け話など、当該企業とは一切無関係の一般人に舞い込む筈などないのである。
 やはりというべきか、ユーラスによるアンタラ未公開株の販売は、嘘で塗り固められた出資詐欺の疑いが濃厚だと言わざるを得ない。
 もし、鈴木亜久里がアンタラ株で一儲けして、レース資金の一部と借金の穴埋めにと考えていたとしたなら、哀れすぎてかける言葉もない。
 そもそも、アンタラ社の設立に東芝は何ら関与しておらず、当然のこと一円として東芝資本が注がれたという事実はないのである。
 現在、東芝とアンタラは係争中であることから、東芝も詳細を明かさずにいるが、アンタラによる脱法行為が争点であることは間違いない。
 近々にもユーラスとアンタラが仕掛けた未公開株販売の全容が暴かれるであろう。東芝は司直の場にてユーラスと対決することで、企業としての責任を果たそうとしている。又、アンタラ株を購入した個別の出資者らも順次、損害賠償・刑事告訴の動きを加速していく筈である。


国立がんセンターが悪用を黙認する理由

 ただし「ユーラス・アンタラ」対「被害者」といった対決の構図から、どっちつかずに傍観している者達がいる。
 それが、がん医療・研究の最高峰「国立がんセンター」である。ユーラスの事業企画と称する企業パンフには、東芝との偽りの共同事業が大々的に記されている。
 加えて、実務的な主たるパートナーとして、がんセンター前総長を筆頭に現役准教授(当時)を「ユーラスアドバイザー」に据えているとし、見方によれば国家的プロジェクトであるかのように標榜している。
 更には、がんセンターの前研究補助員十名、同博士課程学生五名をユーラス技術研究スタッフとして揃えているともしている。
 つまりは、東芝の莫大な資本をバックに、がんセンターの教授・医師・研究者そして学生までもが、ユーラスが未公開株販売を目的に設立したアンタラの為に働いていたということになる。
 しかし、常識からいって、公務員身分のがんセンター教授等が、いち民間企業のそれも如何わしい輩が支配する企業に、これ程まで深く関与するとは到底思えない。
 やはり、がんセンターも東芝と同様、出資者を誘き寄せる誘蛾灯の役目として、ユーラスに悪用されていたとするのが妥当であろう。
 しかし、がんセンター側のある人物が積極的にユーラスに協力し、アンタラ未公開株の購入を出資者に斡旋していた事実を本紙は掴んでいる。
 がんセンターがユーラスへの法的対応に躊躇している原因が、この辺りの事情が絡んでいるかもしれない。何れにせよ、全てを白日のもとに晒すが為、更なる追求を予定している。

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