(敬天新聞10月号)
同房に朝鮮族中国人がいたので、「君はどちらの国の人間としての意識が強いのか」と尋ねたら、今は朝鮮人としての意識が強いそうだが、このままだと中国人になってしまいそうだ、という。理由は少数民族(五十五民族)に対して差別をしないからだそうだ(チベットやモンゴルは少数民族ではない)。それは逆にいつの間にか同化されてしまうのではないか、という危機意識が芽生えるらしい。逆に差別されると、いつか独立したい見返してやるという気持ちを強くし、民族同士の団結心が強くなるのだそうだ。少数民族の全てを合わせても全中国人の一%以下だそうで、九十九%は漢族なのだそうだ。 少数民族の一つ、朝鮮族の人達は中国で一切差別されないから、逆に中国に同化されてしまう事を恐れているそうだ。北朝鮮の国民は国境の朝鮮族と結構行ったり来たりが自由で、今では北朝鮮の国民も世界の情勢を詳しく知ってるそうだ。 中国では我々が思っているより資本主義が進んでおり、国内も自由に行き来出来るそうである。しかし本籍を勝手に変える事が出来ないそうで、都会に働きに行くのに通行証のような許可証が要るのだそうだ。それと資本主義の国と大きく違うのは、土地等が個人の所有権ではなくあくまでも使用権という形で売買されるそうである。この話の主は好青年ではあったが、不法滞在で一度捕まり、再度、他人のパスポートで入国し、今回パチンコ景品の偽物交換の詐欺の手先として捕まった訳だから多少割り引いて話を聞く必要もあるが、祖国愛が強いところは日本の青年も学んで欲しいね。 今回の勾留で一番のショックは調べ官が全て自分より年下だったこと。同じく勾留者が殆ど年下だったこと。同房者に「オヤジさん」と呼ばれたので「俺は幾つに見えるかね?」って尋ねたら「六十位ですか」と答えられたこと。まだ若いと勘違いしてたけど、もうそれなりの歳になったんだなぁー、と秋の夕日のつるべ落としを見る思いのほろ苦い十日間の教訓であった。 |
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