偽造株券 | |
昨年5月から7月に掛けて、NECの子会社=高和(現・シンシア=中西雄三社長)のニセ株取り引き疑惑等について、当紙紙上で追及した。 このシンシアという会社は資源回収及びビルメンテナンスを主たる業務とする会社で、昭和44年以来、NEC製品の不要部品の回収・処理を行うほか、NECの各工場やビルの清掃・管理なども引き受けて来た会社だ。シンシアの売り上げの8割以上はNEC関連というから、両者は切っても切れない関係と言える。 平成3年8月19日、相葉政宏と狩野勝を中心に設立された共栄クリーンは、その全株式(=200株)を相葉・狩野両者がそれぞれ100株ずつ所有し、代表取締役を相葉が務めるという体制でスタートした。 |
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ニセ株増やして3倍に希釈? | |
――昨今の社会情勢と日本の土地事情を踏まえれば、ゴミの問題は企業にとっても喫緊の課題である。従ってどの企業も処分場は欲しい。そんな大企業に共栄クリーンをまるごと売りつければ、莫大な金が転がり込んでくるに違いない。 という訳で、偽造株券を作ることになる。勿論、これを狩野が1人で思いついてやったとは思えない。恐らく中平と共謀したのだろう。 だが、流石は我が国が誇る一流企業、君子は危うきに近寄らず、の言葉通り、何れの企業も辞退することとなる。その理由は、やはり色々と調べて行く内に、出演者の顔ぶれが複雑怪奇であること、見えない負債が多いこと、債権債務が入り乱れていること等々、後に犯罪に発展する可能性が高いことが判明したからであろう。 また中西社長は、自分たちが掴まされた200株が偽物だという事を知っていたと思われる。何故ならその売買の僅か3週間後=平成11年7月1日、共栄クリーンの株主総会が行われたが、この総会で授権資本(全株数)を800株に変更することが採択されたのだ(それまでの200株に加え、あと600株を増やすことが決まった)。 |
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T氏の正体 | |
以上がこれまでに当紙が報じてきた内容だが、実は株を増やした理由はこれだけではない。寧ろこれから述べる理由の方が重要であるが、ここでようやく冒頭の財界展望3月号に話が戻る。株を増やした理由は少し待って頂いて、先に同誌上で報じられた内容を要約してお伝えしよう。 平成12年8月、シンシアが野村證券を相手取り、約2億円の損害賠償請求訴訟を起こした。 野村證券は、シンシアから「共栄クリーンの整理をT氏に任せた」という説明を受けていた。ところがその後、野村は不自然な株のやり取りに気付き愕然とする。 |
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稚拙で社撰な隠蔽工作 | |
また、野村が指摘しているシンシアの使途不明金=11億円についても同じことが言える。 それにしてもシンシアはどういう神経と脳ミソをお持ちなのか。こんなことで野村證券を訴えれば、更なる事実がこのように白日の下に晒され、自分達の立場が不利になることに気付かなかったのだろうか。 もう1つの当たり前の話は、この問題は公的機関が捜査に入れば必ずや詐欺事件に発展する。従ってシンシアは勿論、NECだって知らん振りでは通らない。 |
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