原町共栄クリーンとシンシア中西社長(円内)。ほんとにフテブテしいツラだ。 福島県原町市の産廃処理場予定地と、NEC西垣社長(円内)。
いつまで笑っていられるかな…?
 
 シンシア所有の株券は全てニセ株券だった!?

 「てーへんだ、てーへんだーーっ!」世界のNECの産業廃棄物を100%処理する会社シンシアが、ニセ株売買のお墨付きを裁判所から頂いた。いやいや大変な事になったもんだ。
 これで当紙が連載してきたシンシア(旧高和)のニセ株譲渡問題に結論が出たということになる。やっぱり、シンシアは(そしてシンシアが保有する株券も)『クロ』だった。当紙が報じてきた事はすべて真実だったのである。
 この事件の取材を始めてからの苦節2年は、世間様の荒波に揉まれながら幾多の困難を乗り越え、聞くも涙語るも涙の物語。相手が天下のNECの関連会社という事で、疑いの目や非難の声はこちらの方へ。
 しかし、お天道様はちゃーんと見ておいでだ。誰が真実を語り、誰が嘘をついているかって事を…。
 それでは早速、裁判所から出されたお墨付きについて述べて参ろう。

 この裁判は、原町共栄クリーンの元社長である相葉正宏氏を原告として、同社(現社長=中西雄三氏)に対して起こされたもので、相葉氏の株主権確認、並びに株主総会決議不存在確認等請求事件である。
 その判決が平成14年4月23日に福島地裁相馬支部に於いて下された。判決の要旨は次の通りだ。
一、原告が被告会社の100株の株主であること。
二、被告会社の授権資本を200株から800株に増資する旨の定款変更決議は存在しないことを確認する。
三、中西雄三(シンシアの代表者)らがなした被告会社の増資手続きはいずれも無効とする。
四、中西雄三等を被告会社の取締役等に選任した決議は存在しないことを確認する。

――これ等の判決の意味することは、シンシア(事件当時は高和)が正規に買い取ったと主張していた被告会社(原町共栄クリーン)の全株式二百株は無効な株式であり、その株主権を根拠としてなされた定款変更や増資手続き、役員選任手続き等は全て無効であることを認定したものである。
当紙が再三再四証拠を示して訴え続けてきたニセ株譲渡事件であったが、NECは「子会社とは言ってもシンシアは独立した別法人ですし、現在裁判中ですから……」とコメントを避けてきたが、この判決を受け何と釈明するのかが見ものである。
 別法人の独立子会社とはいえ、NECから排出される産廃物の全てを処理する会社である訳だから、もとより無関係では通らなかった筈。

 しかも現在原町共栄クリーンは、1,000億円を掛けて福島県原町市に産業廃棄物の最終処分場を建設中なのである。当然ここへもNECから資金が流れているだろう。
 だがここでも、昨年六月に地裁いわき支部より「用地所有権は住民側に」とした、建設差し止めの仮処分命令を食らっているのだから、この会社の如何わしさを今回の判決が決定づけたとも言える。
 ニセ株券を所有して人様の土地を勝手に造成するような会社を、NECともあろう大企業が子会社として抱えているという事実一つとってみても、もはや「関係ない、知らない」は通用しないのである。

 
 中西雄三社長の空元気も今は昔

 その一方、当事者のシンシアはといえば、相も変わらず一切のダンマリを決め込んでいる。
 当紙は、当初よりシンシアの中西雄三社長に対し、「あなたは騙されていますよ」と助言を続けてきた。
 中西社長が交渉している相手は希代の詐欺師だったのだが、途中で相手が詐欺師だとわかっても、絡み合った糸を解きほぐしまとめてくれるのなら多少の犠牲もやむを得ないと判断したのか…?
 或いは詐欺師・事件屋・盗人・地面師・暴力団等、ありとあらゆる裏稼業の人間が入り乱れた魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界に足を踏み入れ、結局引くに引けない状況に追い込まれてしまったのか…?
 そんな中でも、欲高い計算だけは忘れなかったが、結果的には一枚も二枚も上手の彼らにいいように食われただけで、何もかも消えて無くなるのだ。

 当紙第60号でも報じた通り、表向き1億円で原町共栄クリーンを買収したその裏で、十数億円を「工作費」として詐欺師集団に渡したことも、野村證券相手に自らが起こした損害賠償請求訴訟によって、相手側に公然と晒されて墓穴を掘ることになった。
 長年の夢でもあった、産廃業界初の株式上場に協力してくれた盟友の野村證券に対する掟破りの訴訟を起こした段階で、中西社長の野望も潰えたのかも知れない。
 頭脳明晰(本人談)に加え、イケイケワンマンの豪腕経営でならした中西社長とて、逆風が吹き続けばこうもあっけなく転落していくとは、正に自業自得のお手本である。
 やれば負け続きの裁判ではあるが、唯一の救いは全て民事訴訟だという事だ。天下のNECを後ろ楯に、潤沢な資金を活用し長期戦に持ち込む腹積もりらしいから、そのしぶとさは筋金入りである。

 思えば、当社街宣部隊の糾弾を連日受けていた時にも、街宣禁止の仮処分の手続きを踏まない中西社長に対して、日々不信感を募らせる社員を目の前に「逆に潰してやる」と吠えまくっていたと言うから、呆れてしまう。
 あのふてぶてしい面構えに加え、それなりの地位にいる社会人とは思えない行動をとっても、一般社会に埋もらせておくには惜しい人材と思うのは当紙だけではないはずだ。
 しかし、この様な民事裁判が行なわれる中で、次々と新たな悪事が白日の下に晒される事によって、今後は国税局や捜査当局も放ってはおかないだろう。
 ニセ株偽造やこれを利用した売買契約は、明らかに法律に違反するだろうし、少なくとも中西社長の進退問題に発展することだけは避けられない。
 或いは、事の展開次第では中西社長自身の逮捕といった可能性も十分あり得る状況である。

 喉から手が出るほど欲しい産廃最終処分場を得るために、その許認可を有する原町共栄クリーンを乗っ取るにあたって、怪しげな連中と知りつつもNECの期待に応えようと手を組んだ中西社長ではあるが、傍観を決め始めたNECに見捨てられるのも時間の問題である。
 しかし、福島県の片田舎(地元の皆さんには失礼な表現ですが)の、名もない小さな産廃業者でしかなかった原町共栄クリーンが、産廃の最終処分場としての許認可を取得したばっかりに、静かな町に多くの悪党連中が押し掛け、加えて日本を代表する大手企業迄をも巻き込んだ今日の騒動に発展しようとは、いったい誰が予測できただろうか。
 結局は地元住民の皆さんが一番の被害者になったようだが、騒動を巻き起こした事件の主役・脇役・チョイ役あたりが逮捕でもされれば、少しは気が晴れることでしょう。

つづく

 
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