専用実施権という権利
(株)天林水のパウィ(上)と、いわゆる類似品の免益源851(下)

 1985年1月、中国で大豆を利用した新しい医薬品『楊振華851』が誕生した。
 土壌から発見された微生物=アゾトバクター菌(851菌)で大豆を発酵させて作ったエキス=楊振華851は、細胞に栄養を送り込み全身の抵抗力を高めるという画期的な代物で、ガン、白血病、高血圧、ぜんそく、その他糖尿病などの各種成人病で完治、若しくは改善した例が数多く報告されているという。
 既に中国、日本、米国で特許を取得し、中国では保健医薬品として登録され、BESO社(福州振華851薬業有限公司=楊振華社長)が取り扱っている。

 既にお気付きの方もあろうが、商品名の由来は、この社長の名前(楊振華)と完成した日付(85年1月=851)だ。
 さて、この楊振華851に逸早く着目した日本の企業があった。ミネラルウォーターを販売していた(株)天林水(大阪市北区角田町=井上千明社長)である。
 同社は1992年、BESO社と代理店契約を交わし、851という数字の中国語読みである『パウイ』という商品名で販売をスタートした(日本では、薬事法により健康食品という位置付け)。

 その2年後の94年、ある人物から注文が入った。国内製薬大手のロート製薬株式会社(本社=大阪市生野区)山田安邦社長(現会長)からの注文だった。
 ここで言う注文とは、もちろん一消費者としての注文という意味だが、井上社長にしてみればロータリークラブの某氏による紹介でもあり、しかもロート製薬といえば一流企業である。まさか後段で述べるような事態になろうとは思いもしなかった。
 ロート製薬本社に注文の品パウイを届けると共に、山田安邦社長に対し「御社でもビジネスとして扱ってみませんか?」と、パウイの健康食品としての素晴らしさは勿論のこと、商品としての言わば「商益力」も紹介し、パンフレットや資料まで渡した。
 その後、ロート製薬から何の連絡も無かったため、井上社長は「興味なかったのかな」と思い、この出来事も記憶の片隅へと次第に追いやられていった。

 それから更に2年が経過した96年、井上社長はBESO社との交渉の末、パウイの日本特許専用実施権契約を締結した。
 この専用実施権とは、一言すると「独占販売権」であり、日本でパウイを販売する場合は必ず(株)天林水を通さなければならない、という商業上のルールだ。
男性の『性』機能向上のための某薬品のような、闇業者や悪徳業者の乱立、或いは値崩れを防ぎ、確かな商品を安全に消費者へ提供するための1つのシステムと言える。
 とにかく、これでもう大企業といえども、(株)天林水を通さずして日本でパウイを販売することは出来なくなった。
この時の契約内容によると、(株)天林水の専用実施権は2006年まで効力を有する筈、だったのだが…。

 
 他人の苦労が飯のタネ

 専用実施権契約から4年後の2000年8月1日、ロート製薬の新商品広告が読売新聞(大阪版)に掲載された。その名も『免益源851』。
 パッケージの色、デザインといった外観にこそ違いはあれど、その「851」という名前からも分かる通り、明らかに851菌を用いた商品であり、(株)天林水が販売する商品『パウイ』と同様のものであった。
 また、読売の広告に続いて日経ヘルス、薬事日報といった専門誌にも同様の広告や紹介記事の掲載がなされた。その内容たるや、あたかもロート製薬が日本で初めてこの商品を扱うが如き宣伝文であった。
 これは、(株)天林水がBESO社と契約を結び国内販売に辿り着くまで努力を重ねて来たという事実を、歴史上から抹消するに等しい行為である。これを目の当たりにした井上社長が怒り心頭に発したであろうことは想像に難くない。

 さて、ここで問題となるのが先ほどの専用実施権だが、驚くべきことに発明者のBESO社=楊振華社長は、中国や米国に於ける特許は温存しながらも何故か日本での特許のみを98年に自ら放棄して、(株)天林水との専用実施権契約を無効にした上で、2000年にロート製薬と同契約を結んでいたのだ。
長年の研究の成果でもある「特許」を自ら進んで放棄し、このようなややこしいことをしなければならない必然性が、一体どこにあったというのか。

 (株)天林水=井上社長の元には、BESO社からもロート製薬からも、このことに関する知らせは一切無かった。つまり、何の断りも無しに一方的に契約を破棄され、何の知らせも無いままに勝手に大手企業と契約を結ばれていたのである。
 井上社長は、読売新聞以下各誌の広告を見た知人やお得意先からの指摘を受けて、初めてこの事実に気付いたという。
 明らかな信義則違反行為である。

 
 解決を暴力団に依頼?

 その後、何度かロート製薬側と話し合いの場を設けた井上社長だったが、余りにも無責任で盗人猛々しいロート製薬側の対応に辟易とし、インターネット上にホームページを開設して現在も抗議を続けている。
 聞くところによると、天林水の事務所には「ロート製薬から話をつけるように頼まれた」と、暴力団員風の男や同和団体を名乗る男の来社や電話があり、怯えた従業員が対応に苦慮したこともあったという。
 一流製薬会社=ロート製薬が、まさか闇の紳士を利用して問題解決を図るとは俄かには信じ難いが、天林水が運営するホームページには、はっきりとこのことが書かれている。ロート製薬がダンマリを決め込んでいるところから察するに、やはりこれは事実なのだろうか…。

 また、同ホームページによると、ロート製薬は免益源851を販売するにあたって小冊子『大豆発酵エキスのおはなし』を出版したが、そのほとんどが井上千明社長の著書『驚異の健康飲料“シンカパウイ”』の盗作だというのだ。
 何でも、ロート製薬が発行した小冊子は、16頁中の「8頁」が井上社長の著書からの盗用掲載であり、他ページにも非常に酷似している点が見受けられるなど、著作権法違反の疑いがあるという。
 筆者もモノ書きの端くれである。まったくの文章音痴(文痴?)という訳ではあるまい(と信じたい)。
 早速ホームページにアクセスし、その拡大画像をクリックしてみた。すると、ナント小冊子の文章のほとんどが、井上社長の文章表現『そのまん〜まっ!』ではないか。
 これほどまでに安易且つ稚拙な、そして「パクリました」と言わんばかりの判然たる盗用“作品”を、筆者は寡聞にして作ったことが無い、いや違った、見聞きしたことが無い。
 仮に、同じ内容の講義を隣り合わせの席で受講し、要点をノートに書き留めたとしても、ここまで似通った文章にはならないであろう。
 否、この場合「似通っている」などという次元ではない。書き出しから句点までの1つのセンテンスをそのままコピーして貼り付けるが如き所業が、小冊子の随所に見て取れるのだ。

 今「嘘だー」とか「大袈裟な…」等とおっしゃった貴方は、試しに下記URL(ホームページアドレス)にアクセスされたし。筆者の言わんとする事が必ず分かる筈だ。
 何はともあれ、ロート製薬ともあろう一流大手企業が、これほどまでに明白なパクリを、それもパウイという商品のパクリと、パウイのパンフのパクリまでやらかすとは…。
 この期に及んでロート製薬は「当社はパウイなんぞにはさして興味も無かったが、BESO社から積極的な要請があったので、それに応えて契約を結んだに過ぎず、御社(天林水)との契約の解除は全てBESO社の意思に基づいて行われた行為であり、当社は一切関与していないので法的には何ら問題無い」といった傲然たる態度を貫いているという。

 ロート製薬会長山田安邦殿、貴社は今日までそうやって成長して来たのか?
 中小企業や一個人のアイディア・発明を、カネと組織力と権力にモノを言わせて力ずくで奪い取り、弱者の権利や権益を蔑ろにして自社の利益獲得にのみ心血を注ぎ、それによって自社が大企業へと発展を遂げたところで、山田会長よ、貴殿は満足なのか。
 人間として恥ずかしくないのか?
 それが日本企業の、そして我が国企業人の在り方なのかね。見損なったぜ、山田会長。
 ロート製薬よお前もか! (つづく、と思う)


http://www.anti-rohto.com

 
トップページ大企業(有名企業)大組織一覧
©2005 敬天新聞社
info@keiten.net