観客の誘導方法に問題は無かったか
東京ディズニーリゾートの、理想(↑)と現実(↓)?

 埼玉のおばさんが千葉・舞浜のネズミの巣でネズミに噛みつかれた。
 おばさんは怪我をして仕事もできず、ネズミに文句をいった。しかしネズミは「怪我をしたのはおばさんのせいだ」と言ってきかない。

 我々は義憤に燃えてネズミに抗議した。ところがネズミは巣穴から顔も出さずに、隠れてチューチューいうばかりで埒があかない。
 「トムとジェリー」のトムの気持ちがわかったような気がする。

 しかしこちらは、ネズミやネコよりも知恵の回る人間だ。今後は、ネズミの管理不行き届き(そして舐めた態度)を、ご主人様(京成グループ、みずほグループ)に告げ口して、毒ダンゴの罰を与えてもらうことにする。年末ごほうびのチーズはないものと思え!と我々は勇んでいる。

 ことの顛末は次のとおりだ。
 今年の4月18日、埼玉県に在住のTさん(67歳・女性)は、知人など六名で千葉のネズミーシー、いやディズニーシーに遊びに出かけた。

 午後5時頃、Tさん達は楽しみにしていた最後のアトラクションを見ようと、みんなで劇場入口のほぼ最前列あたりに並んで開場を待っていた。
 時間が絶つにつれ観客も増え、後ろには黒山の人だかりができた。やがて、開場となると堰を切ったように、狭い通路を目がけて群衆が押しよせた。
 後ろからの「押せ押せ攻撃」に、係員らの助けもないまま、Tさんは劇場に足を踏み入れ、通路に何箇所か設けられた段差にさしかかったところで「事故」は起こった。
 後ろからの押す力に耐え切れず、Tさんは段差を踏み外し、転げながら観客席の硬い肘掛け(木製)部分に体当たりしてしまったのだ。

 悲鳴があがった。うずくまるTさんのまわりだけ空間ができた。Tさんは起き上がれない。それもそのはずで、Tさんはすごい圧力とともに観客席に叩きつけられ、肋骨が2本折れてしまったのだ。

 「骨は折れるほど強くなる」というのは、格闘技界の話である。空手家でもなければスポーツ選手でもない、か弱い女性が、肋骨2本を折る大怪我を負ったのだ。骨だって弱くなっていただろう。
 場内が騒然となる中、掛け付けた係員曰く「大丈夫ですか?」「午前中もケガ人が出たんですよ」「よくあることなんです」。

 よくある事なら、何で再発防止策を講じないのか。ネズミーランド、いや、ディズニーランドは、このアトラクションにおける怪我が多いことを知りつつ、足元の誘導灯を増やすとか、誘導する係員を増員するとか、観客の誘導方法を根本的に考え直すとか、そういった対策を敢えて(例えばお金がもったいないとか面倒だ、などの身勝手な理由で)講じなかったのか。
 もしそうだとすれば、この事故は、企業の怠慢によって起こった、100%企業に責任のある“人災”以外の何物でもないと言わざるを得まい。

 

 責任が無いといいつつ5万円(どっちよ?)

 ともかく、駆けつけたスタッフたちによってTさんは近くの病院に運ばれた。
 それはそうだ。人が見ている前で「転んだのは貴女の責任で当方は一切感知いたしません」ということをあからさまには出来なかったのだ「この時は」。

 この怪我をした当日の治療費はディズニー側が支払った。あれだけ証人に見られた手前、今日のところは厄介ばらいの必要経費だ、と割り切ったのかもしれない。取りあえずその日は親切そうな対応をして、Tさんを見送った。

 翌日、Tさんは、こみ上げてくる激痛に耐え切れず地元の病院へ行った。その場で「安静入院」となり、42日間入院した。
 ちなみにTさんは現役の看護婦さんだ。67歳の今も元気よく患者さんたちの世話をしていた、その最中のできごとだった。

 長い入院生活後、仕事もできず治療費はかさむで、打ちひしがれていたTさんは当然のこととして、治療費・休業補償の「保険」による支払請求のため、自分を病院に連れて行った「親切な」担当者に連絡をとった。

 結果は1枚の通知だけだった。

 「当方に一切の責任はございません」
ということを長々とまくしたてた紙切れだ。Tさんはビックリし、とりあえず「親切な」担当者に連絡を取った。

 しばらくすると、その上の中堅幹部から電話があった。

 「見舞金5万円でいかがでしょう?」だと。

 おいおい、5万円て、いったい何処から弾き出された数字だ?と思われる方も多いであろう。
 一昔前、この人達の株主総会前になると、総務部に顔を出す総会屋の使いッ走りに渡す金額の相場がこのくらいだった。保険の金額が50万円くらいだから、そのくらい渡せば引き下がると思ったのだろうか?

 
 ネズミ駆除のご相談は本紙までご一報を!

 Tさんは、ゴロツキでもなければ会社に因縁つけているわけでもない。ただ単に、自分がこうむった被害額だけを、当然のこととして支払ってくれといっているだけなのだ。
 1ヶ月半近く、勤務先に迷惑もかけたし、自身もつらい病院生活によって「心の痛み」を負った。しかしそれらの精神的な慰謝料は計算外なのである。治療に掛かった費用と、休業したことによって受け取れなくなった給与分を請求したに過ぎない。

 支払わないのは、払えば過失を認めたことになる、という上からのお達しによるものだろう。しかし、何も払わないと心証が悪いということで「見舞金」。

 見舞金は、お見舞いに来て手渡すものだろう!

 Tさんも、これは腹に据えかねた。
 担当者曰く「社長決定」だそうである。

 社長ってひょっとして、最近「東京ディズニーランド20周年で夢を売る企業の戦略と苦労話うんぬん」の書籍を出版したばっかりの浮かれた御人のことだろうか?
 その中には「館内での事故のもみ消し方」や「トラブルはひた隠しにして、とにかく人前では誠意を示した振りをしろ」或いは「敵は弱そうな奴から脅せ」などのノウハウが書かれているのだろうか?
もちろん、書かれてはいないであろう。

 しかし、実際にディズニーが取った対応は、あたかもそれらのノウハウやマニュアルが、社に存在するが如き愚行であった。
 事実として、本紙記者が取材に訪れた数日後、ディズニー側からTさんに電話が入り「千葉県警に脅迫で訴えてやる」だの何だのといった体の良い「脅し」の電話が入ったという。

 即座に電話を掛けた本人に確認を取ったところ「そのような事は一言も申し上げておりません。おそらくTさんが勘違いなさったのでしょう。私の表現に、舌足らずな部分があったのかも知れません」とのことだった。

 どちらが真実か判然としないが、お客様に「夢」を売るエンターテインメントを生業にしている人間が事故の被害者に誤解を与えたという時点で、既に「夢」を台無しにしている、と言えるのではなかろうか。

 同じように「事故」に遭って怪我をして、その後のディズニー側の心無い対応に心を傷つけられた人も少なくないはずだ。
 本紙としても、大資本を背景に居丈高に振舞う大企業と戦うため、じっくりと「被害を受けて泣き寝入りした人々」を数多く集めて数の力とアイデアを以って闘って行きたい。ネズミ駆除のご相談は本紙まで!

 
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