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日本企業の“「経営管理責任」の欠陥”についてRMコンサルタント佐藤昌弘氏と本紙社主が対談した。3回に分けて連載する予定で1月号・2月号で、第1回・第2回まで連載した。
3月は、緊急リポートのため中断した。ところが、日本企業の経営に関して歴史が変わるような異変が生じた事を緊急リポートで報告したが、前の対談分割3回目は、情勢の変化で連載の意味がなくなった。
そこで、米国から35年〜50年の遅れが食い止められそうな日本にとって、どういう戦略が考えられるのかについてRMコンサルタント佐藤昌弘氏に意見を聞いた。
これまでの対談でわかった問題点は、日本企業各社の「経営管理」の責任体制の欠陥・欠落について、企業だけでなく、日本中が気づいていないことである。全く不思議な現象ではないか。
少し早めに気が付いて慌てて一歩先行したのが三菱自動車なのである。それだけに同社の責任は重い。
1990年〜2004年の15年間に、不測の事故から社会に多大な損害を与えたワースト3社が、謝罪の意味でも範を示すのが望ましい。三菱自動車は、ワースト3社の中から先陣を切ったことになる。
そうなると、次はあと2社、昭和電工と雪印乳業に発奮して貰わなければならない。
上場2800社も、社会的責任上、2005年中に「経営管理」の改革を行ってもらいたい。その為には、昭和電工、雪印乳業が範を示せるよう、日本中で尻を叩き、また支援してあげる事も必要ではないか。 |
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〈日本中の共同責任〉
昭和電工、雪印乳業は「経営管理」の欠陥を知ることが先決
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昭和電工(株)本社 |
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改革が見られない昭和電工(株)首脳(2004年6月現在)
社長 M・O
ここに「経営管理」最高責任者(CFO)が必要
専務 Y・S 技術本部長
専務 T・S アルミニウム事業本部長 |
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雪印乳業(株)本社
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改革が見られない雪印乳業(株)首脳(2004年6月現在)
T・K 代表取締役社長・執行役員
ここに「経営管理」最高責任者(CFO)が必要
K・N 常務・執行役員、関東販売部長
N・S 常務・執行役員、関西販売部長
K・T 執行役員、グループ戦略室長 |
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〈日本の不思議な現象〉
日本中が気づかないまま50年も推移するとは、日本の恥だ。
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社主 |
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殆どの米国企業が実践している事が、日本企業には欠けている。その事に日本では、35年前に気が付いた佐藤さん以外、誰も知らぬまま推移しているとは全く情けない。こういう事が生ずる日本の病的な構造を大手術する必要がある。その為の論議は、改めて広く呼びかけるとして、今はこの遅れに日本企業が気づいて、自ら改革を急ぐしかない。 |
佐藤 |
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その通りです。日本の恥になる事です。
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〈50年の遅れ解決策〉
15年間のワースト3社が先行し、模範を示すことが筋 |
社主 |
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三菱自動車が、〈経営管理〉改革の第1号になりかけている事は、大いに期待したい。貴職が、「三菱自動車の後に続くべき企業」として、昭和電工、雪印乳業を挙げているのは何故か。 |
佐藤 |
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対談記事第一回(1月号)で強調しています。
1990年〜2004年の15年間に、不測の事態で社会に被害を与えたワースト5社の中の、ワースト3社です。しかし今、三菱自動車が頭一つ抜け出し、昭和電工、雪印乳業は出遅れた形です。上場企業は各社とも、他社の事など考えずに、自社の欠陥を迅速に修復する努力が必要です。
しかしワースト3社は、社会に多大な損害を与えたままになっている訳です。あの後、自社では改革をしたつもりでいるかに見えますが、的確な原因分析が出来ていないのです。 |
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「経営管理」の(a)責任体制(b)最高責任者 調査
昭和電工(株) |
社主 |
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『昭和電工』からいこう。 |
佐藤 |
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この会社の失敗は事例研究に使えば、反面教師となる材料ばかりです。しかし今日は、事故解決後の現状が、どこまで改革できたかだけを調査するだけです。事例研究は、別の機会に譲りましょう。
東洋経済新報社の「役員四季報2005年版」の役員名簿を使っただけですが全てわかりました。
昭和電工のページを開いてわかったことは、「経営管理」の責任体制も最高責任者も不在という事です。
社長の次席は専務で技術本部長です。その次のポストは、専務でアルミニウム事業本部長です。経営の基本が忘れられています。 |
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「経営管理」の(a)責任体制(b)最高責任者 調査
雪印乳業(株) |
社主 |
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もう一つの「雪印乳業」の方は? |
佐藤 |
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雪印乳業は、流失した損失額は昭和電工より少ない額でした。
しかし、日本国内の消費者に被害を与えたので、米国の消費者相手の昭和電工より騒ぎは遥かに大きかったのです。雪印乳業は元社長が刑事罰で逮捕されています。
雪印乳業は米国の執行役員制度を導入しています。現社長は、取締役と執行役員の最高執行責任者を兼務しています。
役員の姿勢には努力のあとが見られます。
しかし、「経営管理」の責任体制、最高責任者は何処にも見えず、片手落ちと言わざるを得ません。
三菱自動車は、三菱がグループ主要3社の支援を得て自主経営を行う事になった。
これで発表されていた、社長の次席(ナンバー2のポスト)の最高財務責任者(CFO)の役割が、第1号としてスタートする事になる。
問題は「経営管理」責任体制作りが、どこまで充実させられるかであろう。 |
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〈参考〉改革第1号三菱自動車 |
三菱自動車工業(株)首脳(2004年6月現在)
会長 西岡喬 最高経営責任者(CEO)
社長 益子修 最高執行責任者(COO)
常務 市川秀 最高財務責任者(CFO)
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三菱自動車工業(株)本社 |
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日本中の間違いがついに司法の判断にも |
責任体制(組織)不在は、予算がないこと 「経営管理」「リスク対策」は不能 |
佐藤 |
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責任体制(=専門部分)を設けない日本企業は予算がない状態です。
「経営管理」リスク対策にはコストと経費が掛る。日本企業のリスク対策が向上しないのは、専門部分、専任スタッフを置かないことにあります。 |
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兼務、専任の効果の差に気づかない日本企業の経営陣 |
佐藤 |
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米国企業は、専門スタッフの「専任」が徹底しています。日本企業は、スタッフの兼務、責任者の兼任が多過ぎる。折角、取締役と離れた執行役員制度を取り入れるなら、全て「専任」体制に徹すべきではないでしょうか?
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(つづく) |
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六本木ヒルズ |
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