【ビルメンテナンス業界事件簿】
代理戦争?共栄ビルメンテナンス仮処分申請
葛飾区スポーツ振興公社の過剰な業者保護
談合死守のため裁判所に泣きつく恥知らず

 申請すれば誰でも通る
本訴はまだか?
 ビルメン業界の繁忙期が過ぎた4月の始め、東京地方裁判所より1件の「街宣禁止仮処分命令」が本紙に通告された。この手の仮処分命令は本紙にとっては日常的なことである。街宣車による糾弾対象となった悪党らが自身の悪行を棚上げにし、お上(裁判所)に助けを求めるからである。

 本紙が糾弾対象とする悪党らにも、ほんの僅かであるが、信用とか名誉といったものは存在する。それ故に、街宣禁止の仮処分程度ならば内容にはあまり踏み込まずに、申立て人が誰であろうと裁判所は認めるのが常なのだ。だが、これ等の仮処分申立ての多くは、目先の糾弾活動をかわす事が目的であり、後の訴訟提起にまで至ることは殆ど無い。

 本申立ての債権者に於いても、本紙に対し、不法行為に基づく「損害賠償請求訴訟」を提起すべく準備中とのことであったが、半年余り経過した現在もそれらしい動きは全くない。やはり、下手に裁判を起こせば「自らの悪行をも曝しかねない」と、債権者は判断したのであろう。

 さて、この姑息ともいえる申立てを実行したのが、ビルメン業界の実力者、協栄ビルメンテナンス株式会社(中央区)の山田豊三代表なのだが、本申立てに於いては当初から疑問だらけであった。

 そもそも山田豊三が本申立てに及んだ理由は、本紙の街宣活動によって、申立て外(本申立ての債権者ではないということ)より受託した「管理業務の遂行を妨害された」との事からであった。しかし本紙が糾弾対象と捉えたのは、協栄ビルメンテナンスでも況してや山田豊三個人でもなく、同社が申立て外とする受託管理業務の発注者=『財団法人葛飾区スポーツ振興公社』だったのである。

 また糾弾内容にしても、同公社が実施してきた『談合を助長するかの非常識な入札方式』に異議を唱えるもので、決して協栄ビルメンテナンスの業務妨害を目的とした訳ではない。では何故同社は、実質の当事者でもないのに、高い弁護士費用や供託金を負担してまで仮処分命令申立てに及んだのか。

 年間委託料約4億円也
「落武者は芒の穂に怖づ」
協栄ビルメン山田豊三代表
 考えられる理由は唯ひとつ、本紙の追及によって同公社の現状入札方式が変更されることにでもなれば、それは同社にとって非常に都合の悪い状況に陥るからである。

 葛飾区スポーツ振興公社が管理している施設は、区総合スポーツセンターを核とした、区内に点在するプール、体育館、陸上競技場などである。これらの施設で発生する様々な業務を全てまとめたうえで『総合管理委託』として民間業者に発注しており、その支払われる年間委託料は約4億円にものぼる巨額なものだ。

 この美味しい仕事の連続受注に成功しているのが、協栄ビルメンテナンスなのである。勿論、これ程の優良物件を、競争入札を経て尚“高止まり”状態で連続受注することは、談合なくしては不可能と断言してもよい。

 ただ、同公社は「談合は極めて困難」であるはずの一般競争入札を導入していながら、何故いとも容易く談合を成功させ、結果同社は物件を手にすることが出来たのか。

 その最大の理由は、同公社の入札方式が表向きは一般競争入札でありながら、その中身は競争原理が全く機能しない“紛い物”だからである。

 同公社の一般競争入札には、その冠に『制限付き』の文句が加えられている。基本的に、入札参加資格を有する者なら誰でも応札可能としているのが『一般競争入札』なのだが、これが『制限付き一般競争入札』となると、発注者が独自の判断で入札参加要項にハードルを設けることになる。

 ただ、そうは言っても市場開放と競争推進が一般競争入札の『原則』であり、それを損なうことがないよう、設ける制限はごく限られたものになるのが一般的である。

 しかし同公社は何を考えてのことか、思い付く限りのありとあらゆる制限を汲み入れ、参加資格を極限まで狭めたのだ。その結果、約4億円の大型物件にもかかわらず、実際に応札に漕ぎ着けた業者は協栄ビルメンテナンスを含む僅か5社に留まってしまった。

 昨今の入札事情を振り返っても、数千万程度の予算物件でさえ、10社以上で競争させるのが当たり前だ。正に、時代に逆行するかのごとき迷走ぶりだ。しかもこれ等全ての業者が昨年からの横滑りの参加であり、通常の一般競争入札では決してあり得ない、入札参加業者がオープンとなるオマケまで付いてしまった(入札に参加している業者名が互いに分かれば、談合もし易くなるだろう)。

 加えて、この5社は都内ビルメン業者の中でも札付きの『談合依存業者』であり、この期に及んで「談合するな」と言うほうが無茶というしかない。

 落武者は芒(ススキ)の穂に怖づ
委託業務が公金で賄われる以上、業者選定の透明性確保は必須。「公金保護」より「業者保護」を優先させるとは言語道断である。違いますか?葛飾区長(公社理事長)青木勇殿!
 一般競争入札が普通に機能すれば、同物件の落札金額が相当下落することは火を見るよりも明らかだ。結局、支出抑制など端から眼中に無い同公社の変則入札方式のおかげで、協栄ビルメンテナンスは労せずして談合を仕切ることができたのである。

 しかし、同公社が救いようもない能無し集団であろうと、これ程愚かしい入札方式に固執するのはいったい何故なのか。

 多くの発注者に共通する思いに「出来れば実績のある業者に継続して受注してほしい」といった、入札による業者変更を好まない風潮がある。だが、同公社に限ってはこの思いが更に強く「協栄ビルメンテナンスでなければダメだ」ぐらいの執着心が感じられる。

 役人のなかには、業者に何かと便宜を施し見返りを求める乞食野郎が五万といる。贈収賄で検挙される者等が氷山の一角であることは周知の事実だ。同公社の入札方式が、新たな業者参入を拒むものであり、意図的に競争性を排除していることは揺るぎない事実である。

 納税者であり施設利用者でもある葛飾区民にはソッポを向き、業者の利益確保の為に一生懸命(?)努力する公社の姿勢を見ると、一番の恩恵を受けている協栄ビルメンテナンスとの間に強固な結び付きがあるのではと邪推してしまうのも致し方ないだろう。

 だからこそ同社は日頃の恩恵に報いるために、無謀にも本紙に対し“慣れないケンカ”を売ってきたと思われる。そのぎこちなさと公社に対する気の使いようは、今回の仮処分申請の内容にも随所に表れている。

 何より滑稽だったのは、本紙が実際に街宣活動を行った葛飾区総合スポーツセンター管理事務所以外に、3ヶ所の施設にまで街宣禁止を願い出てきたことだ。これには担当した東京地裁の裁判官も呆れ果てた様子で、勿論却下されたのは言うまでもない。

 記事の冒頭でも記した通り、今回の糾弾は、飽く迄公社を対象としたものであった。よって、街宣場所に選択したのが“無能な公社職員の溜まり場”である管理事務所だったのだ。公社の呆れた実態を、葛飾区民に広く知らしめたいとも思うが、楽しく施設を利用している区民には当然罪はない。だからこそ、最少の範囲で最大の効果を狙い、当該場所のみに活動を絞ったのである。

 同社は、「当該場所での業務に支障が生じた」と叫び、その上「他の施設でも必ず街宣が行なわれる」等と被害妄想的にムキになっていたが、本紙には端からその気が無かったのだから哀れである。

 さて、本件の真の当事者である公社が、現状の入札制度を今後も見直さないのであれば、公社の理事長でもある葛飾区長に対する糾弾も視野に入れねばならない。そうなると、又も協栄ビルメンテナンスがあつかましくシャシャリ出てくるかも知れない。

 かなり鬱陶しいけど、暇があったら遊んで差し上げよう。
(つづく)

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