【ビルメンテナンス業界事件簿】
特定の個人、業者を優遇する
葛飾区の腐った私政を斬る!

 腐敗した官業癒着体質に次々と当局の捜査のメス
荒川区長の後を追う(?)青木勇葛飾区長
 官庁や自治体からの発注業務に依存しているビルメン業者にとって、通常なら今が最も暇な時期である。主要な入札業務もなく、今春からの受注物件の業務遂行も、軌道に乗る頃だからだ。ところが、何時もなら惚けているこの連中が今、妙に浮き足だっている。

 談合等の不正行為を無くそうと、発注者側による入札改革も本格的に進み始めている。例年なら入札直前に「今年もよろしく」と、業者間による業務配分を決めていた“談合依存業者”等が、その対策に追われているというのも理由の一つとして考えられる。

 ただ、長年培ってきた信頼関係は強固であり、況して談合といった犯罪を共有してきた間柄である以上、そう簡単に崩壊する絆ではない。ならば、この連中を不安に駆り立てている原因とは何なのか。それは、入札改革や談合崩壊に先んじて、腐り切った官業癒着の体質に次々と当局のメスが入ったからに他ならない。

 その最初の標的となったのが、本紙でもその悪質性を度々取り上げた、元日本ビルシステム取締役=山下孝幸の親玉であった、当時の的場社長である。「国立病院東京医療センター」の業務発注の見返りとして同センターの担当者に現金を渡すなどし、それぞれ“贈収賄”の罪で逮捕・起訴されたのだ。

 本紙では摘発の1年程前から同センターに対し、日本ビルシステムの受注に有利に働く入札方式に異議を唱えていたので、当然の結果であり寧ろ遅すぎたとも感じていた。

 しかしこの事件はこれだけでは収まらず、目黒区でも同様の犯罪行為が露呈し区職員が新たに逮捕され、的場被告は再逮捕の憂き目にあった。しかも、区職員逮捕の前日に長時間の取り調べを受けていたとされる目黒区長が自殺に及ぶといった痛ましい結果まで招いてしまったのだ。

 区長が、自らの命を代償としてまで、何を訴え或いは隠したかったのか、今となっては知る術もないが、私利私欲に走る的場と強欲役人が犯した悪行が、区長自殺の一因となったことだけは確かである。

 「廃止」から「存続」へ 2施設に絡む誰かの利権
区立「あだたら高原学園」
 この事件の騒動がまだ冷めやらぬうちに、またもビルメン業者への業務発注に絡み、今度は荒川区長の電撃逮捕が報じられるなど、汚職塗れの東京23区の汚れた実態が浮き彫りとなった。

 こうなると、溜まりに溜まった“膿”を一気に搾り出すべく、捜査当局は徹底的に摘発を行うことになるだろう。しかも、捜査担当が“日本警察屈指の精鋭”である警視庁捜査2課である以上、悪党共が逃げ場を失うのももはや時間の問題である。

 よって、例年ならば“のほほん”としていられるこの時期だが、スネに傷持つ業者(多少の差はあれど本紙に登場した業者)にしてみれば、「次は自分の番」と戦々恐々の日々を過ごしている筈だ。

 特に的場被告とは昵懇の仲であった「オーチュー」「オーエンス」の両社などは、身辺整理に忙しいに違いない。

 では、本紙先月号で“不明瞭な関係”として報じた「葛飾区」「協栄ビルメンテナンス」の両者は、現在どのような心境で一連の摘発を受け止めているのだろうか。

 葛飾区長が理事長を務める財団法人は、明らかに協栄ビルメン重視の政策を行っている。先月号で報じた後でさえ、財団幹部職員は「入札方式の見直しは必要と考えていますが、今のところその作業には入っておりません」との回答であった。少なくとも、現場から入札見直しの意見が出ている以上、組織トップの葛飾区長は早急に決断をせねばならない立場だ。

 特定業者優遇にも繋がる現状維持か、業者間競争を促すことによって、談合の抑止及び支出抑制を図るのか、下す決断は二者択一の単純なものである。勿論、葛飾区民の利益を尊重すれば、自治体首長として選択する道は唯一つであることは明白である。

 ところが、葛飾区長に対し「本当に区民側に立った政策を打ち出し、区民の希望に即した行政活動が可能なのか」と、残念なことに首長としての資質そのものに不信感を持つ声が聞こえ始めてきた。

 中でも、一旦は廃止に向けての動きがあった葛飾区立の教育施設「あだたら高原学園」「日光林間学園」が一転して存続運営へと向かった経緯に、区長を中心に利権が動いている、との憶測が数多く飛び交っている。

 これら2つの施設は葛飾区の小中学生を中心に利用されてきた施設である。区の出身者にとっては思い入れが深い施設に違いない。そんな区民感情を置き去りにし、廃止存続を一部の利害関係者の中だけで語っているとしたら、これは正に裏切り行為である。

 では、一旦は廃止に追い込まれた言わば“お荷物”でしかない両学園を存続させることで、いったい誰が得をし損をするのか。

 区長の個人的な恩返しに区民の共有財産を悪用?
区立「日光林間学園」
 両学園の現状を見て、唯一利益を得ている者がいるとすれば、学園施設の管理業務委託を受けているビルメン業者であろう。たとえ学園が赤字運営であろうとも、委託料の未払いや遅延等の事故は発生する事もなく、契約年度の利益確保は間違いなく保障されているのだ。

 因みに、あだたら高原学園の今年度の管理者は「東北装美」が約2,400万円で受託しており、同じく日光林間学園は「二幸産業」が約2,700万円となっている。ここでも、談合の匂いを漂わせる複数年の連続受注に、両者共に成功している。

 ならば、この両者の既得権を守るために学園の廃止を見直したのか。否、事の真相はそう単純なものではないらしい。学園廃止を覆し、存続運営に動き出した背景には、あだたら高原学園の現園長である、岡本文夫(葛飾区職員団体元委員長)たった1人の生活権を庇護する為といった、とんでもない目的が隠されているというのだ。

 それを実現可能としたのが、葛飾区が平成18年度導入を予定している「指定管理者制度」の存在だ。

 この制度は、区が指定した管理者に公の施設の管理運営を任せるといったものである。現在、園長といった公職の立場にある岡本文夫だが、既に指定管理者の対象となる道筋が出来ており、受け皿となる管理会社の設立等の準備に本職を投げ出して奔走しているらしい。

 役人の天下りが問題視されるご時世だが、自ら天下り先を「作り上げる」奴はかなり珍しい。これ程のバイタリティと悪知恵があるなら、庁舎勤務時代にもっと出世(係長止まり)していてもおかしくない筈で、何も福島県の山奥に飛ばされる事もなかったろうに。

 結局、この男には公務員たる資質が何かしら欠落していたということか。しかし、では何ゆえ“脱落者”ともいえる岡本文夫がこれ程までに優遇されるのか。

 葛飾区長の周辺から漏れ伝わる話によると、岡本は区長誕生の最大功労者ということらしく、現在もその絆は固く結ばれているらしい。

 今回、岡本をすくい上げる為に両学園の運営を主務とする区教育委員会、更に監査役までが動いているようだが、それもこれも区長が持つ権限なくして事は進まない。このままでは、区長等の力添えによって岡本の野望が実現するやもしれない。

 ただ、忘れてはならないのは「あだたら・日光」の両学園は葛飾区の財産であり、延いては区民共有の財産であるということだ。決して一個人の利益確保のために存在している訳ではない。

 義理を重んじるのは男として当然である。しかし受けた義理に報いる方法を、葛飾区長は履き違えているようだ。

 兎も角この一件も含め、何より「協栄ビルメン」を“優遇”するような不明瞭な入札方式をいつまでも放置してないで、区長の責務をしっかりと果たして戴きたい。
(つづく)

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