今日までビルメンテナンス業界の取材を通じ、良くも悪くもそれなりの事情通になった。業界に巣食う悪は徹底的に従来どおり叩くが、本紙なりの独自の論陣を張ることにした。真面目に営んでいる人たちに勇気と希望が幾許でも与えられるなら大いに愉快である。
 
 
危機感は『屁』1回分程度の「一ノ屁快腸」
 東京ビルメンテナンス協会(以下協会)の通常総会が、5月31日(火)に開催される。そこで今回は会の根幹を揺るがす会員減少傾向についてである。

 ここ数年、毎月の退会が絶えない。理由は廃業、経費の削減、メリットが無い等である。

 廃業というのは止むを得ない事情と言ってしまえばそれまでだが、廃業に至った経緯によっては協会の施策とは全く関係ないとも言い難い。しかし明確な課題を抽出するため、「経費の削減」「メリットが無い」という2つにとりあえず絞る。

 先ずは、1つ目の『経費の削減』である。

 経費の削減が理由なら、会費を下げてみたらよい。と、短絡的なことを言うつもりは無い。しかし、『経費の削減』という退会理由から、会員会社が必死にコスト削減を試みていることは直ぐにでも解る。

 会社によっては、しがらみを捨て切れないで経費の削減が遅々として進まない経営陣に見切りを付け、外部の人材を登用し、大きな成果を上げているところもある。

 ところが協会は、抜本的見直しをするどころか依然としてバブル期の事業計画を踏襲するのみである。新年賀詞交換会、優良従業員表彰、委員の集い、ビルメンテナンス政治連盟等々、果たしてこれらは経費に見合う効果があるだろうか。高コスト体質そのものである。

 ところで、全国ビルメンテナンス協会(以下全国協会)から、ビルメンテナンス会館(協会所有)の賃料を値下げしてもらいたい旨の打診が最近あったらしいが、どうやら協会としては幅の問題はあるが概ね了承する方向とのこと。

 全国協会の家賃値下げ要請には『了承』、協会員の悲鳴は『我関せず』

 一戸会長は、あと100社くらい退会しないと会員の悲鳴は聞こえないのかもしれない。毎月2社退会なら4年余、毎月4社なら2年余。そんな先の話でもないような気がするのだが。

 次は、2つ目の『メリットが無い』である。

 「何をメリットと考えるかは各会員によって違う」などと一戸会長は常々言うらしいが、ある意味ではメリットというのは自らが掴むものであるので言葉としては解らないでもないが、会長が、会員にとってのメリットを考えようともせずこんな開き直りをしているようでは、退会者が増える一方なのは然りである。

 尤も、「協会員であるというのは、その事自体がステータスだから増やすのが良いとは限らない」などと言って憚らない会長の下では、会員減少に歯止めがかかるわけがない。

 いずれにしても、『経費の削減』『メリットが無い』という2つの退会理由はコインの裏表である。

 誰が考えても、先ずやるべきことは協会各事業の評価を厳正にし、それに基づいて事業を抜本的に見直すことであろう。結果として捻出された資金を協会員に即効性があるような思い切った手立てに使うのか、あるいは協会費をたとえ小額でも値下げするのかが、本来、一戸会長の指導力が問われるところである。
ところが、会員減少という最重要課題が焦眉にもかかわらず、一戸会長は無策どころか困ったことに危機感さえない。

 一戸会長は、協会員の多くが、来る5月の総会で会員数減少に対しての有効な提案が出されることを期待している、ということを肝に銘じるべきである。

――ビルメンテナンス業界専従取材班――

 次回の直言は、問題山積みのビルメンテナンス政治連盟を予定。

 
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