V.I.P.サンミッシェル、その他関連会社が入居する西新宿6丁目、新宿国際ビルに、当紙街宣部が「ごあいさつ」
  当紙先月号で「VIP、サンミッシェル南青山」の糾弾記事を掲載したが、その反響の大きさは当紙の予想を遥かに上回っている。
 「私も数年前に六時間くらい勧誘されて、ついに根負けしてダイヤモンドを買ったことがある」だとか、「美しい女性(勧誘員が)だったので、ついつい契約書に判を押してしまい、会員権のローンを現在も支払い続けている」等々、沢山の被害の声が寄せられた。
 当紙は実際に被害に遭った方々に対し「弁護士、消費者生活センター、市区町村の役所、或いは監督官庁である経済産業省、警察署等、1人でも多くの人に相談したほうが良い」といったアドバイスをしたが、返って来た返事は総じて「でも…、今さらお金は戻って来ませんよねぇ…」といった力の無い言葉であった。

 甘い誘い文句でおびき出され、うっかり契約したが最後、ローンという名の地獄が待っていた訳だから、無気力にも人間不信にもなろうというもの。
まったく気の毒でならないが、契約締結から8日以上経過しても、消費者センターなどが間に入って解約等の交渉をしてくれる場合もあるとの事(必ずではないが)なので、あんまり思い詰めずに希望を持って頂きたい。

 さて、当紙に寄せられた“声”の中でも特に気になったのが複数の「元社員」による告白である。前出の被害者の立場に立つと怒鳴りつけてやりたい位であったが、大多数の社員が後ろめたさを感じて辞めて行くとも言う。
 閉ざされたVIP、サンミッシェルの内情を明らかにし、問題点の核心を追及する事によって少しでも被害の拡大を食い止める事が出来れば……。
 今回は、このサンミッシェルの元社員達にスポットをあててみよう。
 
 顧客の前に社員を洗脳
杉並区西荻北の山本クンの自宅にも、丁寧に「ごあいさつ」

 Aさんはサンミッシェルでの販売員経験を持つ30代前半の女性。当時は結構な高給取りだったようだ。
 「私の場合、毎月じゃないけど、1ヶ月の売上額が500万円を超える月もありました。だから月収が50万円近い月もあったんです。中には売上が1,000万円近い人も居たけど、マトモにやってたんじゃ、絶対そんなに売れるはず無いですよ。アイドル系のカワイイ顔で愛嬌振りまくのも上手い娘だったから、きっと男を手玉にとってたんだと思います。だって私も売上げ伸ばす為に、相当思わせぶりなこと言ったりしましたから…(笑)」

 一方、男性社員の営業法については、同じくサンミッシェルの社員だったBさん(27歳男性)が、こんなことを語ってくれた。
 「女(販売員)はいいですよね、チョッと可愛くって口が上手けりゃ、買ってくれる男(商品を)が何割か居ますから…。でも女性客は単価が低いし、なかなか男性客みたいには行きませんからねぇ。まぁナンパと精通する部分はありますよ。しつこく押せば、モテない女や彼氏が居ない女は落ちる確立が高いですね。だからアポ取って現れた女性客がブスでモテなそうな女だと結構嬉しかったのを覚えてます(笑)」

――まったく、呆れた奴らだ。取材に協力してもらっている立場上、当紙記者も説教こそしなかったが、人の心を弄んで高額なローンを組ませて心が痛まないのか、という質問をぶつけたところ、以外にも次のような答えが返ってきた。
 「社員の殆どが後ろめたい気持ちになって辞めて行くんです。私もそれで辞めました。普通の神経じゃ長続きしませんよ、あんな職場…。ローンに苦しむ顧客の事なんて気にも留めないような人だから残って居られるんです。
 ただ…、神経が図太い人ばっかりが残っているかっていうと、そうでもないんです。入社したら『アポイントメントセールスはお客様の人生を豊かにするための人助けだ!』っていう風に、最初の研修で徹底的に“洗脳”されるんです。あれじゃまるでヘンな宗教団体ですよ。だから純粋な人はマインドコントロールされて、自分では『良い事をしてる』って思い込んでるんです。ある意味では被害者かも…」(前出Aさん)
 顧客を“洗脳”して契約させる事は知っていたが、それ以前に社員を“洗脳”していたとは…。

 一方のBさんも社員時代をこう振り返る。
 「罪悪感が全く無かったと言えば嘘になります。でも給料は歩合制だし、売上成績は発表されるし、年に何回かは売上コンテストみたいなものがあって、上位入賞者は数10万円の賞金や海外旅行なんかもプレゼントされるんです。もちろん上司は、成績の良い社員を褒めちぎって何でもヒイキにするし、成績の悪い社員は『人間のクズ』みたいな言われ方をしょっちゅうされます。
 朝の10時から夜10時過ぎまで、ずっと電話をかけ捲ってもアポが取れない時だってあります。そんな時は休憩も昼飯もナシで、みんなが血まなこになって電話し捲ってるんです。そんな雰囲気の中で1日の半分以上を過ごしていると、自然と感覚が麻痺するっていうか、こんなに頑張って仕事してるんだから悪い事の筈が無い、って思うようになるんです」
 一番の被害者が“顧客”である事は間違い無いが、こんな話を聞くと販売員も(少しだけ)可愛そうに思えてくる。

 
 誘導尋問
7行目から8行目にかけて「当社の人材育成のプロセスは他社と一線を画しています」とある。これは「変な宗教団体みたいな洗脳」の事かね?山本クン。

 顧客の“洗脳法”については、前出のAさんがこんな事を語ってくれた。

 「やっぱり素人は『テレビや雑誌に嘘は無い』だとか『専門機関が認定・推奨する商品なら信頼できる』という思い込みがありますから、そういう心理を利用するんです。
  例えば、先ずは女性向けのファッション誌にサンミッシェルの広告が載っているのを見せて、『ちゃんとした会社です』という事をアピールして安心させます。
 そして、中宝研(中央宝石研究所)の鑑別書を見せて専門用語を交えながら説明するんです。若い女性でも宝石に詳しい人なんて滅多に居ませんから、20代前半の男の子が詳しい訳がないですよね。
  『中宝研の鑑別書』って言っただけで『通産省認可』みたいに錯覚するんです。確かに中宝研はちゃんとした鑑定機関だけど、株式会社ですから一企業です。

 しかも、その鑑別書の内容は『宝石の品質を意味する表現や、宝石の価格、産地は記載しない』という決まりになっています。飽くまで宝石の種類や寸法、重量やカットの形式、比重、透明度、屈折率なんかを機械で科学的に分析した結果が書かれているだけなんです。
 だから鑑別書があるからといって、100万円の宝石に本当に『100万円の価値がある』という事の証明にはならないんです。でも特に男性は『相場』っていうものを知らないから、勝手に錯覚しますよね…」

 なるほど、実に巧妙な手法で消費者を信用させている事が分かった。しかし、消費者が会社や商品を信頼したからと言って必ず『買いたい』と思うとは限らない。では、どうやって契約へと漕ぎ着けるのか?
 これについても、Aさんが興味深い話を聞かせてくれた。

 「20代前半の男の子に『結婚のご予定は?』と聞くと、大抵『ありません』と答えます。そこで透かさず『いつかは分からないとしても将来、いずれはご結婚なさるんですよね』と言えば、これも大体『ハイ、いつかは』と答えます。つまり誘導尋問なんです。
 そこからは畳み掛けるように説明します。結婚するとなると結納、結婚指輪、結婚式(披露宴)、新婚旅行、新居等々、何かとお金が必要→この中で安く済ませる訳にはいかないものが一つだけある。それは結婚指輪→何故なら結納、結婚式、新婚旅行はその場限りのもので一度やったら終わりだし、新居は収入等に応じて引っ越すのが普通で、いきなりマイホームを建てる人は居ない。でも結婚指輪は“形”として一生残る物だし、貴方の未来の奥さんにとってかけがえの無いものだから→今の内から少しずつ貯めておかないと、いざ結婚となった時に、貴方だけではなく奥さんもミジメな思いをする→でも若いうちは、なかなかお金が貯まらない→今ローンで買っておけば月々1万円位なら払えない人は居ない→ダイヤモンドはあと数年で掘り尽くされるから値段が年々上がっている→今買わないと損をする
 といった感じで論理的な話しを繰り返し行なうんです。そうする事によって、『買わなきゃいけない』という、ある種の強迫観念を植え付けるんです」

 Aさんによると、もちろんマニュアルがあって、それをベースにして雑談等を交え、長時間に亘って話すそうだ。長時間話す事によって親しみが湧いたり、どんどん断りにくくなる作用もあるのだという。
 人間の心理を実に巧みに汲み取りコントロールする技術は寧ろ恐れ入るほどであるが、それを悪用する企業が70〜80億円とも言われる年商を稼ぎ出しているという現状を、黙って見過ごす訳には行くまい。
 VIP、サンミッシェル南青山、両社の社長である山本和憲は、数百億円とも数千億円とも言われる莫大な資産を海外に隠し持っており、妻と子にオーストラリアの永住権を取得させ、悠々自適に暮らす腹積もりらしい。
「自分が日本から居なくなったら、会社が潰れようが裁判沙汰になろうが関係ない」と語っているともいう。
山本和憲、お前は何処まで汚い男なんだ!(続く)

 
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