「若者が、突然の電話で『楽しいイベントがあるから来て』等と呼び出され、約30万円〜130万円のアクセサリーや複合会員サービス等を、長時間、執拗に勧誘され契約させられるいわゆるアポイントメントセールスによる消費者被害が増加しています。
 このため、都では、訪問販売法及び東京都消費生活条例に基づき、計画的・集中的に関係事業者10社を調査しました。
 その結果、全ての事業者に、法令・条例に違反する不適正な取引行為があり、業務改善の指導を行なうとともに、都内で同様の販売方法を行なっている46社、4関係事業団体に対して、本日説明会を開催し、事業活動の適正化を求める要請を行ないました。
 消費者被害の未然防止のため、条例第27条に基づき、広く情報提供いたします。」


 これは平成11年12月13日にプレス発表された東京都生活文化局によるアポ業者の調査結果である。
 この調査結果報告書には読者諸氏にお見せしたい内容がギッシリ詰まっているが、それはA4用紙約30枚にも及ぶため不可能だ。
従って今月から数回に亘り問題点を掻い摘んでお届けすることとしよう。

 さて都の調査によると、都内の消費生活センター等に寄せられる相談等のなかでは、アポイントメントセールスに関するものが圧倒的に多く、平成10年度の相談件数は2,710件で、九年度の2,266件より約2割増となっている。
 寄せられた相談件数を商品別に見てみると、複合サービス会員権が583件と最も多く、以下アクセサリー(580件)、小型コンピューター及びソフト(329件)、絵画(268件)、外国語会話教室(112件)の順となっている。
 また、平均金額は94万6,000円と高額であり、その殆どが信販会社等が介在したクレジットによる支払いを利用している。
 ここで都の調査報告書に記載されている被害実例を挙げながら、その違法性について分析してみよう。
 
 何から何まで犯罪だらけ

《★「貴方は複合サービス会員のモニターに選ばれたので至急連絡してください」とハガキを出し、連絡してきた消費者に対して「ホテルや旅行等の割引が受けられるモニターの説明会がある」と呼び出し、アクセサリーの購入契約をさせる。
★ 「アンケートに答えたお礼にネールアートを無料で行なうので来て欲しい」と呼び出し、美容室と思って出向いた消費者に対して宝石を契約させる。
――販売の意図を明らかにせず、商品若しくはサービスの販売以外のことを主要な目的であるかのように誘引して消費者を勧誘し、又は契約を締結させる行為は『東京都消費生活条例施行規則』(以下「規則」という)第6条第1号の規定に抵触する。
――同様の理由で『訪問販売法』(以下「法」という)第3条にも抵触する。

★3年前契約した会員権のサービス説明と言って呼び出して新たな宝石購入の勧誘をし、「お金が無い」と断っている消費者に対し「クレジットにできる、物品の購入なら金利が安い」等と説明し契約させる。
――販売目的や商品名を告げずに勧誘する行為で、規則第6条第1号、法第3条の規定に抵触する。

★ 今までのシステムを変更すると呼び出し「ダイヤを購入すれば将来の会費は無料になる」と説明してダイヤを購入させ、会費も従来どおり請求する。
★「ダイヤは今後取れなくなるので価格が上がる」と説明し購入契約をさせる。
――契約内容、条件、仕組み等を告げないで契約を締結させる事は規則第6条第2号、法第5条の3第2号の規定に抵触する。
――虚偽・誤信説明又は不実の告知は、規則第6条第3号、法第5条の2第1項に抵触する。
――知識・判断力不足に乗じて取引内容等の必要な説明をしないまま、不利益をもたらす恐れのある契約を締結させる行為は、規則第7条第6号、法第5条の3第3号省令第6条第2号の規定に抵触する。

 
 消費者契約法で淘汰の波!?
淘汰の波はすぐそこまで押し寄せている(中央区湊2丁目サンミッシェル南青山本社)
東京都生活文化局の指導も完全無視。犯罪行為を繰り返すオズクラブ(VIPの会員権部門)

★ 見るだけで良いと異性からの電話で呼び出し、夕方6時から夕食抜きで午前3時まで説得しアクセサリーを契約させる
5時間以上執拗に勧誘した上「一度家に帰って考えたい」と言っている消費者に対して「この場で無いとダメ、親に言ってもダメ」と言って契約させる。
★ 営業所に約束通りに来なかった消費者に対して「営業妨害!」と威圧し強引に出向かせる。 
――長時間に亘る勧誘や威圧的な言動等を用いたり、迷惑を覚えさせる方法で勧誘又は契約締結する事は、規則第7条第1号及び法第5条の2第2項、第5条の3第3号省令第6条第1号の規定に抵触する。

★定収入がないと断っている消費者に対して、分割なら支払えるだろうと説得して契約させる。またその後、次々と250万円分も契約させた。
――商品又はサービスの購入資金に関して、消費者からの要請がないにもかかわらず、貸金業者等からの借り入れ等を勧めて執拗に契約の締結を勧誘し、又は契約を締結させる行為は規則第7条第5号に抵触する。
――支払い能力を超える事が明白であるにも拘らず、信用の供与と一体となした契約の締結をさせる行為は規則第8条第7号、法第5条の3第3号省令第6条第1号の規定に抵触する。

★ クーリングオフを申し出た消費者に対して、会員サービスは商品(物)ではないから対象外と説明する。
★ 「クーリングオフをすると今後カードが作れなくなる」と言って契約させる。
――正当な理由がないにもかかわらず、消費者等に不利益となる情報を信用情報機関等に通知する旨の言動を行い、心理的圧迫を与えて債務の履行を強制する事は、規則第9条第3号の規定に抵触する。
――クーリングオフ妨害又は拒否行為は、規則第11条第1号、法第5条の2第1項、法5条の3第3号省令第6条第1号の規定に抵触する。――》

 とまぁ、このように数え上げたらキリがないほどの違法行為で成り立っているのがアポ業者(の中の悪徳業者)なのである。
 アポ業界に詳しい情報通氏は4月1日から消費者契約法が施行される事を受けて「業界内での生き残り合戦が激化するのは必至で、業者の半数近くは淘汰されるだろう」と語った。
 山本和憲((株)ブイアイピー社長、(株)サンミッシェル南青山社長)クン、キミのところは大丈夫か?都の調査結果を読んでいると、どうもキミの会社の事を言っているように思えてならないんだが……。
 まぁ、キミ等が当紙の糾弾の的となったからには、早かれ遅かれ瓦解する事は目に見えているが…。

以下次号

 
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