当紙が入手したVIPの顧客名簿。今回入手したのは約1,150人分だ。名簿には生年月日やTEL番号、仕事先等が記載されており、余白には「APO」だとか、「イイ人」或いは「親がウルサイ」等のメモ書きが…
「VIP被害者の会」が出来るのはいつ頃かなぁ…
 
 顧客のプライヴァシーは皆無 日毎売買される個人情報

 VIP山本和憲代表)を頂点とした悪質アポ業者追跡取材の続報である。
 名簿屋・アポ業者・信販会社が“三位一体”となって、消費者(特に若者)を食い物にしている実態の中で、今回は名簿屋に焦点を当ててみたい。
 都内にも数十件有るとされる名簿業者であるが、中でも大手と言われるT社の場合、所有している名簿の多くは、高校・大学などの卒業者名簿や、企業の社員名簿である。 
 これ等を情報として活用(悪用)しているのが、DM(ダイレクトメール)を営業の柱とするアポ業者である。
 若い年齢層に的を絞って営業を仕掛けるVIPなどのアポ業者にとっては、性別や年齢そして連絡所在地などが明記されている名簿は、必要不可欠な最大の武器なのである。
 ある日突然、消費者の元に見知らぬ企業から電話や手紙が舞い込んでくる経緯には、この様に多くの悪質アポ業者に個人情報が常時流出している事実があるからである。
 しかし、個人情報の流出はこれに留まらず、悪党の的に晒されている消費者を取り巻く状況は、尚深刻な事態にまで悪化している。 
 アポ業者の巧みな営業に丸め込まれ契約締結してしまった、言わば被害者ともされる契約者の情報が『騙しやすい者』との新たな付加価値付きで、アポ業者の間で高額な情報料で取引されていると言うのだ。

 業務によって知り得た個人情報は、どの様な業界に於いても秘匿とするのが最低限のルールである。
 しかし、情報を提供する側それを受ける側共々、アポ業界に身を置く営業社員らは「情報交換は皆やっていることだ。金になるものだったら売るし、営業に必要な情報なら高額でも買い取る」と、業務としてだけではなく、実入りのいい副業として捉えているというから驚きである。
 元々が業者間の横の繋がりは希薄な業界である。業界全体の健全化と発展を望んでいる経営者は皆無に等しく、其れゆえ働く従業員は自己の成績を上げ、高給を手にする事だけに躍起になっている。
 中には、アポ業者を渡り歩きながら、その都度元職場から顧客名簿を盗みだして、次の職場に好条件で潜り込む輩、又それを喜んで迎え入れる経営者が少なからずいるというから、この事からも業界全般までに及ぶ腐敗ぶりが伺い知れるというものだ。
 不正商法であるとの自覚を持って利益追求に走る経営者も、法に抵触しない程度に上手く振舞う者も、消費者を食い物にしていることに大差ない。
 ましてや、そこで働く者達には人を騙しているといった罪の意識さえも無く、あまつさえ窃盗を犯す者もいるというのだから救いようもない。

 これら、性根までもが腐り切った連中の頭には、顧客は単なる金ヅルでしかなく、その身を置く世界は一般常識さえも通用しない異常な業界であるといえる。
 詐欺的商法をもって消費者、しかも未熟な若者を的にし利益を上げるアポ業者は、身内であっても裏切り行為は日常事であり、正に地獄に巣くう餓鬼そのものなのだ。
 人を陥れることには何の痛みも感じない反面、一旦自身に火の粉がかかれば、自分等がやっていることを棚にあげて、やれ名簿が盗まれた、貸付金が焦げついた、社員が引き抜かれた、しまいには売り上げを持ち逃げされたなどと、情けないほどに騒ぎ出すに至っては“目くそ鼻くそ云々”そのものである。
 厳重に管理すべき顧客名簿が、社員の手によって外部に流出した事実一つ取ってみても、本来ならば大問題である。
何より先に顧客に対し、報告と謝罪がなされるべきではないのか。
 にも拘らず、自社が被る損害にしか意識を回さず、顧客に対しては事実を隠蔽し、その後に必ず行なわれるといっていい、名簿を悪用した新たなアポ業者からの勧誘に警告を発することもせず、唯々名簿の流出事実を野放しにする始末なのだ。
 勧誘する際にはあの手この手で誘い込み、目的の銭を吸い上げてしまえば、後のことには興味が無いとする、これが悪質とされるアポ業者の実体なのである。 

 
 顧客名簿流出は厳然たる事実 それでもVIPは知らんぷり

 では、顧客情報流出が最も激しいのはどの業者か?言わずと知れた『VIP』である。
 昨年多額の負債を抱えて破産した業界大手のオーツーアイ企画。この会社の顧客の受け皿となったのがVIPであることは、当紙でも既に報じたとおりだ。ところがその後、VIPに渡った6,000人分とされる顧客情報が、短期間のうちに業界全体に流れ出した。
 当紙の元にもその一部があるのだが、原本に近い状態のものから、中には複数の業者を辿ってきたのか、営業の後を残す書き込みがされているもの迄、様々である。
 表向きは破産した業者の顧客を救済した形で、VIPも株を上げたかに見えても、実際のところは顧客側からしてみれば更なる苦境に晒された事になる。
 事実、多岐に渡る執拗な勧誘の電話等に悩まされている会員が多数いるとの事である。 

 情報の流出に関しては、破産前後のゴタゴタの際に当時の社員によって持ち出されたものなのか、或いはVIPが関与したものなのかは定かでないが、今現在情報管理すべき立場にあるのが『VIP』である事に変わりは無い。
 顧客のプライバシーさえも保護できぬ同社の管理態勢への謗りは当然と言っていいだろうし、本来ならば進んで賠償等を行なうべきなのである。
 しかしそこは泣く子(顧客)も黙る天下のVIPである。悪質アポ業者の頂点を極めた同社にとっては、顧客保護は2の次3の次で何より大事なのは自社の利益なのである。
 顧客情報の流出を詫びることもせず、自社の“畑”を荒らされたことにのみ怒りを露にし、同じ穴のムジナである同業者相手に泥沼の訴訟を展開しているというから話にならない。

 顧客を取った取られたと言って争い、社員を引き抜いたと言っては逆に引き抜き返し、極め付きは「あそこは悪質業者だからウチに乗り換えろ」と、何とも恥知らずな営業妨害さえも行っているらしい。
 いずれにせよ、青少年の諸君等には、低俗な争いに終始しているアポ業者に二度と騙されないよう注意していただきたいものだ。
 勉強代としてはかなり高額なものになってしまったもの、これを人生経験の糧とし、将来どの様な職に就こうとも、人を騙す醜い大人にだけはならないよう、肝に銘じてネ。
〔つづく〕

 
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