一見すると求人広告(全国リーダー募集)に見えるが、その実は『子ネズミ』獲得のワナ(毒入りまんじゅう)だったりして!?
 
 アポセールスからマルチ商法に転換

 消費者の大敵と言ってもいい、悪徳アポ業界の古狸=VIPの山本和憲が、又候如何わしい商売を始めた模様だ。
 ほんの数ヶ月前、系列会社=サンミッシェル南青山の悪質極まる勧誘が問題となり、東京都から処分を受けたばかりなのだが、全く懲りない悪党である。

 度重なる悪徳業者の摘発に加え、当局の消費者に対する注意喚起も功を奏し、
業界そのものが衰退していることは確かである。ましてや、当紙の糾弾によって同社のシンボル的組織であった『オズクラブ』がガタガタの状態になっては、いくら面の皮が厚い山本和憲とて、生き残りに躍起になって当然だ。
 そこで、山本和憲が起死回生に打った手が『ネットワークビジネス』への参入である。

 この一般にはまだまだ馴染みの薄いビジネスの本質は、単なるマネーゲームであり、古典的詐欺商法『ネズミ講』の進化したものと考えればよい。進化と言っても、呼称が今時のカタカナ商売に変わっただけで、所詮は詐欺商法である。ピラミッドの頂点付近に位置する、極小数の輩が『子』から利益を吸い上げる普遍的原理は、従来のネズミ講と何ら変わりはない。
 その証拠に、一攫千金を狙う詐欺師共が「時流に乗り遅れてなるものか」といっぱしの起業家を気取り、続々と業界参入を果たしている。もちろん、銭儲けしか頭になく、安易に立ち上げた組織が生き残るはずもない。殆どは一年未満、中には僅か数ヶ月で破綻することも然して珍しくもないのが、この業界の特徴である。

 其れでも、被害者が必ず発生する事だけは確かであり、僅かに生き残った組織の1つでも連鎖的システムが具合良く機能してしまえば、あっという間に数万人規模の被害者が生み出される事態となる。
 更に、既存組織への新規参入者の多くが『健康』をコンセプトに、それに繋がる食品(飲料)等を主力商品として、システム構築をはかるのが昨今の主流らしい。と成れば、健康に留意する高齢者が被害者となる割合が高く、このまま業界を放置すれば、いずれは社会問題に発展する可能性が大いにあると予測される。

 ネットワークビジネスと称するものの多くがネズミ講紛いである以上、彼らが売りにする『健康と高額収入』の一挙両得は、夢物語であることを消費者は肝に命じなければならない。

 さて、希代の策士=山本和憲は、どの様な形態をもってネットワークビジネスに参入したのか。流石なのは、有象無象の俄か起業家共とはやはり一味違うところだ。
 流行りの健康食品には目もくれずに、長年アポ商法で培った騙しのノウハウをフル活用し、対象とする商品もこれ又お得意のレジャーリゾート・格安旅行をメインに据えている。
 その名称は『は〜もにークラブ』と言うそうだが、その辺のママさんコーラス隊の様な、何ともお気軽で楽しげな印象を受ける。
 これも又、消費者の警戒心を和らげる為の、山本和憲が得意とする集客テクニックの1つである。現に、業界専門誌に掲載している同クラブの求人(カモ?)広告にも「遊びが仕事」と言い切っており、消費者の興味を引き付けるその手法には今更ながら恐れ入る。

 
 『オズクラブ』から『は〜もにークラブ』
(株)VIP代表 山本和憲

  これ等を目にした消費者が「一寸面白そう」と同クラブの門を叩いた瞬間、既に山本和憲の術中にはまっているといってもよい。更に同クラブの説明会(毎週火・木の2回)に参加しようものなら、てぐすね引いて待ち構えていた勧誘員から次から次へと夢のような話を聞かされる事になる。 

 例えば《日本全国500ヶ所の旅館・ホテルが格安料金で利用可能》《更に150ヶ所のペンション・民宿も格安》《全国70ヶ所のシティホテルは半額で使い放題》《有名スポーツクラブも格安で利用可能》その他、提携テニスクラブ160ヶ所に、ゴルフ場140ヶ所もあるといった具合に、聞けば聞くほど素晴らしく充実?したサービス内容である。
 極めつきは、同クラブに入会し1年経過すると、自社所有38ヶ所の宿泊施設が、無料(しかも3連泊)になる特典も付いてくるというのだ。出不精を自認する筆者とて、年に数回は旅行もするが、これだけの施設を回り切るのは一生かけても無理である。

 単純に考えれば、同クラブの月会費1万5,000円(年間18万円)を支払い、それを宿泊代のみで回収するには、前記の様々な施設利用の割引率を50%で計算し、年間36万円分宿泊して漸くチャラである。無論これに交通費や雑費を加えれば、同クラブの会員は旅行のみに、年間100万円近くも使うことになる
 国内旅行でこれ程の支出をする者は、旅行好きの域を通り越し、単なる放浪癖をもつ変わり者である。
 しかし、言葉巧みな勧誘員に、やれゴルフにテニスにフィットネスと魅力的な特典を提示され、冷静さを失い、その気になってしまうのだ。

 先に触れたように、この手の施設も宿泊施設同様、利用者の減少から料金もお手軽になっており、何時利用するやも知れないものに安くない会費を払い続ける意味など無いのである。
 ただ、『は〜もにークラブ』にとっては、これ等は無形商品(役務)であり、会員が新たな会員=『子』を釣り上げる“餌”でしかない。私利私欲に走る会員にとっては、これ等を利用したいが為に組織に参入する訳ではなく、飽く迄銭儲けが目的である。
 彼らの多くは、自らの下だけは会員が増え続けると信じ込み、そこから吸い上げる銭を日々夢見ているのだ。「自分だけは決して損
をしない」と、せっせと勧誘しても、結局は山本和憲を肥え太らすだけなのだ。
そして、近い将来殆どの者が被害者となって泣きを見るのがお決まりの路線である。
 同クラブが会員権役務を主力商品とし、既存のネットワークビジネスとの差別化を謳ってはいるが、健康食品や化粧品、そして定番とも言うべき布団販売を生業とする組織と何ら変わらないのだ。

 結論を言えば『は〜もにークラブ』は特定商取引法に規定されている連鎖販売取引を行なう組織であり、それを主宰し頂点に君臨する大ネズミこそが、山本和憲の正体ということだ。
 短絡的に儲け話に乗る子ネズミがどれだけ損を被ろうと同情の余地はないが、知人の嘆願を受け、やむなく出資する被害者も多い。だが、被害者が一転して加害者に成ってしまうのが、この手の商売の恐ろしいところだ。
 知人・友人関係を利用した勧誘によって、築き上げた信頼を一瞬にして崩壊させる事もある。又、仕方なく始めてみたものの、次第に欲に駆られ無理な出資をし、生活そのものを破綻させるといった話もよく耳にする。
 結局、身を守る最後の術は自己防衛でしか無い事を忘れてはならない。巷に溢れる“必ず儲かる話”などはこの世に存在する筈がなく、仮にあったとしても、一般消費者の元などに舞い込む事はありえないのだ。

 其れでも引っ掛かって後悔している方、特に『は〜もにークラブ』に関係する泣き言なら、当紙が責任持って相談に乗りますので、遠慮なくご相談下さい。
(以下次号)

 
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