日本と米軍のパイプ役だ?
治外法権は分かるが、これだけ負担していながら何も言う権利が無いというのもおかしな話だ(在日米軍ホームページより抜粋)
―「私は米軍と太いパイプを持っている」「米軍との信頼関係は日本国内に於いては、もはや国対国以上の信頼を築いている」―

 そう本紙の取材に鼻息を荒立て、仁平稔社長(株)ユアネックス=中野区本町3-29-10)は続いてこう捲し立てた。

 「在日米国軍の発注する様々な事業に国内の業者を参入させてあげるのが私の仕事であり、また私にしか出来ない仕事である」と。

 こんな言葉を信用し、入札参加資格を取得する為の手数料として仁平社長の言うがままに五百数十万円ものお金を支払い、約束から半年あまりが経過したというのに、仕事どころか入札参加資格すら「絵に描いた餅」となってしまい、下請け業者を50数社も抱えて米軍基地内の事業参入の準備を1年がかりで進めて来た平林建設株式会社平林慶則社長(長野県東筑摩郡5523)は、正月を迎えるにあたって本物のお餅も当分お預けになりそうである。

 理不尽な現実に平林建設側が抗議したところ、仁平社長から一通の内容証明郵便が届いたという。以下その一部を抜粋してみよう。

 ―「米国と日本国の戦後60年に至った今日、日本国が提供している国内の三百数ヵ所の道路、滑走路、建造物ほか総ての施設等が荒廃しており、それらのリニューアル、メンテナンス等を行わなければならず、そのために日本国が『思いやり予算』として2兆円の予算を付け、また米国からサーズ等の資金1兆円を固執し治安維持をして行わなければならないその膨大なる利権である一部を(平林建設に)担っていただきたい」―

 だそうである。何やら暗号文のような難解な日本語だが、これも長年に亘って米軍の発注する事業に携わってきたせいだろうか?

 また、米軍基地内に於いて見たこと聞いたことは機密であり、入札参加資格を得るにはとても厳しい審査があり、並みの労力では得られないのだと言う。

 そこで、戦後マッカーサーが来日して以来、この仕事に携わり米軍と深い信頼関係にあるのだという仁平社長は、米軍と日本の企業とのパイプ役となり、日本の業者が事業参入することを容易にしてあげることを本業としており、米軍の仕事を請けるための事務所の開設から米軍から送られてくる事務書類の翻訳など全てを中間処理し、独立できるまでサポートするのだそうだ。

 
 要は下請け業者の斡旋

本紙は、仁平社長が実際に米軍基地内の入札参加資格を得るまでを面倒を見てあげて独立に成功したという会社の一つである(株)山口コーポレーション国際事業部山口良一社長(港区西新橋2-18-6堀部ビル一階)に取材をしてみた。

本紙― 仁平社長は知っていますか?
社員 「はい知っています」
本紙― この会社を創った人だそうですが
社員 「えーっ!?」
本紙― 米軍の仕事を取れるようにしてあげたと言っていますが
社員 「えーっ、そんなこと言ってるんですか!」
本紙― 御社の顧問と聞いておりましたが?
社員 「全然違いますぅ!」
本紙― 仁平社長が山口コーポレーションの名を使って米軍基地の現場説明会に色々な建築業者を連れて行ってるみたいですが?
社員 「それは当社で入札参加していますから、仁平社長は当社の下請けとして出入りしているのですが…」
本紙― ということは仁平社長ご自身の名(自社)では出入りできないということですよね
社員 「はい」
本紙― 米軍から送られてくる英文の書類は翻訳するのに1枚につき2万円と言われた業者がいるそうですが?(翻訳された資料をみせる)
社員 「これは私がここでパソコンの翻訳ソフトを使って作成したものです。こんなものでお金はいただけません」

という具合に、初っ端から本紙の質問に対して寝耳に水といった感じであった。

 仁平社長の話と余りにも食い違うので詳しく話をきいてみたところ、山口コーポレーションは建設業者として米軍基地の入札参加の許可を受けてはいるが、実際に自社で工事する能力がない為、国内の建設業者をその都度JVとして取り込み、仕事を得ているのだという。どうやら仁平社長は山口コーポレーションの下請けとなる建設業者を何処からともなく探してくるのがお役目のようだ。

 ん?待てよ。これを日本の公共事業の入札に置き換えると、国なり県なりが発注する大きな事業の入札参加資格を有する山口コーポレーションが、自社では実際に工事をせず、仕事を丸投げするための下請け業者を探してJVを組み、工事に参入させるということでは?

 仁平社長は山口コーポレーションの下請けとなって実際の仕事の全てを請け負う業者を探し出し、言葉巧みにお金を募っているのではないか。つまり仁平社長の仕事は、山口コーポレーションの入札参加資格を旨みとし、下請けとなる業者を探してくるだけで銭にする美味しい仕事なのかも。

 仮に山口コーポレーションがお金をガッポリとピン撥ねして丸投げしたとしても、足が付かない話ならば(少しでも利益があれば)このご時世だから、下請け業者は飛びついてくるだろう。

 
 山口コーポもグルなのか?
米軍の仕事を請け負うにしては随分と地味な山口コーポレーションの事務所
 しかし、実際に入札参加資格を取得し、幹事会社として下請けとJVを組んで参入し、米軍から送られてくる英文オファーの翻訳業務に毎日追われている山口コーポレーションはともかく、それらを自社の業務のごとく「俺は米軍に顔が利く」と言って業者から金を募るブローカー紛いの仁平社長を、山口コーポレーションは容認しているのだろうか?

 山口コーポレーションの和田部長は本紙の取材に対して当初、業務提携していると答えていたが、後に取材した山口社長は当社には一切関係ないと言い切っている。真相はいかに?

 因みに、仁平社長の言っている「米軍に信頼を受けている」「米軍基地の仕事を斡旋している」という事が本当なのか、また違法性はないのかどうか、仁平社長の身の潔白を証明すべく外務省と防衛施設庁に問い合わせてみた。

 返ってきた答えは、案の定「米軍基地内に於けることは治外法権にあり、日本政府の関知するところではない」だそうである。

 しかし「思いやり予算」だとか何だとかで、日本政府は在日米軍の直接経費のほぼ半分も供給しているのだから、その金の使途を知る権利ぐらいは堂々と主張して欲しいものだが…。

 ざーんね〜ん!弱腰外交斬りッ!

 仕方ないので今度は米国大使館と米軍基地に手持ちの全資料を提供し、調査してもらうことにしよう。来月は資料を基に詳しく検証していく。  
(つづく)

―仁平社長に追伸―
 先日、御社((株)ユアネックス)を訪ねました。オートロックの高級マンションの一室に事務所を構えているのですね。しかし、大きなお世話かもしれないけれど、住居専用マンションだというのに入居するなり会社を開設しているので、管理人さんが非常に困っているようでしたよ(あれれ?このマンションも自分が建てたって言ってなかったっけ?)。

 時には暴力団員風の人たちが大勢で押しかけてくることもあり、非常に迷惑しているとも管理人さんが言っていました。なにやらトラブルが絶えないようですね。でも、管理人さんも仁平社長も、マンションのまん前が中野警察署だもん、大丈夫!

 しかしなんだなぁ、中学生は偽札作るし、高校生はオレオレ詐欺や架空請求で逮捕されるし、昨今「犬も歩けば詐欺師に当たる」と言うぐらい、詐欺師が多くなったなぁ。そう言えば筆者の友人である中野浩司君も昔、米軍基地に兵士相手のキャバレーを作らないかと言う話を持ちかけられ、まんまと500万円余りを持ち逃げされたって言っていたけど……あッ、まさか!

 
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