315万円

米海軍の戦艦も、仁平の目には札束に見える?(米軍横須賀基地)

―「私は米国から強い信頼を得ている」―

 (株)ユアネックス(中野区本町3-29-10)会長仁平稔は、本社であるマンション内の一室で、本紙の取材に対してこう答えた。更に、何やら英文で書かれた証書を奥の部屋から持ち出し「これが米軍から貰った認定書だ」と見せながら続いてこう言い放った。

 「戦後、マッカーサーが日本に来たときから、ずっと日本国内の業者に在日米軍の発注する業務を斡旋してきた。アメリカという国は組織よりも個人のお付き合いを尊重する国なのだ。もはや国対国以上の信頼関係を築いている私にしか出来ない仕事である」と。

 小柄ながらも、(自称)70歳とは思えないほど力強いハッキリとした口調で語る仁平ではあったが、しゃべればしゃべるほど話の辻褄が合わなくなり、その信憑性は薄れ、その場しのぎの“力説”振りは、まるで逮捕直前のKKC・経済革命クラブの山本一郎のようであった。

 そんな仁平の言葉を信用し、多額のお金を言われるがままに支払ってしまったのが、地元長野県では数々の公共事業に携わり、実績十分の平林建設株式会社代表・平林慶則氏(長野県東筑摩郡生坂村5523)である。

 前号に続き今回は、平林建設の下請業者として在日米軍基地の事業に参入するため、共に事業計画を計ってきた情報通のT氏に接触し、話を聞いてみた。

 T氏によると、この在日米軍基地内に於ける米軍の発注する仕事に参入しようという話は、1年も前から計画してきた話なのだという。

 そして平成16年6月21日に(株)ユアネックス代表・仁平稔、及び同代表・新清と、平林建設代表・平林慶則との間で交わされた業務委託契約書に基づき、まず315万円が平林建設からユアネックスに支払われたのだという。

 この業務委託契約書によると『米国軍日本地区技術本部において要求必要とする(本紙注・原文のまま)平林建設の入札参加資格、工事参加資格、工事業者登録等各種資格取得の為の情報収集、状況調査、事前交渉』や『米国軍日本地区技術本部に対する平林建設の指定業者資格証・認証の取得』を平林建設は(株)ユアネックスに委託するというもので、その委託費用として315万円を支払うとされている。

 仁平風に要約すると『ユアネックスに315万円支払えば、平林建設が米軍の発注する工事を請負えるようにしてやるよ』ということである。

 
 450万円 268万円

中野区にある仁平君のマンション

 この契約が交わされた際に平林建設が、今後どれくらいの費用が必要になるのか質問したところ、仁平は「米軍には陸軍・海軍・空軍があり、それぞれの登録費用が別途に150万円ずつ掛かるので、全部で450万円が掛かる」と言っていたそうである。「それ以外にはもうお金は掛からないのですね」と平林建設が念を押すと、「掛からない」と言い切っていたという。

 ところが、それから1ヶ月も経たない内に「現在、手続きは進行中だが、色々な社会情勢が絡み時間が掛かる」などと言って、更に「あと268万円を支払えば、半年かかる手続なのだが2〜3ヶ月で済ませて仕事が出来るようにしてやる。それから、手続きをしている間も、私が既に米軍の認証を得て基地内で仕事を出来るようにしてあげた(株)山口コーポレーション国際事業部(代表・山口良一=港区西新橋2-18-6堀部ビル1階)=(本社(株)山口工業・川崎市高津区末長1375)の下請けということにして平林建設に米軍の仕事をさせてやる」と言ってきたのだという。
再三に亘って予定外の支出を迫る仁平の言動に不審を抱き始めていたT氏は、「更にお金を支払うのは止めたほうが良い」と平林建設に助言し、思い留まらせたのだという。

 しかし仁平は平林建設の専務・平林恭治に対し「このお金を支払わないと、現在進めている入札参加登録も出来なくなるぞ」という半ば脅しのような文句で、結局268万円を平成16年7月12日に、新たに作成された業務委託契約書に基づき支払わせたそうである。

 この新たな業務委託契約書には『入札物件の落札に関し、円滑に受注する為の業務委託契約を締結する』と記され、契約に基づく10条までの約束事が謳われている。

 その第3条に記されている268万円の詳細とは、平林建設が長野県に所在しているので、これから在日米軍の仕事を円滑に請け負う為には、東京都内に事務所を設立することが不可欠であるとして『平林建設東京事務所』の開設に伴う費用とされているのだ。

 更に詳細を述べると所長の給与50万円、女子職員1名の給与28万円、家賃30万円、敷金3ヶ月90万円、専用パソコンと電話1回線で50万円、事務経費20万円で、これらの合計が268万円だということである。そしてこの中の家賃、所長と女子職員の給与、事務経費の合計128万円に至っては毎月必要経費として支払えというのである。

 しかし、仁平にお金を支払い東京事務所開設を任せたものの、実際その東京事務所とは(株)ユアネックスがある仁平のマンションの一室に開設されたに過ぎなかったのである。これにはT氏も怒りを堪えきれず平林建設と共に抗議したそうである。

 それにしても平林建設は何故、これほどにまで仁平の話を信用し、数百万円もの大金を支払ってしまったのだろうか。
それは、恐らく仁平が実際に米軍基地に出入りしている山口コーポレーションの名を使い、平林建設やその下請け業者を米軍基地内での現場説明会に連れて行ったからであろう。

 平林建設にしてみれば、実際に基地内に出入り出来たことで信用してしまったのだ。だが実際には山口コーポレーションの名前で入れたに過ぎない。悪く言えば、山口コーポレーションを隠れ蓑に米軍基地に出入りし、米軍に顔が利くと信じ込ませたに過ぎない。

 何故なら山口コーポレーションの山口良一社長は本紙の取材に対して、仁平は「当社の設立どころか何の関係もない」と答えているからだ。しかし山口社長が「関係ない」と答える前に取材した同社の和田部長の「仁平さんとは業務提携している」という全く社長とは正反対の回答には、何か裏がありそうだ。ひょっとして、山口社長は下手を打った仁平という『トカゲの尻尾』を切ろうとしているのか?

 
 同和の名刺で業者を恫喝?

「業務提携」?「無関係」?いったいどっちよ(山口コーポレーション)

 また、仁平が米軍の話をするときに、自分の右腕であるかの如く語っている富田某氏という人物が事件の鍵を握っているようだが、この富田氏は聞くところによると、あの小佐野賢治から引継ぎ、米軍と深い関係を保っているのだというが本当だろうか?

 小佐野賢治といえば、戦前から軍需省の出入り商人として活動して大いに蓄財し、終戦直後に駐留米軍を相手に中古車を展示販売し大成功を収め、商売相手を駐留米軍に転換。そして根津財閥から熱海ホテル、富士山麓電気鉄道から山中湖ホテル、東京急行電鉄から強羅ホテルを買収し、主として駐留米軍を相手にした観光事業に進出。

 更に東京急行電鉄から東京観光自動車・東都乗合自動車を買収。これを足掛かりとして駐留米軍のための送迎バス事業を請け負い、昭和22年には、社名を『国際興業』とし、更にアメリカから中古車と農機具の輸入・販売を手がけ、この手の在米事業の基盤を築いた御仁である。

 『田中角栄の刎頚(ふんけい)の友』と呼ばれる小佐野賢治は、ロッキード事件の関係者と目され国会で証人喚問を受けた際には「記憶に御座いません」と答えた。後にその言葉が都合の悪い時に冗談めかして使う流行語となった。

 さて、そんな小佐野氏との関係で米軍と信頼関係を築いているという富田氏が山口コーポレーションに米軍の仕事が出来るようにしてあげたらしいのだが、山口コーポレーションの和田部長が「当社が在日米軍基地の入札参加登録を取得したとき、富田氏が手解きしてくれたのは確かだが、仁平には関係ない」と答えているので、間違い無いと思われる。

 だが「米軍の仕事は富田と私で戦後築いてきた」とか「山口コーポレーションはユアネックスグループの1つだ」などと言っている仁平の話は信用できない。

 しかも今頃になって、本紙に対して「山口コーポレーションと富田氏のところへは、関係ないから行かないでくれ」とは、一体どういうことか?

 やっぱり『人のフンドシで相撲をとっていた』だけじゃないのか?

 しかも本紙が真相を究明すべくあちらこちらに取材で回っているその裏で、仁平は平林建設に対し、同和団体の名刺を出して「役所に圧力をかけて、公共事業が出来なくしてやるぞ」だとか「ユアネックスに支払ったお金は返してもらったことにしろ」などと脅しているという情報が入ってきている。

 仁平クン、それって思いっきり犯罪じゃない?というか、やっぱりそれが仁平君の正体だったのね…。
(つづく)

 
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