将来の上場計画 目先の倒産計画
無理矢理の真ん中分けで、サギ師の雰囲気を倍増させる、セボン(株)山崎キクちゃん
 仕事を与えた上に資金提供(貸付)までし、実質的支配下に置いていた建設業者に、ある日突然破産された、一見哀れな中堅不動産業者=セボン株式会社(新宿区西新宿6-11-3)代表山崎喜久男

 だが、「近々上場を狙っている」と其処かしこで噂される企業が、こんな“マヌケ”な筈がない。この破産については、あまりに鮮やかで手慣れたものであったため、『用意周到に仕組まれた計画倒産では』と、嫌疑がかかっているのも事実だ。ならば、破産者と緊密な関係であったセボンの「破産は寝耳に水」の主張を、額面通りに受け入れる訳にはいかない。

 そこで、本紙前号に引き続き、当該破産後の現状を踏まえつつ更に深くセボンの実像に迫ってみたい。

 さて、来たる6月9日午後3時30分、東京地方裁判所(3階)債権者集会場において件破産者の財産状況報告集会が行なわれる。

 この日、破産債権保有者の矢面に立つのが、柴山建洋建設株式会社(港区六本木3-4-25)代表取締役の柴山健一である。

 柴山については前号で報じた通り“破産・倒産”の常習者であり、この手の債権者集会などは苦にもせずに、債権者からどれ程の罵詈雑言を浴びようと「ない袖は振れない」で、今回の破産も乗り切るつもりであろう。況してや、この破産が疑い通り計画的なものであったなら、前々から手持ち資産を巧妙に隠してきたに違いなく、債権者が救われる道は集会を待つ迄もなく、既に閉ざされているといってもよい。

 このままでは柴山の自作自演によって、この集会が単なる“茶番”で済まされそうだが、その茶番に便乗し更に拍車をかける行動に出ているのが、セボンなのである。セボンはどうあっても、自らの立場を“一債権者”で通したいようであるが、本物の債権者にしてみれば全くふざけた話である。

 
 「相殺」の狡い活用法

そもそも柴山の孫請けだった業者が大損害を被ることになった直接的原因は、セボン所有物件『アクシスト世田谷赤堤』(世田谷区赤堤4-35-6・全9戸)のリフォーム工事代金の未払いによるものだ。

 セボンの言い分は、工事完了による物件の引渡しを受けると同時に工事代金の精算をするつもりが、支払い先の契約業者(柴山)がその2日前に突然破産してしまったので、急遽貸付金と相殺したということだ。

 これによって、支払い名目がどうあれセボンは柴山との契約を完了し、工事そのものでは一銭たりとも損をすることなく、真新しくなった物件を手にしたことになる。当然その結果、孫請け業者の手に工事代金が渡る訳がなく、誰よりも損害を被りながらも、破産渦中からは蚊帳の外に押し出されてしまったのだ。

 だが、セボンのこうした措置が柴山の破産手続開始後に行なわれていたとしたら、とんでもない違法行為である。何故ならセボンが柴山への貸付金と相殺した工事代金は、工事を完了させた報酬として柴山が受け取るべき金であり財産であって、破産者の財産は然るべき破産管財人によって、後の配分期日迄は『債権者の共有財産』として管理されるものだからである。

 破産手続きが進行している内は「破産者の財産を所持している者は、破産者に交付してはならない」との取り決めがある。結果としてセボンの行為は、債権者の共有財産に成り得た工事代金(殆ど孫請け業者のもの)を、貸付金と相殺する形で、破産者の柴山に交付したことに他ならない。

 これにより、債権者を自負するセボンだけが、集会以前の段階に於いて唯一その精算処理に成功したことになる。

 しかし、財産状況報告集会で問題提起され、破産手続の妨害とされかねない身勝手なまねを、損をしたくないといった理由だけで実行したとは考えにくい。と為れば、柴山の破産手続が開始される前に工事代金と貸付金を相殺していたか、或いは元々そういった契約が盛り込まれていたということで、これでは「破産は寝耳に水」としているセボンの主張は虚偽ということになる。

 柴山への貸付金を工事代金でチャラにすれば、柴山の孫請け業者への支払いが滞るのは明らかであり、その先に『破産』が待ち構えていることも、セボンには十分予見出来た筈だ。

 言い換えれば、セボンは自社物件のリフォーム工事を利用することで柴山への貸付金を回収し、その上で後腐れないように破産させることで、工事契約を強引に完了に持ち込んだともいえる。勿論、その企てによって全く非のない孫請け業者を危機に陥れることを承知の上でだ。

 これらから導かれるこの破産の真相を『柴山の破産を前提として、セボンが舵取りをした』と考えるのは当然の成り行きといえる。

 そうでなければ、倒産・破産の前科者で、既に自宅まで競売で他人の物になっている柴山を態々丸抱えし、あまつさえ回収の見通しもない大金を貸し付けていたことに説明がつかない。

 とどのつまり、セボンにとって柴山の価値は、工事代金をロハ(無料)に出来る都合の良い道具に過ぎなかったのではないか。とすれば、セボンの柴山への金銭貸付が実際に行なわれていたのかさえ疑わしくなってくる。それでも“一債権者”の立場を貫くのであれば、全ての債権者を納得させるに足りる十分な説明を行なう義務がある。

 柴山のような胡散くさい業者を元請けに据え続けた結果、きっちり仕事をこなした孫請け業者に多大な損害を与えたのは、覆りようのない事実だからだ。ならば施主として道義的責任を果たすべきであり、それすら出来ないようなら、この先“上場”などはとても無理な話で、そんな夢は金輪際見ないことだ。

 
 三井リハウスもウンザリな様子
見た目がどんなに奇麗でも、
お金にあれだけ汚いとねぇ〜…
 ただ、セボンの出方を悠長に待っていられるほど、孫請け業者等には余裕がないようだ。彼らは「計画倒産の疑いが濃厚」と、柴山の破産申立てに異議を訴えることでその廃止を視野に入れているらしく、更に、当面の権利保全のために当該物件の『販売禁止の仮処分』を近々申請する運びのようだ。

 しかし、そんな動きを知ってか知らずか、セボンは物件の早期販売に血眼となって動いている。それもその筈、訴訟沙汰にでもなれば、今後裁判所がどの様な判断を下そうとも、審理が継続している間はその内容を伏せたままで販売することは出来ないからだ。そうなると購入者が曰く付き物件の購入に二の足を踏むのは当然のことで、販売が困難になるのは明らかだ。

 それでなくとも、元請け業者の破産といった負のイメージを既に背負っている以上、一般に名の通っている大手販売業者の販路にも乗せられないのが現状なのだから、焦りの程は相当なものに違いない。

 セボンにしてみれば、現状は全く予想外の展開との思いだろう。物件販売一つにしろ、当初は業界大手の『三井のリハウス』(三井不動産販売ネッワーク)に工事完了の数ヶ月前から専任販売を委託し、早期完売(柴山が破産する前に)を目論んでいたようだ。しかし、物件そのものに魅力がなかったのか『リハウス』でさえ専任期間中の販売実績はゼロに終わったのだ。

 ただ『リハウス』の販売担当者曰く「逆に売れなくて良かったです。後々の面倒な騒動に巻き込まれたくないですから」と、後日取材の折に本音を漏らしていた。この販売不調がセボンにとって予想だにしなかった結果であるなら、これ迄強引に押さえ付けてきた現場業者からの突き上げは、考えも及ばなかった事態であったろう。

 セボンの下請業者の扱いの酷さは、業界でも広く知れ渡っているが、今回はあまりに度が過ぎたようだ。 今となっては下請業者を柴山の道連れにして、事を封じ込めようとしたセボンの計画(?)は頓挫したと言えよう。

 この問題、決着するにはまだまだ時間を要しそうであるが、今後も取材を継続しつつ事の成り行きを注視していくつもりだ。

 さて、次回は当該物件で発生したもう1つの問題、『解体ゴミ不法投棄』について報じよう。
(つづく)

 
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