高島易断=月極駐車場

 先月号で、高島易断とは団体名ではなく「単なる易の名称」だと報じた。この「高島」は法的に人名扱いではなく、「タロット」や「四柱推命」と同じく、占いジャンルのような物なのだ。茶道の裏千家や、お琴の生田流といった厳粛な徒弟制度の下に伝承された統一的な物ではない。勿論、全国規模の団体では到底ない。

 駐車場に例えるなら、高島易断は「Times」でも「リパーク24」でもない。単なる“月極駐車場”である。何処にでも見かけるが、それぞれ単独経営で繋がりはない。高島易断総本部という名称は、タロット占い総本部とか月極駐車場総本部と等しい。

 
  「正統派」は存在しない

書物は「書いた」が、団体など「創って」はいないのだ!

 タロット占いの好きな子が自己流でタロットを学び「タロット占いの館」等とホームページを作ったりするのと同様、「高島易断」という書籍を読んで面白いと思ったら誰でも「高島易断」を始める事が出来る。

電話回線と接客スペースを確保し、溢れる山っ気と「自分には占才がある」という思い込み精神で今日から開業できるのだ。

「高島」と書いてあるから「高島さん」の許可を得て設立したものと勘違いしやすいが、そうではない。繰り返し言うが、高島易断は「高島易団」ではないのだ。

 因みに現在出版されている書籍「高島易断」の中には、本物の「高島易断」はない。明治時代の実業家で易聖と呼ばれた高島嘉右衛門の名著「高島易断」を読んだ人々が、嘉右衛門の死後、著作権も何も関係なく各自で自己流のアレンジを加えて書籍化したものだ。

 当時、法的に拘束出来なかった為、誰も彼も易聖・嘉右衛門の知名度に便乗し「高島易断」を勝手に名乗った。そして時を経て「高島」は人名ではなくジャンルのような扱いになった。だから「高島易断」を称する書籍も何十種類も存在する。報道されない為、この事は余り知られていない。

 
 若者は低評価(論外?)

この手の宣伝本、広告本が詐欺を助長する

 ところで、この連載の切欠は、本紙に続々寄せられる「高島易断名での占いを装った高額祈祷商法」の悪評だった。新聞折込チラシで、一見由緒正しそうな格安鑑定で客を釣り、鑑定時に「脅迫」紛いの罵詈雑言を浴びせ高額祈祷の契約を迫るのだ。

 新聞折込チラシという古典的な営業方法でさえ、本紙に救済を訴える人々が出る位だから、情報が瞬時に広がるネット時代の今、被害の実情は計り知れないのではないか…と調査を試みたが、予想に反しネットの世界では高島易断という古臭く、検索すれば胡散臭いと直ぐ分る占いは、殆ど相手にされていなかった。

 試しに「占い」というキーワードで検索をかけてみても易断のサイトは一つたりとも上位表示されない。検索エンジンで上位表示されるには検索エンジン最適化のサイト作成ノウハウも必要だが、まずは多数の利用者に「評価」を得なければならない。ネットを利用する世代には怪しげな易断サイトは「評価」されていない、という事の証左だ。

ネットの世界には沢山の「選択肢」があり、しかも対面でないからこの商法のネックになる「不安を煽り視野狭窄状態で契約に取り付ける」為のシチュエーションが作れないのだろう。そういった事で、この商法の広告媒体は新聞折込チラシという事になる。

 

 
 未だに折込チラシで…

 そもそも占ってもらいたい人達は、基本的には心のバリアを解いている。悩みを抱えていて、しかも占い師を「信じて」やってくる客相手の商売なのだから、騙そうと思えば幾らでも騙すことが出来る。要は人間性の問題だ。

 多くの人気占いサイトや女性に人気の「新宿の母」など有名占い師は、そこのところが分っていても「人間性がまとも」なので、占って貰いたい人(=悩みを抱える人)の背中をポンと優しく押してやるだけ、アドバイスをしてあげるだけである。

 「信じる」気持に付け込まない。だから若者達も安心して行列を作れるのだろう。

 高島易断商法で凌ぐ者達の折込チラシは、お世辞にも若い人受けするものとは言えない。もしかしたら、チラシの時点で高齢層にターゲットを絞っているかもしれないと思える程、センスが「古い」。

 しかし、このようなチラシに反応する人、しかもネットで事前に調べもせずにやってくる人ならば騙すのは容易だろう。悪徳商法の側からすれば「自己責任」の欠如ということになるのかもしれないが…。

 来月号では、そんな「高島易断」商法で凌ぎを張る輩共がどれほど金に汚く、どれほど裏社会と密接な繋がりを持っているのかが一目で分るようなエピソードを紹介する。
〔以下次号〕

 
 
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