行政主導は貴方では?
チビた赤鉛筆を舐め舐め予想に大わらわの、競艇地域対策協議会長・秋元良夫市議=平成会団長=
 先月6日に開かれた戸田市の臨時市議会に於いて、公明党永沼逸郎氏が議長に選出された。

 この結果、公明党は4年連続で議長を輩出したことになり、表向きは同党が戸田市において揺るぎない地盤を形成したかのようにも見えるのだが、実情はそれとは大きく異なり、神保市長率いる平成会が議会採決票の過半数を得るために同党を利用しただけだ。

 “平成大合併”が日本全土を激震させた頃、我が戸田市でも『合併・政令指定都市調査研究特別委員会』(以下「調査委員会」という)なる委員会の設置が、平成14年3月8日の議会で可決された。この委員会は12名の委員によって構成され、その使命は読んで字の如く「合併や政令都市に関する調査・研究」である。

 ところが、この調査委員会、その後一度も開かれることなく(研究された情報も、市民に提供されなかった)、設置から僅か20日足らずの同3月27日の臨時市議会に於いて廃止されることが可決されてしまったのである。

 合併が戸田市民にとって果たしてプラスかマイナスか、その判断もつかない段階で、山崎雅俊議員=平成会=から、その理由も告げられずに動議が提出され、合併反対派である神保市長の意を汲む平成会と共産党の賛成によって(その他の会派の議員13名は採決時退席)、同委員会の廃止が可決された。

 神保市長曰く、「合併は戸田市の将来と市民の暮らしに直接係わる重要な問題です。他からの押し付けや行政・議会主導のやり方ではなく、地方自治の主役である市民が自主的に判断することが基本であると考えます」

 ご高説はご尤もである。無論、「合併するか否か」という選択が、市民が自主的に判断すべきものであることは戸田市民だって百も承知だ。しかし、「市民が自主的に判断する」上でその判断材料となるべき情報が必要不可欠であり、それを提供する責務を戸田市は負っている、ということは論じるまでもあるまい。

 ところが神保市長は調査委員会を理由もなしに廃止させ、戸田市民から合併に関する情報を得る機会を奪っておきながら「他からの押し付けは良くない」とか「行政・議会主導でのやり方は良くない」等とぬけ抜けと言って退ける。個人的な思惑を戸田市民に押し付けているのは神保市長、貴方自身ではないのか?

 平成会議員のホームページによると、戸田市は無作為に選出した20歳以上の市民3,000人を対象に『戸田市民意識調査』なるものを実施したそうだ。その内容とは要するに「合併に賛成か反対か」。

 結果は以下の通りだ。

  ・必要あり  
136名
  ・必要なし  
985名
  ・わからない  
287名
  ・回答なし  
14名

 この結果だけを見ると、市民の大多数が合併に反対しているかの様な印象を受けるが、この意識調査に回答を寄せたのは、全体の47.4%=1422名に過ぎず、逆に合併に対する市民の関心の低さが浮き彫りとなった形だ。

 議会で、「投票所を増やして投票率の低下に歯止めをかけたい」とかナンとか答弁したそうだが、郵送で実施したアンケート調査ですらこの程度の回収率しかないんだから、『市政に対する関心を市民に植え付ける』という公約でも付け加えてみたら如何ですか、神保市長。まぁ、関心の無い方が貴方にとっては好都合かな?

 
 まちづくり委員会は形だけ

 少し話を変えよう。

 戸田市は「財政力」「自主財源」「公債費比率」のどれ一つを取っても全国的に抜きん出ている。また公共施設の整備状況やサービス水準などもかなり高いレベルにある。このことを背景に「まちづくりを独自で進めることは十分可能だ」と神保市長は考えている様子だが、戸田競艇からの配分金が如何に戸田市の財政に貢献しているか、ということも忘れてはならない。

 そんな戸田競艇に絡んだ話題を1つお伝えしたい。

 JR埼京線戸田公園駅の南側を走るオリンピック道路に面して、JR東日本は約2,000坪(正確に言うと2,078.78坪)程の土地を所有している。この土地が都市計画道路(新曽川口線)に掛かってしまった為、同社はその売却を戸田市に打診した。

 これを受けて戸田市も、この土地が戸田公園駅周辺のまちづくり事業へ活用できる点や、民間に売却された場合に生じるであろう問題点などを考慮に入れて、市で取得すべくJR東日本と交渉を行なってきた。

 その結果、平成15年度中に取得できる見通しが立ったことで、戸田公園駅の都市整備事業について話し合う『まちづくり特別委員会』が平成15年12月10日以降計3回開かれた。この委員会に於いて、JRが所有する土地の取得の必要性、そしてその暫定利用の方法(都市計画道路の早期事業化が困難な状況になった為)などが諮られる筈だった。しかし、この会議の冒頭に戸田市が行なったJR東日本との交渉経過についての説明で、行政の暴走が明らかとなった。

 市の説明によると、「市側の設定条件といたしましては、財政事情を考慮いたしまして『直接買収方式』は極めて困難な状況にありますことから、財政負担を最小限に止める『用地交換方式』とすることで交渉に臨みました」との事。

 この用地交換方式を具体的に説明するとこうなる。
@現在市が所有し、戸田競艇組合に賃貸している土地(の底地権)と、同組合が所有している「氷川町駐車場」とを一旦交換し、Aその後、この氷川町駐車場をJR所有の土地と再度交換するというものだ。所謂、メジャーリーグばりの“三者トレード”を成立させようというものなのである。

 しかし、これでは順序があべこべだ。本来は、先ず取得の必要性をまちづくり委員会に諮り、次にその取得方法を審議し、その後、競艇組合議会、続いて戸田市議会で採決を取るというのが正しい筋道ではないのか。市はその順番を一切無視し、取得方法を含む全ての事項を独断で決めてしまった後に、形式的にまちづくり委員会に諮るという暴挙に出たのである。

 
 「市民の声」は届いていますか?
「こんなに美味しい自治体、他の何処を探したって有りゃしないよ。合併なんかで市長の座を明渡すなんて、やなこったい」(神保市長の独り言?)
 ここで最も不可解と言えるのが共産党の動きだ。普段は反対意見が1つでもあれば議案に反対票を投じ、神経質なまでに「地域住民の意見を尊重(?)」する筈の共産党が、今回に限っては賛成派に回っている。

 しかも、議会では用地交換方式を賛成しておきながら、総務常任委員会では原案に反対する意見を述べ物議を醸し、その後各会派に謝罪して回り、本会場でも謝罪するといった一幕もあった。2日間の日程だった議会が3日間(正確には4日目の午前2時過ぎまで)掛かったことからも、何か政治的密約でもあるのか、と疑いたくもなる。

 さて、戸田競艇の最大の課題は、如何にして売上げを伸ばすかということに尽きる。通常開催に於いては約15億円程度しかない総売上げが、SG競走ともなると約200億円にも跳ね上がる。しかし、平成16年度中は戸田競艇でのSG競走開催予定はない。

 現在、関係者は「平成17年度こそは『全国競艇主催地議会協議会』会長になってSG競走を戸田競艇場で主催しよう」と涙ぐましい努力を続けている。そのためには“ナイター競走”の実施が一番の課題ではあるのだが、地域住民の同意無くしてナイター競走の実現は有り得ない。その地域住民162名から、以下の陳情書が出された。

 『競艇場施設用地と競艇有料駐車場(前出の氷川駐車場)との交換議決については、とても納得できません。これまでにも、オリンピック道路沿いにあった無料駐車場がなくなりましたし、今回の用地交換後にはJRと再度用地交換をして競艇有料駐車場はなくなるという道筋ができ上がっており、競艇有料駐車場用地が犠牲になったと言わざるを得ません。 戸田競艇は戸田市の財政に多大な貢献をしているわけですから、集客方法の改善・努力も大変重要と考えています。車社会の現代に於いて、このような形で駐車場をなくすにしても、それに代わる集客方法は当然考えなければならない筈です。今後の用地交換計画は大変残念なことであり、今回取得された用地交換に伴う市有地(旧競艇場有料駐車場)については、従来通り競艇用駐車場として確保していただきたく、ここに陳情する次第であります』

 地域住民を蔑ろにしていては、戸田市の財政に大きく貢献する戸田競艇場の更なる発展など有り得ない。「公正」「公平」「公開」の公約実現に陰りが見え始めた神保市長、そして平成会、一体どうするつもりなんだ!(つづく)

 
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