「カスリ」取って窓口作らず
「競艇場は戸田市“1市”のものだよ」と仰っているのですか?神保市長
 本紙先月号で、戸田市の「用地交換」について触れたことをご記憶だろうか。

 JR東日本が、埼京線戸田公園駅南側を走るオリンピック道路に面した約2,000坪の土地の売却を戸田市に打診し、これを受けた戸田市が直接買収は財政的に困難と判断して「用地交換方式」で交渉に臨んだ、という件だ。

 用地交換は、先ず戸田市が所有する競艇場の土地の底地権と競艇組合所有の氷川町駐車場とを交換後、戸田市が取得した氷川町駐車場とJRの約2,000坪の土地を交換するというもので、既に戸田市の土地(競艇場の底地権)と競艇組合の土地(氷川町駐車場)の交換に関しては、2月5日の戸田市臨時議会に於いて、また2月19日の競艇組合本会議に於いてそれぞれ決定している。

 これに対して、競艇場周辺住民162名から陳情書が提出された。内容を要約すると、「私ども周辺住民は競艇の円滑な運営に協力することはやぶさかでは無いが、今回の用地交換だけは納得がいかない。以前にも無料駐車場が無くなったし今回の用地交換後には有料駐車場まで無くなる。すると違法駐車が増え、また競艇場の客足が減れば戸田市の財政にとってもマイナスだから、せめて用地交換によって取得する約2,000坪の土地を競艇用駐車場にしてもらえないか」というものだった。

 この陳情書の紹介を以って本稿前号の結びとしたのだが、その後どうなったのだろうか。

 戸田市議会3月定例会最終日の23日、総務常任委員会の席上でこの用地交換議案についての議論が交わされ、その後の本会議で陳情書の内容も取り上げられたが、最終的には氷川町駐車場とJR東日本の約2,000坪の土地の交換が承認された。結局は周辺住民の声は届かず、神保市長の思惑通りに事が運ぶこととなった訳だ。

 競艇場周辺住民は、自らその陳情書にも記している通り、競艇開催時の諸問題を巡って競艇組合との協議等を行ない、円滑な運営に協力してきた人々であり、「市」という共同体の発展の為に「個」を犠牲にしてきた、いわば市民の鑑ともいうべき存在である。戸田市は今後、新たな集客方法を考え、運営上、周辺住民に迷惑がかからぬよう万全な対策を講じるべきだ。

 そもそも、これらの問題に対応するハッキリとした窓口が戸田市に無いということ自体が問題だ。いつも競艇組合任せで、市として積極的に取り組んでこなかったのだ。「売り上げ」の恩恵には与りながら…。

 これからは戸田市が積極的に調査を実施して周辺住民と話し合い、その結果生まれた新たな対策を競艇組合に要請すべきである。神保市長は競艇組合の管理者でもある訳だから、そこを活かしてジャンジャン改革を行えばいいのだ。飽くまで独善主義に基づかない、市民のための改革を。

 
 神保平成会が共産と野合?
「たかが自販機」と言っても、年間売上額は5,000万円以上!
 さて、ここで1つ不可解な点がある。それは、この問題への共産党の対応である。氷川町駐車場を競艇組合から戸田市に所有権移転させたのは戸田市であり、これは、地域住民への満足な対応も無いままに、戸田市(神保市長)戸田競艇組合(管理者神保国男)に持ち込んだ話である。他の会派がこの議案に賛成することはあり得るとしても、「何でも反対」或いは「反対のための反対」とまで揶揄される共産党が、何故ここで反対しないのか。162名の周辺住民の陳情を蹴ってまで賛成するなんてことがあり得ようか。こんな時こそ“市民のための政治”をスローガンに掲げる共産党が「市民の権利を蔑ろにする神保市長の独裁政治を許すなー」「ユルスナー」とシュプレヒコールを挙げるべきではないのか。

 また、同日の本会議では平成16年度予算案も審議されたが、これにも共産党は「嬉々として」「諸手を挙げて」?賛成している。これは、翌24日の読売新聞に「1966年の市制施行以来、共産党が予算案に賛成したのは初めて」と報じられるほど極めて珍しく、本紙に言わせれば「不可解な」行動である。

 そういえば戸田市議会過半数は14票、神保派平成会で10票、共産党が4票、これで過半数となるが…。もしや、神保市長は共産党を抱き込んでまで“神保大国”の形成を目論んでいるのだろうか。だとすれば、採決票を持たぬ「議長」という役目を公明党に任せていることにも合点が行くのだが…。

 さて、競艇場が、財政面では勿論のこと、その他の面でも戸田市に大きな影響力を持つことは、前段でお分かり頂けたかと思う。更にここでは、競艇場内に設置された清涼飲料水等の自動販売機について掘り下げて見たい。何を自販機ぐらいで…と仰る向きもあるかも知れないが、実は小さく見えるこの話題の背景には大きな問題が横たわっていたのだ。

 戸田競艇場内に設置されている飲料水等の自販機23台中過半数を占める12台は、社会福祉法人『戸田市社会福祉協議会』神保国男会長・以下「社協」という)が競艇場から場所を借りて経営しているが、この社協と、実際にジュースを卸している三国コカ・コーラ社との間の契約内容に不自然な点が見られるのだ。その顕著な例は「契約の自動延長」である。

 契約書には「契約期間は○○から△△迄の1ヶ年とする。但し、契約期間満了の1ヶ月前迄に双方いずれからの申し出のない場合は更に一ヶ年自動延長されるものとし、以後もこの例によるものとする」とある。 

 民民間の契約ならばまだしも、社協は市、県、国からの多大なる補助金によって成り立っている団体だ。その理事には現職の市議が就任しており、館長や参与には市職員が出向という形で携わっている。しかも神保市長だって社協の会長を務めているんだから、これを「民民間の契約」と言い切るには無理がある。そんな準公的団体には、特定の企業のみを優遇するような契約形態は好ましくない。やはり競争入札を行うのが一般的であろう。

 

 自販機寡占は社会福祉か?

社協理事のお歴々は「他人事」と思っているのか!?
 そこで本紙は、社協の神保会長に対して昨年暮れ、市内業者育成の為にもはっきりとした入札制度を設けて、随意契約を廃止すべきであることを訴えた。先月号でも報じた通り、戸田、蕨、川口、鳩ヶ谷の合併を頭ごなしに否定した神保市長だ。回りが合併して大きくなろうとも戸田市は一本どっこでやっていく、という気構えなのだろうから、それだったら市内の業者を育成する上でも競争入札制度を導入して間口を広げる(市内業者にも市場を開放する)ことが必要なのではないか。

 そう考えた本紙が「市内業者でも現行業者以上の利益は充分に見込めるので入札制度に切り替えなさい」と見積り書まで提出してあげたのだが馬の耳に念仏、従来通りの随意契約を結んだのだ。いったいこの御仁は何を考えているのか…。

 また、1年間の売上額が3,000万円を超える場合には消費税の納付義務が事業主に課せられるが、社協にはそれを収めた形跡が見当たらない。平成15年度の消費税の納付期限は平成16年5月31日なので、例え現時点で納めていなかったとしても本稿でそれを批判することは出来ない。従って、ここでは平成14年度の消費税に限って話を進めよう。

 先ず、平成14年度の売上額が3,000万円を遥かに上回ることは概算でも明らか(恐らく5,000万円以上)なのだが、社協がこれに対する消費税を納めたという事実は無い。ここで「実は事業の主体者はコカコーラ社で、同社が消費税を納めたのではないか。社協は場所を貸していただけでは?」という邪推も生まれるのだが、ところがドッコイ、事業の主体がコカコーラ社だったとしても問題は残る。

 『戸田競艇組合モーターボート競走場飲食店等の使用並びに営業に関する条例施行規則』第4条2には「許可書の交付を受けた者は許可書と引替えに、請書(様式第3号)を管理者に提出しなければならない」と定められており、その様式第3号の中には「F使用物件の全部又は一部を第三者に譲渡若しくは転貸し、又はそれ等の行為に準ずる行為は一切いたしません」と謳ってある。

 つまり社協は、この規則に反して「又貸し」していたということになる。しかも、この請書の宛名は「戸田競艇組合管理者=戸田市長様」となっており、請書の提出者は「戸田市社会福祉協議会会長=神保国男」である。

 即ち、社協が又貸ししているということになると、市長は請書の提出者(神保会長)としてもその内容に反する行為を行っていることになるし、請書の受領者(神保市長)としても不正に加担したことになる。要するにどちらに転んでも、「消費税納付を怠った」若しくは「又貸しした」ことになり、市長として或いは会長としての責任追及は免れないのである。いったいどちらの責任を取るつもりなのか。

 そればかりではない。23台の自販機中11台は「三市身障福祉会」「三市老人福祉会」といった3市(戸田、蕨、川口)の事業団で運営されており、当然その利益も3市で分け合っている。ところが残りの12台に関しては、先述の通り戸田の社協が牛耳っており、もちろんこの12台の利益(15年度は2,000万円)は戸田市が独占している。この12台を戸田の社協が一市で運営すること自体に問題があるのだ。

 戸田競艇組合規約第2条には「戸田市・蕨市・川口市を以って組織する」と明記されているし、同3条には「規約により生じた利益金、剰余金の分配は戸田市2、蕨市1、川口市1とする」と例規されているのだが。
 あ、馬の耳に念仏か…。
〔続く〕

 
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