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 名前は三市でも実質は戸田市社協

 本紙先月号で《競艇場に設置されている飲料水等の自販機23台中、過半数を占める12台は社会福祉法人『戸田市社会福祉協議会』神保国男会長・以下「戸田社協」という)が競艇場から場所を借りて経営しているが、この社協と、実際にジュースを卸している三国コカ・コーラ社間の契約が自動延長なのはおかしい。『民民間の契約』ならばまだしも、公的な団体が特定の業者を優遇するような契約形態でいいのか》という話を中心に、その他幾つかの問題点を取り上げたが、本稿はその続編である。

 さて、上の契約書@とAをよく見比べて頂きたい。これらは、前回取り上げた戸田社協の12台の自販機とは別の、競艇場内に設置されている2台の自販機の設置契約書だ。

 契約者は、【甲】が戸田競艇組合職員互助会(以下「互助会」という)、戸田市観光協会(以下「観光協会」という)、戸田蕨川口三市社協連絡協議会(以下「三市社協」という)の三者(以下「三者」という)であり、【乙】が、三国コカ・コーラボトリング株式会社(以下「コーラ社」という)となっている。

 先ず断っておかないといけないのは三市社協についてだ。この三市社協の中身は、その名の示す通り三市の社協の集まりだが、会長は戸田社協の会長でもある神保市長で、更にその事務局は戸田社協の中にある。

 もちろん「中にある」とは言っても戸田社協の建物の中に三市社協の事務室や特別な部屋が設けられている訳ではない。担当者は戸田社協の次長でもある伊藤和彦氏だ。つまり三市とは名ばかりで、実質的な権限は殆ど戸田社協にあるといえる。

 契約書Aに墨塗りの部分があるのは、三市社協(伊藤クン)に対して情報公開を請求したためであり、彼の立場からしてみると、「他所の団体のことは公開できない」ので、墨塗りとなったと思われる。

 まあ、そんなことしても@のような写しが手に入るから、本紙にとっては余り意味が無いのだが…。ともかく、大したことではないが、読者の皆さんが墨塗り部分を不思議に思うかもしれないので一応触れておいた。

 
 三市社協は減益も戸田社協は増益
 さて、それぞれの契約書の日付だが、@は平成13年3月30日、Aは同14年1月1日となっている。通常、こういった契約は4月〜翌年3月までの1年間とする単年度契約が一般的なので、@の契約書は納得できる。問題はAである。

 契約期間が平成14年の3月末日まで残っているのに(契約書@第6条を参照)、なぜお正月に契約延長をする必要があるのか、と言いたくなるが、これは延長ではなく「契約内容の変更」である。

 それぞれの契約書の第4条を見ると、平成13年は「1個に対し70円」だった販売手数料が、同14年から「自販機1台につき月額6万円」に変更されている(以下、それぞれ「1個70円方式」、「1台6万円方式」と呼ぶ)。三者は一体なぜ、こんな中途半端な時期に、このような契約内容の変更を行ったのだろうか。

 その謎を解く鍵は、戸田社協が経営する12台の自販機に隠されていた。

 上の表(本紙作成)をご覧頂きたい。これは、現在戸田社協が経営する12台の自販機と、三者が経営する2台の自販機の契約形態の変遷等を示したものである。これを見ると、三者の経営する2台が契約形態を変更した平成14年の正月と時を同じくして、12台の事業主が互助会から戸田社協に移っていることが分かる。

 また、12台の事業主が得る利益も、年々増えていることが分かる。ここでいう利益とは、飲料水の売り上げの中からコーラ社が事業主に渡す販売手数料のことだ。

 互助会の時代に1台3万円方式だった販売手数料を1台6万円方式に吊り上げることで事業主の利益が倍増するのは当たり前だが、その倍増した利益よりも更に、1個70円方式に変更した後の方が利益が増えている

 一方、三者が経営する2台については、以前は1個70円方式だったのを1台6万円方式に変更しているが、利益の推移は「?」マークで示す通り、平成13年以前のデータを公開してくれないので、一概には何とも言えない。

 しかし、12台の利益の推移を見て分かるように、事業主の利益は1個70円方式のほうが大きいし、2台の設置場所は12台の設置場所よりも条件が良い事も考慮すると、2台の契約形態の変更は、事業主の利益を大幅に減少させる行為だったと言える。ならば事業主である三者は、契約期間の途中で、何故利益の大幅な減少に繋がる契約形態変更を行ったのか。

 その理由は、神保市長の胸のうち(或いは伊藤クンの腹の中)を覗かない限り判然としないが、恐らくコーラ社との間で以下のようなやり取りがあったのではないだろうか。

社協 「今回ウチがやることになった12台についてだけど、これ、三者がやってる2台みたく1個70円方式にしてくんないかなぁ」
コーラ 「え?12台全部を70円方式にですか?いやそれはチョッと…」
社協 「なに、嫌なの?イヤダと言いたい訳か?」
コーラ 「いいえ、イヤでは無いですけど、ウチもギリギリのところでやらせてもらってますんで…」
社協 「あっそう、じゃ良いよ、来年から市内の業者に限定して、指名競争入札にしちゃおうっかな〜」
コーラ 「ちょっ、ちょっと待って下さい、分かりました。じゃあ、2つだけ条件出させて下さい」
社協 「なに、条件って?」
コーラ 「12台をいきなり70円方式にすると上(上司)が黙ってないと思いますので、取り敢えず段階的に、最初の1年は倍額の1台6万円方式でどうでしょうか。それと同時に、2台(三者で経営)の方を1台6万円方式にしてもらえないでしょうか。この2台の変更については、ウチは利益が増えるので、上も文句はないと思います。取り敢えず、それで1年ほど様子を見て頂くということで…その後に12台を1個70円方式に変更することは、私が約束しますから…」
社協 「あ、そう?それで大丈夫なの?」
コーラ 「はい、いつもお世話になっておりますので、それぐらいはさせて頂かないと…」
社協 「そう?悪いね、いやウチもね、コーラさんとは仲良くやっていきたいっていうのが基本的なスタンスだからね…じゃ、そういうことでよろしくお願いしますよ」
コーラ 「いつもありがとうございま〜す!」
とまあ、こんな具合ではなかろうか。
 
 真正面から答えぬ戸田社協の体質

戸田社協の事務所前で本紙街宣部隊が「ごあいさつ」

 改めて断っておくが、このやり取りは、状況的な事実から本紙が推測したやりとりであって、二者間でこんなやり取りがあったかどうかは全く分からない。

 但し、契約当事者である三市社協の担当者=伊藤クンが次のような答えしかよこさない以上、前記のように邪推するしかないのだ。

 「平成13年度の途中で契約内容を変更したのは何故か」との本紙の問いに対して、伊藤クンは「契約内容を変更したから」と答えている(資料C)。

 こんな、人を馬鹿にした答え方が世の中にあるだろうか。確かに、年度途中での新たな契約は不可解であり、そのことについても本紙は知りたいのだが、飽くまでも本紙(担当植村)が訊ねたのは『契約内容変更の理由について』である。例えば「この2台についてはあまり売上が無いので、1個70円方式よりも1台6万円方式の方が安定した確実な収入が見込めると考え…」といった『理由』が訊きたいのである。

 それなのに「契約内容を変更したから契約内容を変更した」では、全く説明になっていない(まあ、正当な理由なんてあるはずもない。だからこそ訳の分からない回答でお茶を濁したのだろうが…)。

 戸田社協の対応は、一事が万事これである。市民の抱いている疑問や疑惑に真正面から答えようという真摯な態度は微塵も感じられないのだ。

 そもそも、これらの問題のきっかけは、本稿冒頭でも述べた通り、戸田社協が経営する12台の自販機の契約が「自動延長」なのはおかしいという点だ。先だって本紙は、この「自動延長」を契約書に盛り込んだのは誰なのか、また何故自動延長なのかという質問状を送付したのだが、返ってきた答えは「コーラ社と協議の結果そうなった。自動延長にした理由は契約書の内容が全てだ」というフザケたものだった(資料B)。

 無論、契約を自動延長してはいけないという法律は無いが、自動延長でなければならないという法律も無い。戸田社協はその組織の性質上、金儲けだけを考えて行動していれば良いというものでは無いはずだ。

 市の補助金で運営される組織なのだから、市場の間口を広げ、一般競争入札を導入するなどして、コーラ社以外の業者にも機会を与えるべきだ。そうすることによって市内業者を育成することにも繋がり、市の経済も活性化されて戸田社協の利益も増える。

 それをいつまでも特定の業者と談合しながら、あっちで損する代わりにこっちで儲けさせてよ、などと、自分たちのご都合で戸田社協だけが潤うようなシステムを作っているとしたら、こんな市民をバカにした話はあるまい。

 三者で経営する2台に関しては、以前から1個70円方式であり、その売上データは残っている筈で、そのようなデータを元にして「1個70円方式の方が利益が増える」ことを知ったからこそ、12台の契約形態を変えたのではなかったのか。四市合併を一蹴して戸田一本でやっていく姿勢を取りながら、市内業者は無視して大資本と癒着し、戸田社協は儲かる方へ契約変更しつつ三市社協はその逆へ変更する。これで「社会福祉」とは笑止千万だ。

 
 情報開示の席に何故か弁護士同席
市長は本件の経緯をご存知なのだろうか?裁判所に泣きついたところで、戸田社協が抱える問題は何一つ解決されないのだが…
 だいたい、戸田、蕨、川口の三市で競艇場の利益を分け合う、という約束なのに、競艇場内の自販機23台中過半数を占める12台は戸田社協が経営しているのだから、この事実1つを取って見ても「自分らの金儲けしか考えていない」ことは明白だ。事実、伊藤クン本人が、競艇場内の自販機事業は戸田社協が「独占している状態」と我々の目の前で発言している。

 本紙は、そういった現状にこそ異議を唱え、その異議や質問に戸田社協が真摯に回答しないからこそ抗議の街宣活動を行ったのに、戸田社協は弁護士を19人も従えて裁判所に泣きつく始末。「困ったときの弁護士頼み」は悪徳商法を行う業者も、詐欺師も、そして社会福祉を錦の御旗に掲げる戸田社協もみな同じということか。

 本紙の情報公開請求に対し、弁護士2人に同席して貰い、殆ど全てを弁護士に喋って貰わないとテメエの口ではロクに説明すらできないというのは、補助金という公金を頂いて運営している組織の責任ある立場として失格ではなかろうか。

 ―自らの行いに一点の曇りもなければ、正々堂々と説明なり釈明なりできる筈であり、それができないところに戸田社協が抱える問題の根深さがあるのではないか―

 そんなことを感じさせられましたよ、誰かさん。
〔以下次号〕

 
 
 
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