蕨市議会も重大な関心

 公平・公正・公開を政治理念に掲げる戸田市長・戸田競艇組合正管理者・戸田市社会福祉協議会(以下戸田社協)会長「神保国男」に対して、蕨市(関係市)の議員から疑問の声が上がった。

 先ずは(上)の資料をご覧戴きたい。これは昨年12月の蕨市議会定例会に於いて、小林正議員より田中啓一市長に対して行われた質問の一部だ。

 これに田中市長答えて曰く「3市身障福祉会・3市老人福祉会は、戸田競艇場飲食施設からの利益を公平に配分しているが、戸田競艇場自販機12台の利益に関しては、戸田社協が単独で上げている。これは公平に運用すべきで、平等に取り扱って貰う申し込みをして行く。私は小林議員と同じ考えなので努力していきたい」と。

 まあ、この様に答弁せざるを得ないだろう。何故なら、戸田競艇組合規約の第14条には、「戸田競艇組合は戸田・川口・蕨の3市(関係市)を以って組織する…第3条より生じた、利益・剰余金は配分するものとする」と、はっきりと記されているからだ。

 競艇場自販機(全23台中)の2台は昭和の時代から、戸田・蕨・川口三市連絡協議会(以下「3市社協」)で運営して来た。一方、他の21台中17台を平成13年から戸田競艇組合職員互助会(以下「互助会」)が運営して来た。

 そしてその17台の内12台を、平成14年1月1日から戸田社協に譲って戸田社協が運営している。

 これまでの本紙の調べでは、互助会が運営していた台数全て(17台)を戸田社協に譲渡したと考えていた。それもこれも誰かさんが「公平・公正・公開」を政治理念に掲げつつ、実際には自らが管理者を務める戸田競艇には情報を公開させなかったせいで、いや、その“おかげさま”で、本紙も確認が出来なかったのである。それが先述の蕨市議会での一般質問により確認できることとなった。

 ともかくも、互助会は今でも5台の自販機を運営していることになるが、いったい何の権利があって運営しているのか、はっきり説明して頂きたい。

 昨年の戸田競艇組合議会定例会で、保科総務部長は「公益性の高い団体に使用許可を出している」と答弁していた。ならば互助会は公益性が高いと言えるのだろうか。

 そもそも互助会は、職員の相互共済及び福利厚生に資するため、必要な事項を定めた共済給付事業・福利厚生事業等の事業を行なっているが、事業対象者、つまりジュースを買う客が職員に限られているのならばまだしも、競艇場の自販機となると職員以外の入場者が購入するのであって、公益性には疑問符をつけざるを得ないのだ。

 何故なら互助会の目的とは“職員”の福利厚生であり市民や県民や国民の福利厚生ではないのであって、ジュースの販売で得た利益を公に還元することが出来ないからだ。こうなると、「互助会株式会社」と呼ばざるを得ない。

 戸田社協の場合、12台で年間2,000万円の利益を計上している。5台所有の互助会の場合、いったいいくら儲かっているのかは不明だが、職員から会費を徴収しながら商売でも儲けて、しかもその利益が公に還元されないのだから、このような団体のどこに“公益性”があるのか、首を傾げざるを得ないのである。

 
 使用許可は何の許可?

 一方の戸田社協はというと、公益性の面では申し分ないが、消費税納付の状況から、ある不可解な実態が浮かび上がってくる。

 戸田社協が三国コカ・コーラボトリング(株)との間で結んでいる契約書には、1本或いは1杯あたりの販売手数料が記載されており、三国コーラ社は何本何杯売れたかによって、その本数分の手数料を戸田社協に支払う形態になっており、戸田社協は、その手数料収入という“利益”に対する消費税を納めている。“事業主”として、こんなことが許される筈はない。

 具体例を挙げてみよう。

 例えば、ジュース1本の販売価格を100円、そして1本売れるごとに三国コーラ社が戸田社協に支払う販売手数料を40円としよう。

 消費者は、100円でジュースを購入した時点で既に本体価格95円に対する消費税=5円を納めたことになる。しかし、その5円の消費税は、まだこの時点では自販機の中に眠っており、国には納められていない。この1本100円という売上金の中に混じっている5円の消費税を国に納めるという義務なり責任は、本来“事業主”に課せられている。

 しかし先述したように、戸田社協は1本売れるごとに三国コーラ社から入ってくる販売手数料=40円に対する消費税である2円を国に納めている。これでは残り3円が未納ということになってしまう。

 まさか、戸田社協と三国コーラ社が2人して、1本につき3円をネコババしている(=脱税)ということはなかろう。しかし戸田社協が販売手数料に対する消費税しか納めていないということは確かだから、残りの3円は三国コーラ社が納めているとしか考えられないのだ。

 そこで、仮に三国コーラ社が3円を納めているとすれば脱税の容疑は晴れるのだが、戸田社協には大きな問題が発生する。

 それは“又貸し”疑惑である。

 戸田社協を“事業主”と呼べないことは、先述した例文からも明らかだ。消費税を「売上金」の中から納めるという行為は事業主に課せられているのだから、その行為者でない戸田社協は事業主ではないことになる。そうすると事業主は、必然的に三国コーラ社ということになる。これは転貸にあたらないか。

 『競艇場内に自販機を設置しジュースを販売する』という事業を行うためには競艇場の使用許可が必要となる。その許可を下すのは戸田競艇組合の管理者=神保市長だ。

 現在、戸田社協はこの使用許可を持っているが、三国コーラ社は使用許可を持っていない。従って三国コーラ社は競艇場に自販機を設置してジュースを販売するという事業を行う資格がない。飽くまでもこの事業の主体者は戸田社協でなければならないのだが、現状はそうではない。

 何故なら、三国コーラ社がジュースを補充し、自販機の点検・修理等を行い、周辺のゴミ処理や清掃を行い、衛生管理の全責任を負い、販売業績表を作成・提出し、売上金を回収・管理し、売上金に掛かる消費税を納付し、そして販売手数料を戸田社協に支払っているからだ。

 これでは戸田社協は、何もしないで“カスリ”をはねているに等しく、言わば競艇場から借りた一区画を三国コーラ社に又貸しして商売をさせているということになる。

 
 自分に申請 自分で許可

 戸田競艇組合の条例施行規則第4条2には「競艇組合から使用許可書の交付を受けた者は許可書と引替えに、請書(様式第3号)を管理者に提出しなければならない」ことが定められている。この請書とは誓約書のようなもので、その請書の「7」には、「使用物件の全部又は一部を第三者に譲渡若しくは転貸し、又はそれ等の行為に準ずる行為は、一切いたしません」と謳われている。

 つまりは、許可申請者である戸田社協の神保会長はルールに反しており、許認可権者である競艇組合正管理者=神保市長は、そのルール違反を看過しているという疑いが濃厚である。

 これを“お手盛り”と呼ばずして何と呼ぶのか。

 しかも「戸田社協はジュースを販売するという事業の主体者なのか」という本紙の問いに対し、戸田社協側は「ジュースを販売させて手数料収入を得るという事業の主体者である」と答えている。それならば『ジュースを販売する』という事業の主体者はやっぱり三国コーラ社であるという事実を認めた、と見なさざるを得まい。

 以上述べたように、競艇組合が、公益性の有る団体(例えば戸田社協)に使用許可を出したところまでは良かったが、その後の問題があるようだ。どうやら実態は「公平・公正・公開」の政治理念とは程遠いようですが、如何でしょうか、神保市長。

 さて、神保正管理者の御眼鏡にかない、一昨年5月人事で2階級特進した松井房保戸田競艇組合事務局長が依願退職を提出したらしい。事の起こりは、昨年8月20日、神保正管理者が事務局に松井局長専用の部署席を作るように指示したようで、「窓際に追いやられて一年を過ごすより潔く退職したい、と女房に相談して同意を得た」ので退職願を出したらしい。

 利用価値があると思えば何階級でも引き上げて、無価値になったら窓際へ追いやる…。人間というのは付くところを間違えると、例えば冷酷非情な親分さんについて行ったりすると、大変なことになるようだ。

 松井局長が本当に気の毒でならない。
(つづく)

 
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