輝かしい「叩き上げ」の経歴をお持ちの齋藤氏
 
 矛盾する約束も平気の平左

 戸田競艇組合の定例議会が2月23日、28日の両日開かれた。初日午前10時、本会議開会にあたり議事日程が傍聴者に配布され開会を待ったが、開会のメドがつかず議会事務局員が忙しく動き回っていた。

 管理者(神保国男=戸田市長)提出議案第11号戸田競艇組合齋藤収入役の選任の同意(上の資料参照)について、当日議会運営委員会を開いたが都合により取り下げ、と発表された。

 本会議当日に管理者提出議案が取り下げられた事例は、戸田競艇議会始まって以来のことである。

 言うまでも無く、同議会は戸田市14名、川口市・蕨市各8名の計30名で構成されており、議案第11号は採決で過半数に達すれば議決される。つまり決着は議会最終日に持ち越される形となった。

 その議会最終日の28日、神保管理者から齋藤収入役の選任の同意についての議案が追加提案された。採決の結果、戸田市議6名蕨市議2名が退席、反対者蕨市議1名で齋藤収入役の再任が議決された。

 通常、人事議案の場合、副管理者=川口・蕨両市長と協議の上、三市議員に内諾を得て議案にかける。今回のように議案を取り下げて次の開会日に再提出、しかも退席者や反対者が有る採決というのは珍しい。前代未聞の出来事の裏に、いったい何が有ったのか。

 ―と思って色々調べてみると…やはり有った。

 齋藤汗治氏は埼玉県警からの天下り(上の資料を参照)であり、神保管理者との約束が「65歳までの勤務」とのことだ。これは飽くまで神保管理者との約束であって、収入役の再任は議会で決議される事項である。神保市長が管理者だからといって何でも独断で決議できるわけでは無い、ということは神保管理者ご本人が一番よくご存知の筈だ。

 この神保管理者の提案に対し、65歳までだと任期が2年有るので、一部の議員から「長すぎる」と難色を示され、神保管理者はオフレコの場で「再任は1年までとする」との見解を明らかにした上で(言うなれば根回しをして)追加提案した。ところが組合規約第10条には「管理者副管理者及び収入役の任期は4ヶ年とする」という規約がある。神保管理者はどうするつもりなのだろうか。

 本人の都合で(自らの意思で)退職するのであれば致し方ないが、本人とは2年と約束しておきながら、議員連中とは1年と口約束をし、一方で4年の任期を議会にて承認するのもおかしな話だ。これが神保市長の政治理念「公平・公正・公開」なのか。

 
 さすが弁護士 説得は朝飯前

 「1年で退職」というのは、神保管理者と議会運営委員会との(議事録に残らないオフレコの場での)口約束に過ぎない。齋藤収入役本人はどう思っているのだろうか。

 神保管理者には、収入役を辞めさせる権限など無いから、仮に齋藤氏が「約束は2年の筈だ」或いは「規約には『4年』とある」と開き直った場合どうするのか。

 一方、川口議員団は、約束(任期1年)不履行の場合、神保管理者に不信任を出すと言っているが、齋藤収入役の評判は議員も聞いている通りである。神保管理者の説得に絆されての折衷案に嬉々として賛同して良いものか疑問が残る。

 また、戸田市議団の六名は最初からの意志を貫き、はっきりとした態度を示したが、蕨市議団はそれとは対照的だった。取り分け蕨市議の重臣=田中議長の変わり身の速さには驚かされた。神保管理者に説得でもされて折れたような感じである。幻滅した。

 さて話は前後するが、議会の初日、一般質問が行なわれ、蕨市小林議員より次のような内容が通告された(以下小林議員を『議』と表記、神保管理者を『管』と表記する)。

  「現在、戸田市社会福祉協議会(※本紙注・以下『戸田社協』という)が当施設内に自動販売機12台が運用されているが今後どのように取扱いを考えているのか、手続き上、及びその内容について示されたい」
  「戸田社協が収益を事業の為、有効に使用されている。今後については、競艇場と地域と公共的団体との係わり方を考慮して検討して行きたい」
  「3市で運営している施設を利用して事業をしているのだから、組合規約により、利益・剰余金の分配は3市で分配すべきで、戸田社協だけの運営はおかしい。収益金の社会福祉還元は当然で、申請者と許可者が神保国男市長であり、公平に利益金2,000万円を3市で運用すべきであり、神保管理者に対して見解を聞いている」
  「―戸田社協が自動販売機を設置して置いていることが組合規約に違反するのではないか―という質問は、組合規約には抵触しないと、規定は自動販売機の収益については及ばないと考えている。これからに付いても、地元の競艇場に対して色々な状況があり、それに対する迷惑その他日々色んな事が入ってきているので、そういうことも含めて、福祉とかそういう障害者福祉、特に障害者の人達を競艇場のイベントホールにおいで頂いて、交流事業とか様々な事業を行なう中で、収益金を遣わせて頂いているのでご理解を頂きたい」
 

3月1日付朝日新聞

 
 財政難なのでご理解を…?
 

「職員で構成されている『職員互助会』が現在5台の自動販売機を運用されているが、互助会規約による事業内容は共済会給付事業、福利厚生事業とあり、この自動販売機から発生する利益・物品販売利益が福利厚生事業にあたるのか、互助会運営、指導、監督の立場にある管理者の見解を求めます。

事業目的外運用で規約違反にあたらないのか、又平成15年度互助会会計収支決算に、組合一般会計から互助会負担金1,200万円が支出運営されているが、互助会一般会計、特別会計決算には積立金資産留保が相当活用されている状況にもかかわらず、1,200万円の支出は適切であったか如何なものか伺います」

  「この5台は戸田市観光協会・3市社協分を含めた3団体を代表して職員互助会に許可を出していて、規約違反にあたらない。平成17年度より当分の間助成金を中止する議案を提出しているので理解をして下さい」
  「特別会計で事業の内容として職員互助会の5台の自販機が取り扱われているが、互助会規約による2つの事業で、福利厚生事業と共済給付事業で規約上問題は無いのか、質問で正している」
  「財政厳しい折であり、経費削減の意味も有り、今回条例を提案して中止をするので理解をして欲しい」
 

 一般質問は3回までの質問が許されているが、的はずれの答弁しか返ってこなかったためか、小林議員も馬鹿馬鹿しくなって2回で打ち切ったようである。
 そのうち「競艇場もいろいろ、契約もいろいろ」とか「管理者が許可した相手が許可に相応しい相手」等と誰かさんみたいなことを言い出さないか心配な今日この頃である。
(つづく)

 
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