衆院武力攻撃事態対処特別委員会は今月7日、漸(ようや)く有事関連三法案の審議に入った。
小泉総理は「与野党が対立する問題ではない。独立国としての体制をどう整備するかであって、民主党からいい提案があれば検討する」と述べた。
当然だ。余りに当たり前の話である。
世界中の独立国のなかでも、国軍と呼べる軍隊を持たないのは、この日本ぐらいのものである。既にこの時点で「独立国家としての体を成していない」という辛辣な意見すらある。
況してやロシア、中国、北朝鮮という国々に囲まれているといった、アジア極東地域の地理的・国際政治的情勢に照らし合わせてみれば、先の大戦以後今日までこのような法案が審議されなかったこと自体が『異常な事態』と言える。
その異常事態を脱して正常な状態に近付こうとしているときに、与党も野党もヘチマもあるか。
一旦緩急アレバ(有事の際には)屁理屈をこねている暇などない。我が故郷もあなたの町も一瞬にして焦土と化す。 イデオロギー論争に声を嗄らしている場合ではないのだ。
だからこそ有事の為の対策は平時に於いて講じなければならないのである。
時折、筆者の左耳に「いまどき一体何処の国が日本を攻めてくるというのか?『いざという時』とはどういう時のことを想定しているのか。そうやって軍備を拡大し、軍事大国化したいだけなのではないか」という声が聞こえてくる。決まって左側から聞こえてくるのである。
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「悪の枢軸」の中の枢軸、金正日
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どうやら左側の人々は想像力が貧困なようなので、幼稚な平和主義者にも解かるように具体例を挙げてみよう。
昨年暮れに鹿児島県・奄美大島沖で北朝鮮の工作船が沈没したという事件があった(本紙では「不審船」と呼ばず「工作船」と呼びます)。
中国・韓国・北朝鮮の船舶が、我が国の「排他的経済水域」(EEZ)内に無断で侵入すること自体は決して珍しい出来事ではないが(そもそもこのような事態が珍しくないというのが異常なのだが)、海上保安庁の巡視船と銃撃戦となり沈没(というより自沈?)したことで、日本中に衝撃が走った。
事件後、北朝鮮は「我々は、北朝鮮の尊厳ある在外公民団体である朝鮮総聯への白昼テロだけでなく(どうやら彼の地では、当局による強制捜査のことをテロと呼ぶらしい)、『正体不明の船舶』まで我々と関連付けて狂乱的に振舞う日本の北朝鮮敵視策動を、絶対に傍観しない」と、いつもの調子で逆ギレ。
また、自国のEEZ内で工作船が沈没した中国は、「中国の権益と懸念を十分尊重すべきであり、日本は事態を大きくし複雑化させるような行動をとるべきではない。中国政府は、引き続き必要な措置を講じて、自国のEEZ内の管轄権を保護する」と、工作船の引き揚げを牽制した。
また中国は「我々は、日本が軽率に武器を使用して不審船を沈めたことに強い不満を表明した」と、お怒りでもあったようだ。
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