戦没者慰霊碑の完成予想図
門扉には「日本人墓地」の文字
地元の僧侶を招いての安全祈願祭
工事が滞り無く行われることを祈念して鍬を入れる国府理事長(左)
照りつける太陽の下、いよいよ着工
風雨に晒されて崩れた日本人戦没者の墓石
これでは命を擲(なげう)った英霊に失礼だ
作業は着々と進む
汗だくになって鍬を振る国府理事長
 
「理屈」ではなく、とにかく「実行」するその姿勢には、本当に頭に下がる
 
  

 日本青年社という民族派団体は小林楠男という人が創った団体であり、単一団体では日本最大の団体である。創設期の頃は筆者もよく応援に駆り出されていたが、当時から優秀な人材が豊富だった。

 本紙にちょくちょく登場する「アフガンの侍」として有名な不二流体術宗家の田中光四郎氏も青年社の武術師範の出身である。この人がオウムの麻原を狙っていた話は有名で、生々しい話は今はまだ書けない。

 本日の主役はもう1人の青年社出身者=国府正男氏(アジア地域戦没者慰霊協会・理事長)である。先月末、単身でミャンマーへ旅立ち「とにかく戦没者慰霊碑を建てる」ということを実行した人である。ミャンマーには敷地4,500坪の日本人墓地があるそうで、その中に四百坪を確保して土台造りに着手したのだ。

 現地にある日本人会は国府氏の趣旨に大喜びで、とても協力的だそうだが、賛同するその多くの方々はやはり年配者が多く貧しいのだそうである。

 日本人墓地も荒れ放題で修復したい気持ちはあるのだが、現地の人達だけではとてもその余裕はないらしい。国府氏に様子を伺うと「8月末までに慰霊碑を建て、今年中に日本人墓地の全ての修復を終えたい」という意気込みである。「日本人が日本の為に戦って散って行った、その全ての外国の地に慰霊碑を建てることが自分の生涯の仕事」と言い切る、国府氏のエネルギーとパワーと愛国心。

 「国府氏が過去に犯した罪」(拳銃不法所持、拳銃発射、拳銃密輸等)を指して冷笑する人もいるが、その反省から国への恩返しを思い立っての行動であり、何よりも20年の歳月を塀の中で過ごし、身体で税金を支払い、償いは終わったのである。

 国府氏が今やっていることは、本来、国がやらなければいけないことである。日本の未来永劫の繁栄を願い、それを信じて戦って犠牲になられた方々の遺骨が雨風にさらされ、仲間のいない外国で哀しく泣いているのである。

 年金運用と称して無駄な施設を作ったり、中国やロシアや韓国にばら撒いたりするODAの何十分の一の金で、全ての英霊の遺骨収集はできるのである。この最も基本的なことを国がやらないから、愛国心のある若者が育たないのだ。

 愛国心というのは、国と国民の信頼関係、国のプライド、国民への包容力が不可欠である。国のために死んで行った人達を野ざらしにすることは国民への裏切り行為であり、これでは誰も国のために戦おうという気にならない。

 今こそ為政者は自らの手で英霊の遺骨を拾い上げ、その野ざらしにされた屍が作り上げた土の上に両膝をついて感謝の誠を捧げると共に、今日までの政治の怠慢を詫びるべきだ。

 国家と国民を守る為に自らの命を擲(なげう)つという、国民として最高且つ最大限の使命を果たした者に対し、涙を流して死を悼むような、そんな為政者の後ろ姿に国民は信頼を抱き、この国に生まれて良かったと思うのである。「愛国心」という日本語を前面に掲げることも勿論大切なことだが、それと同様に大切であるはずの「後姿」で示す政治や教育が、今のこの国には欠けているのではないか。

 灼熱の太陽の下、自ら鍬を手にとって汗まみれ泥まみれになっている国府氏の「後姿」は、そういったメッセージを言葉ではなく身体で語っているのである。

 
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