取引業者に犯罪を強要
IMG 中村哲夫
TMG 中村隆俊
 読者の皆さんは“医療界の風雲児”と呼ばれている「中村三兄弟」の名前を耳にされたことはあるだろうか?

 彼等は全国に病院の一大フランチャイズチェーンを展開する「中央医科(CMS)グループ」の経営者であり、その名は業界の隅々にまで知れ渡っている。

 CMSグループは、長男中村哲夫が率いる『板橋中央総合病院グループ(IMG)』を中核に、二男・中村隆俊『戸田中央医科グループ(TMG)』、そして三男・中村秀夫『上尾中央医科グループ(AMG)』で構成され、グループ全体で抱える医療機関の数は70以上、ベッド数に至っては1万6,000以上にも上る。業界に於いて「西の徳洲会、東の中央医科グループ」と並び称される、日本最大級の医療グループなのである。

 さて、そんな医療界のマンモスグループも、ここまで巨大化する過程には、それ相当の紆余曲折があったに違いない。「初めは兄弟3人だけの小さな病院だった」なんて逸話もあるけれど、何時からか経営難に陥った病院を次々と買収し、グループを形成しながら巨大化していった。

 長男・哲夫の経営手法はとかく有名で、医療関係者の間では「金の亡者」との批判が絶えない。またグループ関係者の間でも、「病院の運動会で、若手の女性職員にチアガールの真似事をさせて悦に入っていた」とか「病院の行事に参加しない職員はボーナスをカットされる」など、“金正日将軍様”顔負けの傲慢ぶりが以前から囁かれていた。

 そんな強気の経営が災い(?)したのか、3年前の平成13年7月には、IMGの本部(板橋区小豆沢3-3-2)に東京国税局の税務調査が入り、7年間で総額10億円にも上る所得隠しが発覚した。なんでもグループ内の個人病院の経営を赤字と偽り、診療報酬から源泉徴収された所得税約5億円の不正還付を受けていたらしい。

 通常、個人病院の場合、「社会保険診察報酬支払基金」などから支払われる診療報酬は、給付段階でその1割が所得税分として源泉徴収されているが、赤字と確定申告することで、それらの還付を受けることができる。IMGはこの仕組みを悪用した形だ。

 IMGの悪行はそればかりではなかった。取引業者に水増し請求や手数料名目のリベートを強要、総額で1億を超える金を受け取っていたのである。これらは全て、グループ内の赤字病院や関連会社が受け取ったかのように帳簿上の操作がなされ、課税を不正に逃れていた。リベートを強要した取引業者の中には、患者が死亡した際に依頼する葬儀社も含まれていたというのだから、彼らの節操の無さにはホトホト呆れ返る。

 その後、TMGとAMGにも関東信越国税局の税務調査が入り、IMG同様、計1億数千万円の申告漏れが発覚している。

 あれからはや3年。どうやら彼らの辞書に「反省」という文字は無いらしい。患者との信頼回復などは二の次とばかりに、白衣を着た「懲りない面々」は今日も金集めに大忙しのご様子である。

 だからと言って、CMSグループの所得隠しや「愛人に『○く○薬局』を経営させている」などといった鈴木三兄弟の個人的スキャンダルを、今更本紙が蒸し返したところで何も始まりはしない。

 「日曜に来るな」と年寄りを罵倒

 本稿では、TMGの基幹病院である戸田中央総合病院(以下「中央病院」)で本紙記者(仮にAとでもしておこう)が偶然に体験した、患者を患者とも思わないその診療実態を掘り下げてみたい。その内容を以下の通り対談形式でまとめてみた。

編集長 「中央病院で酷(ひど)い目に遭ったそうだね?」
記者A 「酷いなんてモンじゃありませんよ。『お前らそれでも医者か!』って感じでしたね」
編集長 「まぁ、以前からあまり良い噂は聞かないけどね」
記者A 「そうなんですか」
編集長 「ああ。まぁ、ひとつ詳しい話を聞かせてよ」
記者A 「わかりました。実は、5月の下旬に静岡から遊びに来ていた知人が『割れるように頭が痛い』って言うもんですから、心配になって医療センター(=戸田市医療保険センター)に連れて行ったんです」
編集長 「医療センター?中央病院じゃないの?」
記者A 「ええ。歩くのも辛そうだったんで、初めに最寄の医療センターに連れて行ったんです」
編集長 「なるほど。それで検査の結果は?」
記者A 「頭部のCT検査をして貰ったんですが、腫瘍もしくは脳内出血の疑いがあるという所見でした」
編集長 「そこで中央病院へ行った?」
記者A 「はい。医療センターの医師が『うちでは手に負えない。紹介状を書くから、今すぐ中央病院の脳神経科へ行ってくれ』というもんですから、仕方なく」
編集長 「中央病院の対応はどうだった?」
記者A 「スタートから酷いもんでした」
編集長 「具体的には?」
記者A 「まだ午前の診療時間内の筈なのに、『もう締切ったから、午後2時に出直してくれ』って言われたんです」
編集長 「脳内出血の疑いのある患者に出直せと?」
記者A 「そうです。『検査をするから、それまでの間何も口に入れるな』とだけ言って、門前払いです」
編集長 「様態が急変したらどうするつもりだったんだろうね?」
記者A 「奴等はそんなことお構いなしですよ」
編集長 「それで午後2時に出直した?」
記者A 「いえ、病院の待合室で待ってました。自宅と病院を往復できる様な状態じゃ無かったんです」
編集長 「それで午後2時になって直ぐに診てもらえたの?」
記者A 「とんでもない。30分近く過ぎてから、ようやく1番目の患者が呼ばれて診察室に入って行きましたけど、20分後に診察も受けずに出てきました」
編集長 「えっ?どういうこと?」
記者A 「まだ先生が来てなかったんです」
編集長 「他の患者さんも、かなり頭に来てたんじゃないかな?」
記者A 「ええ。相当イラついていたことは確かです」
編集長 「それで結局先生は来たの?」
記者A 「それから暫くして来ました。でも、その登場の仕方がこれまた神経逆撫でって感じなんですよ」
編集長 「どういう風に?」
記者A 「物凄い形相で我々患者を睨みつけたと思ったら、叩きつける様にドアを閉めて中に入って行きました」
編集長 「待たせておいて、それはないよね」
記者A 「ホントですよ。本気で怖がっている女性患者もいたくらいですから」
編集長 「当然だね。それで診察中の態度はどうだったの?まぁ、想像はつくけどね」
記者A 「終始ムスッとした感じで、口のきき方も非常に横柄でした」
編集長 「名前は?」
記者A 「確か“新居(あらい)”だったと思います」
編集長 「それで検査の結果は?」
記者A 「それが検査して貰えなかったんです」
編集長 「なぜ?だって『検査するから何も口に入れるな』って受付で言われたんだろ?」
記者A 「ええ、そうなんですが、先生が『1週間後じゃなきゃ検査できないんだよ』の一点張りなもんですから」
編集長 「理由は?」
記者A 「わかりません」
編集長 「納得がいく説明はなかったの?」
記者A 「ありません」
編集長 「それは随分と酷いね。それにしても気の短い君が、よく我慢できたね」
記者A 「ええ。でも先生に『(検査を)やるの?やらないの?』って言われた時には流石にブチ切れそうになりましたけど、場所柄と立場を弁えてグッと堪えましたよ」
編集長 「それで1週間後に検査は受けられた?」
記者A 「いいえ。中央病院では心もとないので、地元(静岡)の病院で検査を受けさせることにしました」

―以上がその内容である。

 以前こんな噂話を耳にしたことがある。心臓発作を起こし中央病院に運ばれたある老人が、その場に居合わせた当直医から『今日は日曜日だぞ!休みの日に病院に来るんじゃねえ!』と罵倒されたというものである。この当直医の名前は不明だが、中央病院にこういった体質が蔓延していることだけは確かなようだ。

 
 謝罪文句は「警察に相談済み」?
JR戸田公園駅にほど近い戸田中央総合病院。もちろん「最新の設備で、立派な医師もたくさんいる」ことを付言しておきます(=本紙)
 さて、今回の話には後日談がある。中央病院(そして新居医師)への怒りが収まらない記者Aは、翌日、苦情を申し入れるために同病院に赴いた。応対したのは総務課長代理田村何某という人物。

 この男、記者Aの話を聞き「事実関係を調査し、その報告を兼ねて謝罪のご連絡を差し上げます」と応えたまでは良かったのだが、その数日後記者Aの携帯に「この電話を以って謝罪とさせて頂きます。尚、蕨警察署の刑事課と顧問弁護士に相談済みです」という耳を疑いたくなる様な趣旨の電話を入れて来た。

 自分たちの非を認め、患者(今回の場合は付添い人だが)に謝罪をする。この行為の何処に、警察、それも刑事課などに相談する余地があると言うのか。これは謝罪とは到底言えない。裏を返せば、彼ら中央病院は自分達に非があるとは思っていない、ということになる。彼らの辞書には「反省」ばかりか「常識」という2文字も無いらしい。    
(つづく)

 
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