その@ 愛人は新宿で作れ
田淵常務理事
 東洋大学内で、権勢を欲しい侭にしている田淵常務理事。その力の源泉は、東洋大学OB約22万人を擁する校友会の巨大組織=「洋々会」を牛耳っているからだ、と前号で述べた。

 「学長選で敗れた菅野氏を擁立して大学の理事長に据えたのは、紛れも無く田淵常務理事、ひいては洋々会の力なのです」(ある東洋大OB)

 洋々会の強烈なる組織力とパワーを示す象徴的な話だが、「だから、洋々会をもってすれば、田淵常務理事は確実に理事長になれます。ところが……」

 このOBはこう続けるのだった。これを受ける形で校友会メンバーの中では、所謂改革派と呼ばれる人物が“意外”な声をあげる。「実は私どもは田淵氏が理事長に就任するよう、前々から促しているのです」

 つまり田淵氏はその“実力”があるにも拘らず、トップの座には就こうとしないのである。しかし田淵氏のこうした姿勢は、権力には興味が無いとする、控えめなキャラクターから来るものでは決して無い。

 寧ろ「権力欲が人一倍強い男」と、その対極の性格を指摘する関係者は少なくない。その内の一人である前出のOBが、こんな田淵氏の心情を忖度する。

 「理事長になると、露骨に利権漁りをする事が出来なくなるからです。現在の立場に居座り、大学の“影のドン”として利権を保持していた方がメリットが――といったところじゃないですか。だから、我々は田淵氏に理事長になって貰いたいのです」

 田淵氏の思考は「損」か「得」か、でしかないというのである。そして、その行動の一つ一つが「利権」というベクトルに向かっているとの指摘だ。

 「その利権の結実」とは言わないが、田淵氏は都内文京区の一等地、東洋大学の裏に豪邸を建築し、千葉県の勝浦には別荘を保有していると言う。

 田淵氏の資産の一部について言及したのだから、それに“連動”する「女性」にも触れておく。誤解を受けて貰いたくないのは、これは決して下世話な意味で取り上げるのではないという事だ。後に述べる田淵氏のメンタリティの一部を知ってもらいたいからだ。この“女性問題”を通して、田淵氏の一面を垣間見る事が出来るのである。

 田淵氏を古くからよく知るU氏が打ち明ける。因みに、このU氏は現在、東京都内の校友会のある支部の支部長を務め、前述した改革派の一人。

 「田淵氏は新宿のAKビル3階でバーを経営する丸田洋子さんと親密だった。毎年、青森県の十和田で行なわれる相撲部の合宿に、田淵は丸田さんを帯同する事が度々だった(田淵氏は相撲部の監督)。これはあくまで大学の行事です。この為田淵の行動は顰蹙を買っていました。

 また田淵は、北陸銀行から3,000万円の融資を受け、その金を丸田さんに回してやった事もあります」

 この話が本当ならば、異常な親密ぶりとしか言いようが無い。他人の為に自らが銀行からの融資を受けるとは、通常の交友関係では考えられない事だ。

 
 そのA 友は見殺しにせよ
豊島区駒込1-31-8にそびえる白亜(に似た外壁)の殿堂!?近寄ってみると…(下の写真へ↓)
おお、かの有名な「公私混同…」いや「田淵産業株式会社」ではないかっ!「株式会社大学サービス」って、もしかして…
 “陰の理事長”として君臨して、次々と利権を生み出しては、これまで述べた洋々会を始めとする“ファミリー”を形成していく田淵常務理事。その典型的なケースが「大学サービス」なる株式会社だと言う。前号で登場したA氏が打ち明ける。

 「これは田淵が経営する田淵産業のダミー的存在の株式会社。前に話した様に、田淵産業は東洋大学のメンテナンスを一手に引き受けていた。しかし、これは余りにも露骨だとして、学内で非難の声が上がった為、それを大学サービスが請負う事になった。

 本来、この会社は退職した大学職員の受け皿なんです。ところが、その実態は田淵の息のかかった者だけの会社です。田淵自身が取締役になっています。田淵産業のダミーと指摘した所以です」

 まだある。

 田淵常務理事は平成3年に発覚した、東洋大学相撲部の不正推薦入学事件に関与していたと報じた。その相撲部に関する事だ。

 「田淵はその当時の相撲部の監督だった。つまり不正入学の中心人物です。が、今も相撲部の監督として一般の体育後援会とは別に、独自の相撲部後援会を作っています。で、田淵はこの会に、大学の出入り業者を会員として入れるのです。業者にして見れば、仕事の事を考えると入会せざるを得ないわけです。何しろ業者への仕事を采配する管財部門をがっちり握っているのが田淵なのですから。

 こんな後援会ですから、当然、多くの金が集まるわけです。しかし田淵は年一回の総会でも、金の出入りを一切明らかにしないのです。全く不透明で、田淵の金集めの組織と言われても致し方ない」(A氏)

 田淵氏は、大学の相撲部までをも、利権の一つに組み入れていると指摘するのだ。そして常務理事でありながら相撲部の監督を辞さない。その田淵氏の“心”は先に述べた「理事長に成りたくない(=常務理事に居座る)」事と、相通じるものがあるという。

 その一方で、自分の意に添わない者は徹底的に冷遇する。この為、必然的に田淵氏の周囲は彼のイエスマンで占められる。

 前出のU氏は自らが見てきた田淵氏の冷徹な一面を伝える。

 「先の丸田さんに関することなんですが、彼女が家を購入した際、保証人が必要となった。当然、田淵に頼んだのですが、彼は『自分は常務理事だからまずい』として、ある人物を保証人にさせたのです。

 が、その後、丸田さんのところが“倒産”に追い込まれたのです。それで、その保証人になった人物が借金を背負うハメになった。これに対して田淵は全く知らん振り。嘗ての盟友ですよ。しかも田淵自身が、丸田さんの保証人になるよう懇願した人なのですよ。

 同じ様な話なんですが、田淵がゴルフの会員権を仲間に売りつけた事があります。結論を言いますと、そのゴルフ場は倒産して、会員権は全くの紙クズになった。それも全く無視。無関係を装っているのです。そういう男なんです」

 田淵氏のキャラクター及び同氏に纏わるこれまでの話を総合すると「独裁者」という文字が浮かび上がってくる。世界を見渡して、この言葉が最も相応しい人物は、我々が知っている限り北朝鮮の金正日だ。そして、かの国の将軍様は人一倍、猜疑心が強い人物と伝えられる。

 だが、U氏の次なる話を聞けば、東洋大学の“独裁者”田淵常務理事のそれは“本家”譲りだ。

 「田淵は各部署に息の掛かった五人の女性を配置しています。言わばスパイ役です。彼女らは、同僚を田淵のボトルを置いてある飲み屋に誘い、色んな話を聞き出しては、田淵に注進する訳です。そして田淵は、それを自分の敵か味方かの判断の材料にするのです」

 “喜び組”ならぬ“女性5人組”―此処まで来ると「田淵ジョンイル」だ。

 
 そのB 元大臣には迎合しろ

 ――群馬県と言っても、栃木県と埼玉県に接する県境に、板倉町という小さな町がある。東京から約60キロのこの遠隔地に東洋大がキャンパスを拓いたのは、平成7年の事だった。

 「該地は東京からのアクセスが良く、用地規模が33ヘクタールという広大な面積を有している。しかも(用地買収や建設費を必要としない)誘致型大学の触れ込みで、当時の塩川理事長を中心に、板倉進出は強引に推し進められた。

 しかし現実には、該地は湧水地であり、大学建設には全く不適格な用地です。しかも、誘致大学どころか莫大な費用が掛かったのです。何しろ県が声を掛けた二十数大学が全て断った地です。当然、反対意見が圧倒的だったのですが……」

 前出のU氏が東洋大学の“板倉進出問題”を振り返る。其処には、反対派から一転して、塩川理事長(当時)と共に、進出を声高に訴える田淵氏の姿があったという。

 「兎に角、大学の用地としては全く適さない所。これには田淵も反対だった。ところが、何時の間にか推進派に成ったのです。単純に言うと権力者・塩川に付いた訳ですが、この方向転換の裏には……」(U氏)
(以下次号)

 
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