糾弾は黙殺するらしい
ご覧の通り、東洋大の主要機関は田淵様の「下」にあるのだ!
 「どういう訳かすっかり息を吹き返した様です。強気の発言が目立ちます。長野県の会合(昨年の10月18日)時など大ピンチだったのですが…。今や、完全に自信を取り戻しています」

 東洋大の“影の理事長”田淵常務理事の近況をこう語るのは、同氏をよく知る同大OBである。

 先月号で、このところ田淵常務理事が意気消沈気味に見受けられると報じた。ところが、現在は“完全復活”の様相で、意気軒昂だという。

 一体、田淵常務理事の心境の変化は何なのか。これについて、同大OBの事情通が推測を交えて話す。「呼びつけたのか、自ら出向いたのかは知りませんがその後、他2人の常務理事らと不安材料を協議したそうです。その結果“黙殺”するという結論を得た様なんです」

 ここでいう不安材料とは本紙を含む経済誌等の追及記事や、改革派の校友会代議員U氏の動きを指すものと推測できる。これらを黙殺すると言う結論に至ったことで腹が据わったのだろうか。

 
 田淵派特技「陰口攻撃」
文科省には「奇襲や陰口」は通用しないよ、田淵くん
  ちなみに“協議”に参加した他2人の常務理事のうち、一人は学長選の際、田淵氏側に寝返り、その論功行賞で今の地位を射止めた教学側の代表A氏。

 もう一人は学識代表のF氏で明治安田生命(旧安田生命)出身の人物。明治安田生命では歴代の「東洋大常務理事学識枠」に人材を送り込んでいるという。

 何れにしても密室でのやり取りだ。この事情通の話も断片的な情報をつないだもので、どんな話がなされどういう“結論”を得たのか判然としない。

 だが、その場で何らかの密談があり、田淵常務理事に自信を取り戻させるような“結論”に至った事は間違いないだろう。

 「当然、U氏に関することも“議題”に上がり、田淵はUの行動は恐喝の要素があるとまで放言したそうです。だから代議員を解任するとまで」(同)

 更にこう続ける。

 「田淵の思惑を代弁する形でF常務理事が、U氏の盟友である理事に対して『Uは悪いヤツ。行動を共にすると誤解を受ける』と注意を喚起したそうです。そして一連の問題を田淵常務理事と切り離し、ただ単に校友会のゴタゴタとして説得したようです」

 この話を受けて、当のU氏が怒りを露にしてこう述べる。

 「私の代議員解任は支部総会が決める事。相変わらずの独裁者という他ない。何でも自分の意の侭になると思っているんです。私は代議員を解任されても一向に構わない。そうなれば一東洋大のOBとして戦うだけです」

 田淵常務理事は先の結論で火の粉を振り払ったつもりかもしれないが、U氏にあっては、

 「糾弾しても“黙殺”するならば一連の田淵の疑惑について文部科学省に告発するつもりです。目下その準備を進めている段階です」

 と、大学を所管する文科省への告発も辞さない構えでいる。

 
 告発案件 山盛状態

 田淵常務理事の疑惑の中で、U氏が最も問題視しているのが「大学サービス」なる会社の一件だ。

 U氏が指摘する。

 「田淵は駒込にある田淵産業の代表。同社はメンテナンス業務を行う会社ですが大学の清掃業務を独占していました。しかし、常務理事に就任すると、この取引態様が内外から批判を浴び田淵は大学サービスなる子会社を設立したのです。

 しかし、この会社は田淵産業の全くのダミー会社。会社の代表は田淵の意の侭に動く退職した大学職員です。つまり田淵産業を、この大学サービスの下請企業という形にしただけで、結局は発注者も受注者も田淵という、昔と同じ構図なのです。

 またキャンパスサービスという会社も問題です。この会社は、大学に功労のあった退職者の受け皿を作るとして、設立した経緯があります。ところが歴代の社長は全て大学の管財部長で田淵の息の掛かった者ばかり。そんな会社が大学の必要な物品を受注し大学食堂等にも関与している。

 社長は皆、歴代の元管財部長。独占受注が出来るわけです。功労者の受け皿会社とは名ばかりです。

 田淵産業は以前、勤務実体のない社員やファミリーを役員に据え、報酬を支払っているかのように装っていた。更に、同社が保有する文京区・霜降橋近くの建物を社員の社宅としていますが、実態は外部の者に貸し利益を上げています」

 確かに、私学助成金を出している文科省に告発すべき問題だ。

 
 板倉校舎は塩川との共同責任だ

 U氏が続ける。

 「次は板倉移転問題です。これは塩川総長(元財務大臣)と田淵が強引に推し進めたものですが、これにより大学は莫大な損失を被った。理事会が問題視しない方がおかしい」

 この板倉進出は東洋大学最大の闇と言える。関係者が振り返る。

 「兎に角、その触れ込みが凄かった。用地規模が33ヘクタールという広大な面積を有し、しかも用地買収や建設費を必要としない誘致型大学。当時の塩川理事長を中心に、強引に推し進められた。

 しかし現実には、該地は湧水地であり、大学建設には全く不適格な用地でした。しかも、莫大な費用がかかったのです。

 しかし、当初、田淵は反対だったのに塩川の言いなりに、いつの間にか推進派になって塩川と二人で行け行けドンドンで突き進んだのです」

 
 追い落しで得た理事席

 こんな話がある。題して“O前常務理事の悲劇”。

 白山校舎の1号館、3号館を建設するにあたり、当時のO常務理事は、施工業者である鹿島建設の現場事務所を、大学敷地内に設置する事を承認した。

 「これに噛み付いたのが、塩川(現総長)と田淵のコンビ。理事会にも諮らずにOが独断で決定した、と糾弾したのです。この二人に責められ、恫喝されたOは結局、この問題に関する謝罪文を書くハメになりました」

 そしてこの「謝罪文」が時を経てO氏の刺客として現れる。舞台は平成九年の校友会の評議員選だ。

 「田淵は、この謝罪文をO氏追い落としの武器として使ったのです。つまり田淵はこれを携え、校友会の各支部で『Oはこんな謝罪文を出すほど悪事を働いた』と、触れ回ったのです」

 陰湿な話だが、結果O氏は落選した。重ねて言うがO氏は前常務理事の地位にあった人物である。

 この東洋大学の校友会評議員の選挙戦を含め、同大学の理事及び常務理事選出の仕組みを説明しておく。

 評議員を選ぶ際、例え前常務理事であっても改めて評議員としての選挙の洗礼を受けなければならない。そして、この選ばれた評議員の中から理事を選出し、理事が校友会代表としての常務理事を決める。

 前常務理事の追い落としに陰で奔走し、好機に乗じて常務理事に就任した田淵氏――“策士”田淵常務理事の真骨頂だ。

 
 不審な取引…更に露呈
田舎町に「東洋大学駅」まで出来たのに『採算割れ』『撤退』の噂。板倉町民の期待が激怒に変わる…?
 この連載で田淵常務理事の権力の源泉が「洋々会」だと何度か述べた。校友会の一派閥である。しかし、学校法人東洋大学役員である20名の理事のうち洋々会サイドと目される者が、実に18名も占めているという。

 即ち、東洋大学では田淵常務理事を頂点とした洋々会のメンバーによる階層社会が形成されているのだ。田淵が常々「70歳まで常務理事を続ける」と公言して憚らないのも頷ける。

 そんな田淵常務理事が躍起になっているのが、新キャンパスの購入問題だというが、U氏がそれに疑問を呈す。

 「それは現在の白山キャンパスに近い司法研修所跡地です。これは財務省の所有なのですが、売却することになり、これを東洋大学が購入する計画です。買取価格は100億円以上と言われています。しかし、これは異常に高い金額です。何故ならば取得にあたって、ライバルがいないのです。

 当初は東京理科大学が購入する意向を示していたのですが同大学はその後、九段に土地を取得しました。という事は、買い手は東洋大だけであり、大学が主導権を握っている訳で強気な価格交渉が出来る筈です。しかし、そんな交渉をしていると聞いた事がない」

 田淵常務理事の後盾である塩川は、周知の通り前財務大臣だ。このコンビの過去の所業を踏まえると何やらキナ臭い利権の匂いが漂って来る―。
〔以下次号〕

 
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