治験業アイロムも無事年越し?

2008/12/29

 アイロム森社長は、医療法人やリースを利用した売上作りも「粉飾決算」と追求し続けられ、SMO・治験ビジネスの先行きも不安(治験の死亡事故等に対する厚労省の厳格化…etc)で、アイロムの業績下降は2009年に入れば更に更新される事は間違いない状況で、さぞや焦心の年越しであろう。
 アイロムホールディングスの60%近い株式を森社長が未だ所有しているのなら、アイロムの安値が更新される毎に一喜一憂するのは森社長自身であり、自業自得といえる。

 しかしもし森社長以外の金融機関等がアイロムHD株式を現段階で60%近く担保にしていたりしたら、金融機関の担当者は会社での居場所が無くなるのは必至。
 アイロムグループの売上を見栄え良くしてはみたが、度を越した加担をし過ぎ不正の証拠があちこちにはみ出てしまった。そこで一旦アイロムの売上作りから離れ静観を試みるが、ボロがどんどん露呈し、いつばれるぞや知らんと戦々恐々、といった所が銀行のアイロム担当者の心境ではなかろうか?

 隙あらば一発回収・逆転のチャンスをものにして泥舟から逃げ出したい銀行側としては、一番いいのはアイロムホールディングスを誰かが丸ごと買収してくれる事だが、噂はあっても実際に買収するとなれば今の株価でさえ買収者にとっては割高で、更にもう半値以下位まで落ちてくれなければ買収の旨味はない。
 …今の半値で買えても結局これと言った資産のないアイロムグループ株では価値が見出せないし、アイロムが持つ医療法人への回収不可能な数十億の「不良債権」とその原資となっている無謀借入を考えれば……買い手はつきがたいように思われる。

 そもそもアイロムは決算数字に気を回し過ぎ、医療法人と「身内同士の金貸しゴッコ」の様な売上数字遊びに終始し過ぎた。返済余力のない者に金を貸して自分が立て替えて返して貰ったことにする(金を迂回させた借金で借金の返済をさせる)と言う帳面上で架空の数字だけが増えていく数字遊びである。

 破綻は目に見え、今まではアイロムの意を汲んでいた監査法人にもやり過ぎのイエローカードを貰い、こんな時期だからにっちもさっちも行かない状況。
 しかしアイロム役員陣は森社長を含め気楽な人が多いのか、役員報酬カット程度でお茶を濁して終了と思っている。

 治験という隙間商売と時流に乗って東証一部上場までやって来れたが、この程度のリスクマネージメントではアイロムの生殺与奪の権を握っている金融機関が納得しない。
 そもそもアイロムの業務実態がいつからか自社内で資金を回して実体のない売上を作るという妙な方向に流れ、メインの商売である治験ビジネス・製薬ビジネスに対する取り組みが色あせてしまっては金融機関にとって投資先に見合う存在ではなくなり、回収の目処さえあれば一目散に逃げ出したい投資案件と言える。

 今は、その回収の目処が立たず逃げれば大赤字となるため、金融機関としても沈黙しているに過ぎない。金融機関は今、かなりシビアにアイロムの動向を伺っている筈で、そろそろ銀行の本陣も動きを見せる頃である。