イメージアップに躍起 富士薬品は立直れるか

(敬天新聞5月号)

富士薬品が所属契約した相手は

ジュニアテニス界のトッププレーヤー内田海智が、プロ転向を宣言した。本年四月一日、内田選手は自身の指導者である松岡修造(日本テニス協会強化副部長)と同席のもと、プロ活動のスタートを切ると同時に、企業との所属契約を発表した。

テニス界期待の星を全面サポートする企業とは、配置薬事業の最大手であり、ドラッグストアー「セイムス」を全国展開する富士薬品(さいたま市=高柳昌幸社長)である。同契約に至った経緯として、一昨年あたりから富士薬品のイメージキャラクターである松岡修造が橋渡しとなったと思われる。

自身の仕事に加え、弟子の面倒まで見させるとは、爽やかさだけではなく強かな面も兼ね備えているようだ。

さて、選手、指導者(タレント)、スポンサーが揃っての晴れ晴れしい会見であったようだが、同社のキャッチコピー「元気、いっしょに!富士薬品」とは裏腹に、高柳昌幸社長だけ何故か覇気がなかった御様子だ。

主役の三人が納まる写真を見ても、どこか上の空で、握られた拳にも力強さが感じられない。それも当然、高柳社長は会社での問題が山積し、作り笑いさえ出来ない状況なのだ。

ただし、頭痛の種は本業に関するものではない。富士薬品の稼ぎ頭であるセイムスは、順調に業績を伸ばしているし、お得意の企業買収でも、今年始めに北海道地盤の調剤薬局チェーン「オストジャパングループ」を約十四億円で買収し、完全子会社としている。

高柳社長を悩ましているのは、自身の父であり先代社長でもあった、高柳貞夫氏が残した負の遺産についてだ。


先代社長の負の遺産に群がる輩

先代が不動産漁りにのめり込み、収拾困難な事態に陥ったことは、以前から当紙が報じている通りだ。また、手を出した物件は何れも如何わしい物件ばかりで、思い付くまま挙げても、TSK、真珠宮ビル、朝鮮総連本部ビル、大井松田東洋ボール、チャーミングスクエア芦屋等々、不動産をかじった者なら誰もが知る、超が付く有名物件ばかりだ。

尤も、先代社長が自らの足で情報を集め狙いを定めていた訳ではない。富士薬品の資産を自由に動かせるワンマン社長に取り憑いた、魑魅魍魎の輩が持ち込んだものが殆どであった。当然、甘い汁を求めて大物小物が我先にと入り乱れ、誘蛾灯に誘われる様に取り憑きもした。

斯様な連中をまた思い付くまま挙げれば、日建の渥美和弘社長、双海通商の浅井健二社長、故横井英樹の虚業系譜を引き継いた大津洋三郎氏、元大阪府警本部長で富士薬品系の一富士債権回収の社長も務めた四方修氏、元衆議院議員で弁護士の辻恵氏、変わり種としては、元フジテレビプロデューサーの、通称ゲーハーサトちゃん等々、人物の裏側を知るアングラ業界では何れも有名な方々だ。

加えて、危ない橋は渡らないが、火中の対岸で火が収まるのを虎視眈々と見つめている、大物政治家、メガバンク、ゼネコン、大手流通企業等々も控えている。

勿論、富士薬品物件の絡みでは自殺・殺人・誘拐・監禁・現金強奪といった多岐にわたる事件事故が発生しており、当局も睨みを効かせているのも確かだ。それでも、先代社長の負の遺産は、これら輩にとっては宝の山に等しいのである。


同情も禁じえない二代目の境遇

富士薬品の内情を追い、取材を重ね、大量の関係資料を入手した当紙であっても、事件整理と複雑に絡む人物相関図を理解するのは大変なことである。

れを温室育ちの高柳昌幸社長に求めるのは酷な話かもしれない。収拾が付かずに混乱の極みであった平成十七年に社長に就任して以降、それから今日まで高柳社長は本業に目を向ける時間を割かれ、先代社長の尻拭いに明け暮れたのであろう。

その間、多くの貴重な人材が離れたのも確かだ。社内外を見渡し、誰が敵で誰が味方なのか疑心暗鬼に苛まれても仕方がない。

先だって、不逞の役員を解雇し、新に大手ディスカウントストア「大黒天物産」(昨年、東証一部上場)の副社長であった佐々木桂一氏を、専務取締役(ドラッグストア事業本部長)として迎かい入れた。

この人事が功を奏すかは今後を見守るほかないが、既に富士薬品を解体・分社化する為の足掛りではないかとする声も聞こえてくる。

それが健全な形で行われるなら良いが、高柳社長を取り巻く周辺事情を見る限り、難しいのではないか。先ずは、吸血ヒルが如く、最後の一滴まで吸い上げようとする輩を整理するべきである。

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