SMBC日興証券元執行役員 吉岡宏芳被告の裁判始る

(敬天新聞7月号)

出向エリート行員が犯した犯罪

多くのマイクを前に頭を下げる写真の男性は、SMBC日興証券の代表取締役副会長である渡邉英二氏である。

但し、写真は昨年八月のものであり、渡邉氏はその当時は同社の社長であった。頭を下げた理由は、吉岡宏芳同社元執行役員が逮捕、起訴されたインサイダー取引事件を受けてのことで、謝罪と自らの減給処分を発した会見場面のものだ。

旧日興證券時代から同社一筋で社長に上り詰めた渡邉氏からすれば、親会社である三井住友銀行からの出向者であった、エリート行員吉岡宏芳の尻拭いをさせられた屈辱の会見だったに違いない。

とはいえ、事件裁判が継続中にも関らず、今年三月に代表権のある現職に就任した事を踏まえれば、世間に対する禊も終ったと判断し、流れ弾に被弾したことを配慮されての人事といえなくもない。

サラリーマン人生に於ける頂点を極めたといって過言でない。方や、出向先の子会社社長に謝罪させた事など、全く意に介することもなかったであろう吉岡宏芳被告は「事件は幻であり冤罪だ、無罪だ、公訴棄却だ」と、エリートらしからぬ子供じみた主張で全面対決の姿勢にある。

傍から見ればエリート行員が諦めの悪さを披露する興味深い裁判内容となっている。

しかし、同事件で共に逮捕され既に執行猶予付き有罪判決(懲役二年六月、執行猶予四年、罰金三百万円、追徴金約一億円)が出た加藤氏が、先だっての公判で検察側証人として証言したことで、公訴棄却をも主張してきた吉岡被告の戦略に暗雲が漂い始めた。


加藤氏の証人尋問で状況が一変

そもそも無罪主張の吉岡被告側に圧される形で、検察側は裁判途中で訴因変更までせざるを得ず、若しかすると無罪判決が出るのではないかというような意見が多かった。

吉岡被告も風向きが変わった時点で、粛々と裁判に臨んで入れば、そんなに世間も注目しない事件だったし、検察のミスを誘って無罪となる可能性も高まったかもしれない。

検察を本気にさせたのは、吉岡被告側の余りに思い上がった態度だったような気がする。というより検察側も加藤氏の自白調書で安心しすぎて気が緩み、そこをつけこまれ相手側のマスコミ向けメッセージに翻弄されたということではないか。

しかし、検察側の逆襲ともいえる加藤氏の証人尋問で状況が一変した。銀行員であるはずの吉岡被告が広島の暴力団関係者に三億円。

横浜の暴力団関係者に二億円。山本幸三衆議院議員(自民党=福岡)が代表取締役を勤めるブルー・エコノミー(港区=現社長は榊原康寛氏)に三億円。

を仲介して貸して焦げ付いてる現状を証言した。

特に山本議員の会社には無担保で貸したそうである。また吉岡被告の個人口座に百万円単位で振り込まれた合計一億六千万円が入金されている事実も公表された。

弁護側は事件に関係ないと否定するだろうが、検察は振込先を徹底的に洗うべきである。


元エリート行員吉岡被告の背景

吉岡被告は加藤氏に「逮捕されても二人が否認すれば大丈夫。その間に元検事総長だった弁護士が検事と話をつける」と犯罪隠蔽を持ちかけたそうである。

この話が吉岡被告一人の作り話だったのか、誰かの入れ知恵だったのか。この時点での弁護人は蓮見和也弁護士だった。

吉岡被告は山本議員が社長を勤めていたブルー・エコノミーに金を出させる時も「元国税庁長官」が関係しているような話を持ち出している。

この時も吉岡被告の一人芝居だったのか、誰かの入れ知恵だったのか。ブルー・エコノミーの顧問弁護士も蓮見和也弁護士であったのは、単なる偶然ではないだろう。

ただこの裁判で不思議なこともある。吉岡被告は全面否認をしてるにも拘わらず第一回公判前に保釈を認められているのである。

普通は否認は「証拠隠滅の恐れがある」という理由で、先ず保釈は効かないというのが相場である。

検察不祥事が続いているので、昔ほどの神通力が効かなくなってきているのだろうか。それとも吉岡被告の裏に大物が居て、政治闘争の結果だろうか。


残すは学歴(慶応大卒)のみか

どうあれ、人も羨む出世街道を歩むエリート行員だった吉岡宏芳。SMBC日興証券への出向も、更なる昇進を含んだ人事であったのだろう。

結局、事件発覚後に出向解除となり、三井住友銀行から懲戒解雇されている。

判決がどっちに転ぼうとも、金融マンたる吉岡宏芳の未来は閉ざされたに等しい。

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