パソコンの遠隔操作による悪質商法 多発するプロバイダ勧誘に注意せよ

(敬天新聞7月号)

遠隔操作事件

パソコンの遠隔操作と聞いて、先ず思い出すのが片山祐輔容疑者による事件である。

仕掛けたコンピューターウイルスに感染した他人のパソコンを遠隔操作して悪さをしていた事件である。

他人のパソコンで殺人予告や伊勢神宮の爆破予告をするなどして、誤認逮捕が相継いだ卑劣極まりない事件だった。

警視庁などの合同捜査本部は六月十日、他人のパソコンを遠隔操作しアイドルグループへの襲撃予告をしたとして、またまた追送検した。

片山容疑者はこれまでに七事件で逮捕・起訴され、一事件で追送検されている。


容易に可能な遠隔操作

さて、パソコンの遠隔操作なんて、特殊で縁の無い事件だと思うかもしれないが、ITエンジニアの知人に話を聞いてみたところ、やろうと思えば出来るだろうと言っていた。

また、パソコンのOSが提供する遠隔操作機能や遠隔操作用の無料ソフトをダウンロードすることで、誰でも簡単に自分のパソコンのデスクトップ画面を、操作を依頼した相手のパソコンに表示して、相手が自分のパソコン画面の遠隔操作やデータの転送を行うことが出来るのだという(IDとパスワードを相手に伝える等で遠隔操作が可能)。


簡単操作で重大トラブル

昭和生まれのアナログな私には、その仕組みが全く解らない。先日も所持している携帯電話の具合が悪くauに電話した時、お客様の携帯電話はガラケーですか?と聞かれ、何のことですか?と聞き返したら、ではパカパカですか?と言い直されたが、何のことか全く理解できなかった。

因みに後で解ったことだが、ガラケーとは他の島との接触が無かった為に独自の進化を遂げたガラパゴス諸島の生物になぞらえた呼び名で、パカパカとは文字通り二つ折りの携帯電話を指す。

いずれにしてもスマートフォンではない時代遅れな古い携帯を意味するようだ。 

また、時々パソコン画面に「更新しますか?重要なお知らせ」などと表示されると、判断に戸惑うばかりである。

しかし、パソコンが便利で多様化されるなか、ドイツでは銀行員がパソコンで送金作業中、キーボードに指を置いたまま一瞬居眠りし、誤って金額を2億2222万2222.22ユーロ(約287億円)と入力してしまったというトラブルも起きている。

私も同様の理由で原稿が「あああああああああああ・・・・」となってしまったことがある。

ITエンジニアの知人いわく、インターネットを介した身近なトラブルは増加しているばかりか、単純な操作で取り返しのつかない大事に至るので気を付けなければならない。


身近に起こる遠隔操作

そんな中、近頃パソコンの遠隔操作による悪質なプロバイダ勧誘が多発している。

これまでに確認されている手口は、

?プロバイダを乗り換えれば安くなると電話で勧誘され、プロバイダの乗り換え作業は遠隔操作で行うと説明され、事業者の言われた通りパソコンを操作しパスワードのような数字を教えたところ、勝手に頼んでもいないサービスに幾つも契約されて、以前より高額な月額利用料の請求が後から届いたという『遠隔操作で承諾していない契約を結ばされたケース』、

?勧誘の電話に出た未成年者に大手通信会社を名乗って信用させ「今より月額量が安くなる回線がこの地域につながった。遠隔操作で登録できる」と説明し、パソコンを言う通りに操作させ、遠隔操作が可能な状態にして以前より高い契約を勝手に結ばせるという『未成年に不十分な説明で遠隔操作に同意させて契約させたケース』、

?知らない会社から電話があり、現在利用しているプロバイダのサービスが無くなるので、移行手続きをする必要があると言われ信用し、事業者の言われた通りにパソコンを操作したところ、遠隔操作により料金の高い契約を結ばれてしまっていたという『契約が必要だと嘘を言い遠隔操作をされたケース』などである。

被害者はパソコンが苦手で判断力の乏しい六十歳以上の女性や未成年である。私も騙されかねない知識の乏しさなので決して人ごとではない。


遠隔操作に注意啓発

国民生活センターでは、最近インターネットのプロバイダの契約にあたり「事業者から電話で勧誘され、よく理解せず言われるままにパソコンを操作し、事業者に自分のパソコンを〈遠隔操作〉してもらったところ、承諾していないプロバイダ等の契約に申し込まれてしまった」等というトラブルが複数寄せられており、勧誘業者に自分のパソコンを遠隔操作させるということは、契約内容を確認する機会を失うだけでなく、自分のパソコンにある情報を相手に晒し、自由な操作を可能にさせ危険であるばかりか、法律上プロバイダ等の契約は特定商取引法の適用がないため、法律上のクーリングオフが出来ないとして注意を呼びかけている。

また、片山容疑者も使用したといわれている遠隔操作の際に発信元を特定できないようにする特殊なソフト(Tor)などがネット上でダウンロードできる。

米海軍調査研究所が開発に携わり、民間の技術者が改良したソフトで警視庁公安部の内部資料がネット上に流出した事件でも使われ、流出ルートが特定できなかったという代物。

被害を回復するのは容易ではない。消費者はくれぐれも被害に遭わないように注意をしていただきたい。


ネットの恐怖

成りすましや、偽装、サクラ行為などインターネットを介した詐欺が増える中、昭和生まれのアナログな私にとって、本物の情報を見分け適正なパソコン操作を行うのが益々大変な世の中になってきた。

でも昭和生まれのアナログな私は前田敦子や嵐のメンバーに成り済ましたサクラメールに騙され金を取られる心配は無いけれど、それよりサイバー攻撃やネットを使った諜報行為が国際問題になっているけど、やがて遠隔操作により他国のミサイル発射を操作し、他国に成り済まして、そのまた他国に攻撃をさせるという悪夢は起きないのかと心配である。

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