フィリピンに根付く暴力団 報じられない犯罪被害の闇

(敬天新聞8月号)

政府開発援助の真っ当な使い道

参議院選挙に圧勝した自民党。その余韻に浸ることなく、安倍首相は動き出した。マレーシア・シンガポール・フィリピンの三か国歴訪に出発した。このうち、フィリピンでは政府開発援助を活用し巡視船十隻の供与を表明するという話だ。

言わずとも、南シナ海にて領有権を巡り中国と対立しているフィリピンへの支援であり、併せ中国を牽制するのが狙いだ。

過去、中国に施した莫大な援助は何一つとして国益に繋がらず、感謝すらされなかった。

仕舞いには、我が国固有の領土である尖閣諸島を奪おうとさえしている。

今回の援助のように、相手に望まれ感謝される、何より安全保障分野における関係国との連携強化に繋がるものは、国民にとっても納得いくものである。

さて、国内政治が不安定であった昨今の時期に於いても、フィリピンを含む東南アジア諸国との関係は概ね良好であった。民間交流をとっても表向き問題はないように見える。

しかし、交流が深まれば深まるほど、両国のアンダーグランドに生息する犯罪者の活動も活発化するのである。

現地の組織や警察、そして一部政府機関とも良好な関係を築きあげ、何かと規制が強まった日本よりも、組織としての体が磐石だとも言われている。

尤も、今も昔も彼等の餌食になるのは、危機管理能力に乏しい日本人旅行者や、事情ありの金満日本人らであることは変わらないようだ。

フィリピンにて日本人が被害を受ける代表的な犯罪が「セットアップ詐欺」だ。


セットアップ詐欺の進化系とは

このセットアップ詐欺には様々な種類が含まれるが、日本で言うところの美人局もその一つである。ただし、フィリピンでは現場に踏み込んでくるのは警察官なのである。勿論、本物の現役警察官である。

脅し文句は買春や若しくは強姦だといって現行犯逮捕を仄めかす。暫くすると「見逃してやる。その代わりに・・・」と、金を要求するのである。

被害者は言い成りに金を差し出し一丁あがりといった運びだ。何とも無様な光景が目に浮かぶが、日本では古典的な詐欺でも、フィリピンでは本物の警察官が加わるのだから性質が悪い。

それでも、手持ちの金で済むならまだマシである。セットアップ詐欺は最近ではキッドナップ(誘拐)へと、より重大犯罪へと移行している。

平成二十五年七月十二日、フィリピン国家警察は日本企業「Fフィルム」社員を監禁して、金銭の要求をしたフィリピン人三名を逮捕した。

逮捕された三名のフィリピン人は、マニラ市内でFフィルム社員に女性を紹介すると近づき、ホテルの一室に同社員を監禁した後に金銭要求を迫ったという。

もっと重大な事例としては、日本のレジャー施設社員三名を同様手口で拘束監禁し、内一人を日本に帰し三人の家族等から合計六千万円を脅し取るという、完全な身代金誘拐もあったとされる。

ただし、本件に関しては被害者が被害届けを出さないことから、一般に報じられることはない。被害者の心情として表沙汰に出来ないというのも分からなくもないが、それを逆手に取られていることは間違いない。

今では、女性を紹介すると誘われカラオケパブあたりに連れ込まれ、そのまま誘拐・拘束され日本の家族に一千万円の送金をお願いしている日本人が、一日一人いるのがマニラの現状だそうだ。

そして、現地に根を下ろした日本人暴力団が、この手の犯罪に関与しているとされる。


怪しい渡航を重ねるM社のM社長

尤も、彼らのシノギは能動的なものばかりではない。逆に、彼らが現地で蓄えた力やコネを頼っていく日本人がいる。

その大半が逃亡を画策する犯罪者や、まだ追われる身ほどではないが、日本で稼いだ犯罪収益を持ち出し安住の地を求める予備軍らだ。

現在、六本木バットマンズ集団撲殺事件の主犯格として手配されている見立真一も、その逃亡先はフィリピンだといわれている。

逃亡を幇助しているのは、関東連合の嘗ての仲間や部下で、相当の資金も運び込まれたとされるが、現地でアテンドしているのは暴力団と思われる。

見立が逃亡先にフィリピンを選択した心理もまた、金があれば手助けしてくれる組織が存在し、融通が効き比較的自由が得られるからなのであろう。

ただし、逃亡者である以上は未来はないに等しい。逃亡資金が枯渇した時点で、周辺者が手のひらを返すことは間違いない。

また一方、当紙の糾弾対象者のなかに妙な形でフィリピンに渡航している者がいる。近々に裁判での対決が控えているM社のM代表である。

M代表は、調べによると4回もフィリピンに入国しているが、バンコク経由であったり香港経由であったり、なのだ。

安いチケットを求めて、経由、経由で旅行する者はいる。しかし、M代表はワンルームマンション販売で巨万を稼ぎだした金満家なのだ。

しかも、わざわざ乗継便を利用して手間と時間を費やしたにも拘らず、現地滞在は僅か一日なのだ。不思議な旅行である。

何れにせよ、冒頭に記したように安倍首相が大局的な見地からフィリピンとの外交を深めることは大いに結構なことだ。

ただし、前述した犯罪以外に女性が被害者となる人身売買が圧倒的に多いのも同国であり、其処に日本人も絡む。

常々正義の味方を気取るアメリカが何かと口を挟んでくるのもこの点だ。もう少し両国関係の実態に目を向けるべきである。


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