日本大学に国税が踏み込む 田中英寿理事長体制にメス

(敬天新聞9月号)

国税係官が日大本部をガサ入れ

日本大学の本丸に国税当局の調査が入った。調査というより、犯罪を暴くが為のガサ入れといったほうが相応しい扱いだったと言うのが、関係者の率直な感想だ。

八月某日、国税の精鋭係官が踏み込んだのは、日本大学会館(本部)の総務部で、調査という名目の捜索を徹底的に行ったようだ。くどい様だが、係官はエリアの税務署職員ではない。東京国税局の精鋭係官が出張ってきたのである。

その係官らが本部を後にして次に向かったのが、本部から歩いて数分の場所にある日本大学桜門会館である。同館は四年前に開館した日本大学交友会親睦の場であり、日大の現役学生と直接交流出来る重要な拠点として活用されている。

日本大学の広報は「桜門会館は、単なる親睦の場ではありません。異なる分野で事業を行う校友同士が出会うことによって新たな ビジネスチャンスが生まれ、学生にとっては就職活動の、校友にとっては人材発掘の場となるような、まさに市場活動に 直結する交流の拠点なのです。さらに、今後は政治の分野にも注力し、松下政経塾のような組織をつくって将来の日本を 担う政治家を育成するというプランも視野に入れています」と、相当な思い入れがあるようだ。

そこに国税が踏み込んだのだから心中穏やかではないだろう。何故、校友会が国税調査の対象になるのだと。しかし、国税が狙っていたのは校友会ではなかった。同会館内に市ヶ谷オフィスと称した事業所を置く、株式会社日本大学事業部を対象にしたものであった。

日本大学事業部は同会館内に保険代理店事業部門を置き、勢力的に営業活動を行っていた。国税が日大事業部に狙いを定めたのには、それなりの理由がある。不明瞭な金の流れの源流こそが、日大事業部であると確信を持っているからだ。

日大事業部は設立から僅か四年程しか経っていないが、既に国税にマークされる程、腐敗しているということだ。日大事業部は当然ながら学校法人日本大学の出資による事業会社である。その目的は、事業活動を通し収益を日大に寄付・還元することだ。

実際『日本大学創立百三十周年記念事業募金』に、二億数千万円を寄付している。これが収益の一部なのだから、立派な営利企業といえる。尤、出資者である日大が高等教育機関である以上、一般企業とは違い営利追求は二の次でなければいけない。公共的・社会的役割を担いつつ、何より大学教職員や学生の為に経営に努めなければならない。

しかし、国税のマークからもわかるように、設立目的や理念などは捨ててしまったようだ。現在は利権を一極集約化する腐れ組織に成り下がっている。否、日大事業部を設立した当初から全ての利権を牛耳るつもりだったというのが正解かもしれない。勿論、画策したのは田中英寿理事長である。

 

そして、自身の傀儡として日大事業部に送り込んだのが井ノ口忠男だ。更に、井ノ口の実姉である橋本稔子も加わった。橋本は大阪の広告代理店「エルフエージェンシー」の社長であり、日大からの広告業務を請負うようになる。

田中理事長の意を汲んだ傀儡の働きは、真っ当な大学教職員の顰蹙を買ったが、絶対的支配者である田中理事長に逆らうことはなかった。しかし、最近になって傀儡共に変化が生じてきた。そもそも日大の権力者は田中理事長一人ではない。田中優子理事長夫人が権力の双璧の一方に鎮座しているのだ。優子夫人の発言力は、田中理事長に勝るとも劣らない。そんな優子夫人から寵愛されているのが、井ノ口の姉である橋本なのである。

また最近では、優子夫人のお気に入りである日大出身関取の遠藤関の後援会等のパーティーも、橋本を指名して仕切らせているようだ。過日、名古屋マリオットアソシアホテルで、会費一万五千円、御祝儀一本十万円以上で、遠藤関の後援パーティーを開いたようだが、仕切り役の橋本が請負料として数百万円を抜いたという。 勿論、過分に徴収したことは言うまでもない。優子夫人が黙認して好き勝手やらしているとしたなら、橋本への寵愛は本物ということだ。

更に、田中理事長の傀儡として裏業務に努めていた井ノ口も、どうやら優子夫人に乗換えたともいわれている。もともと田中理事長の行動監視をしていた疑いもあった井ノ口であるから、日和見らしといえばそれまでだ。田中理事長の影響下で一枚岩かと思われていた日大事業部も、どうやらバタ付いている模様だ。斯様な状況では、国税の厳しい調査を乗り切れるわけがない。

井ノ口も田中理事長の目を盗んで、報告出来ない悪さも重ねてきた筈だ。国税には、それもこれも全て捲って欲しいものだ。

本丸の日本大学会館(本部)の次に国税が踏み込んだ日本大学桜門会館


側近消え小田中グループが台頭

一方の田中理事長は、国税調査を相当甘く見ていた節がある。従前通りの予定調和的な調査で終わると踏んでいたのだろう。その証拠が、九月十日の理事長選出に向けた体制作りだ。

それまでの側近を大量に切り捨てる非情人事を敢行し、恐怖支配の継続を皆に見せ付けた。これで理事長三選は確実だと高を括っていたに違いない。そんな安心感からか、新たに側近に据えた石井進常務理事に、井ノ口並みの裏業務を任せてもいる。

流石に常務理事の肩書では動きずらいのか、実際には石井常務理事の部下である安藤なる男が「田中理事長の密命で動いている」と、利権の窓口として行動している。関係者の間では、この石井・安藤のコンビを「田中理事長の虎の威を借りて、あるいは名前を目一杯使い強引に仕事を取る姿が、まるで田中本人に見える」ことから、「小田中」と呼び、安藤以下を含め「小田中グループ」と名付けている。

しかし、国税の強固な姿勢は田中理事長の立場を一気に崩すことになる。情勢を見誤り、本来なら自身を守る壁になるべき人材を切ってしまい、今や無防備の裸同然の状態なのだ。周囲を見渡せば、新参の小田中グループと情実で引き上げた古株の内田正人しかいない。井ノ口は所詮は信用ならない男だ。

最近、田中理事長が「敬天にやられた」と、初めて弱音を吐いたという。尤も、国税の調査は全学部に及ぶとも言われており、これからが本番である。しまいには弱音どころかグーの音も出なくなるであろう。

小田中こと石井進常務理事

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