三田龍生院が巨大納骨堂に変貌 住民の計画変更の願いは届かず

(敬天新聞9月号)

港区三田の古刹が巨大納骨堂へ

港区三田が騒動で揺れている。地元の由緒正しき古刹である三田高野山弘法寺「龍生院」が、本堂の建て替え及び墓地を撤去して収容一万基の巨大納骨堂建設計画を明らかにしたのだ。近隣住民が計画を知ったのは一昨年のことだ。その後は住民側が龍生院に対し、計画規模の縮小を求め龍生院に要望を出すことになる。

つまりは、納骨堂建設に闇雲に反対している訳でなく、住環境と景観を守るための協定書を締結し、それに基づく運営を行ってもらいたいと言う願いだ。住民側と龍生院は協議会を重ねたが、両者の溝は埋まらなかった。

計画してある一万基の納骨基数を、港区内にある他の納骨堂の規模同等の一千基程度に縮小し、それに伴い五階建て(高さ約二十メートル)を三階程度に低減することが、住民側の主たる要望だ。

そして、何より計画変更で望んだことが、墓地を撤去した後の墓石を新築建物の屋上に設置するという、常識外の計画の撤回であった。墓石は地上の墓地にあることは日本人ばかりか世界の常識であることは語るまでもない。また、重量のある墓石を屋上に設置すれば、一度大きな地震があれば倒壊する恐れは十分ある。その衝撃で建物本体が瓦解し、近隣に重大な被害をもたらしかねない。

しかも、計画概要では建物内に僧侶も居住するということらしい。日々の生活空間で、足下に一万基のお骨を踏みしめ、頭上には墓石があるというから、罰当たりにも程がある。僧侶という立場で、この状況を良しとする心根を聞きたいものだ。


港区議会請願書も効果なし

結局、龍生院側は「建築計画の変更は時間・費用面から対応不可能。ただし、住民要望に配慮し収容する納骨基数については半減する」とした。随分と住人側に配慮した変更とも言えるが、その中身は何ら変わっていない。

「納骨基数は一万基から五千基に縮小するが、建築規模や高さの変更は一切しない。墓石は当初の予定通り屋上に設置する」としたからだ。龍生院は、住民の要望に耳を傾けて一旦は誠意を見せる振りをして、先々に当初の計画通り一万基に増設することも可能としたのである。

そして昨年二月に、工事着工を強行したのである。住民側は龍生院の横暴を止める手段として、港区議会に対して請願書を提出した。請願内容は「三田二丁目に建設中の龍生院納骨堂について、近隣地域の安全な生活環境の維持と良好な景観保全のため建築主である宗教法人龍生院に対し、近隣住民との話し合いの場をもっていただき並びに近隣住民との協定書にも応じて下さるよう指導されたい」とある。

請願書の付託先である港区議会建設常任委員会は、平成二十五年第二回定例会にて、同請願の議決をはかり全会一致で採択された。住民側としては、請願採択によって少なくとも工事は中断し、協議会は再開されるものと安堵した。

しかし工事は中断されることなく、予定通りに建設は進んでしまった。龍生院は、請願採択など工事を強制的に中断させる法的拘束力はない。港区議会の行政指導など無視すると言わんばかりだ。本来なら港区から営業許可を得なければいけない立場で、行政に歯向かうことは事業者としては命取りとなるはずだが、この強気な姿勢は不思議でならない。

何れにせよ、この夏に一部内装工事を残して巨大納骨堂は完成した。請願採択も空振りに終わった住民側は、ほぼ完成した納骨堂に建設中断を求めても意義がないと、運動の象徴であった、のぼり旗やポスターを撤去し、建設工事に関する部分的な協定締結を結ぶ道を選んだのだ。住民側の事実上の敗北である。


龍生院三田霊廟は早速販売開始

完成した納骨堂は「龍生院三田霊廟」と正式名称も決まり、既に販売用の公式サイトも開設し営業を開始している。キャッチコピーは「港区三田という都内一等地の堂内霊廟」だという。また、住民の気持ちを逆撫でするかのように、三田霊廟の魅力として「この地は都内で約二・三%の文教地区に指定されており、用途規制により良好な環境が守られています。また、大使館や歴史的建造物も多い都内一等地の閑静な町並みです」と、近隣景観と住環境を破壊した張本人が誇らしげに語る始末である。

現在、第一期オープン限定で五百基を先行販売しており、価格は百二十万円である。第一期分が完売すれば、龍生院には六億円の大金が転がり込む。これが、全体からしたら十分の一に過ぎづ、五千基全てを売り捌けば六十億円になる計算だ。

 

納骨堂開発を不動産事業と捉えるとしたなら、効率且つ収益性の高い事業であり、龍生院は優良な収益事業者(商売人)といえる。更に、龍生院のビジネスには隙がない。完成した納骨堂の三階には本堂が設けられているが、既存の檀家ばかりか新たな購入者のために、宗派を問わない副本堂を階下の二階に用意した。これで、法要・法事の全てを受けることができる。

また地下一階には客室と控室を含む斎場も完備されている。つまり、葬儀一切・納骨・永代供養・法事法要といった寺の業務を漏らすことなく完備する巨大施設が誕生したことになる。まさに坊主丸儲けである。

商魂たくましい龍生院の収益事業はこれだけではない。一番の収益上の魅力は、納骨堂を区分販売して終わりではないということだ。購入者からは年間護持会費として、一律一万五千円を徴収する。

名目上は管理費ということらしいが、檀家になる縛りがない購入者に対する、形を変えた寄付の強制徴収である。五千基全てを売り捌けば、護持会費の収入だけで年間七千五百万円の収入となる。

しかも、僅か三年の会費未納で遺骨は合祀墓に強制的に移される。そして、空いた区画は再度売りに出されるのだ。仏の情けなど微塵もない、徹底したビジネスライクな対応である。


巨大納骨堂建設に仕事師の存在

さて、割のいい商売であるが、これでも当初の計画からしたら半分である。龍生院が住民との約束とはいえ、金のなる木を目の前に指を咥えて眺めているとは考え難い。

そもそも、住民に配慮したという既成事実が欲しくて、最初に常識外の一万基という数字を出しとも考えられる。但し、建築規模の変更は時間・費用面から対応不可能とすることで、先々の増設を可能とした節がある。

そうだとすれば、相当な策士である。しかし、にわか事業者ともいえる龍生院の僧侶や関係者に、住民や行政を真っ向相手に仕切れる者がいたとも思えない。ここにきて、ある仕事師らが関与していたという情報が入った。この紙面の次ページである三面の掲載記事に登場する、川崎市東田町に出張った関係者や真珠宮ビルに関係した地面師、地上げ屋、金貸しが三田納骨堂でもダブっているというのだ。

更に、龍生院と本山の高野山の間で裏取引も絡んでいるというから穏やかでない。納骨堂は完成はしたが、あと一波乱ありそうだ。

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