日本大学理事長再任決まる 田中体制継続で腐敗が加速

(敬天新聞10月号)

再任土俵際を二枚腰で粘り勝ち

相撲で例えると二枚腰(一度崩れたようでも立ち直る粘り強い腰)か。日本大学の田中英寿理事長が再任を果たした。正に粘り腰の持ち主だ。

平成二十年に理事長に就任してから以降、日大利権を牛耳るが為にだけ全ての精力を傾けてきたといっても過言ではない。なかでも、自ら手掛けた日本大学事業部の設立によって、利権集約型の田中体制の地盤は固まった。


週刊文春が報じたスリーショット


既に、事業部設立からの四年間で様々な旨味を甘受してきたが、本格的な搾取はこれからとなる。再任したことで、今後の任期中、更なる強権のもと日大の腐敗が加速することであろう。

思えば、在・野崎体制時であった当時、常務理事だった田中理事長は自らの不正行為が露呈して窮地に陥っていた。本人も日大を去る覚悟をしていたとも言う。

そもそも、相撲一筋の脳筋男にしては、常務理事まで出世しただけでも大したものだ。素直に退けば日大の後ろ盾を失っても、アマ横綱の経歴だけで老後の食い扶持ぐらい稼げたであろう。

しかし、半ば諦めかけていた処に助け舟が出た。懇意にしていた大物暴力団の面々が、田中英寿を救えとばかりに動き出したのである。当紙も、時の時勢から様々な利権に塗れていた在・野崎体制を批判する側に立った。

結果、正にアマ横綱時代を彷彿させる二枚腰で土俵(日大)に残ったのである。今回も、田中理事長は数々の醜聞を退け再任を果たした。

しかし、体制継続が決まったからこその困難も待ち受けている。在・野崎体制がそうであったように、組織のトップとして疑惑の中枢にいたからこそ外部からの糾弾対象になったのだ。

トップから滑り落ちれば、誰も相手にはしない。逆に平穏な状況を得ることにも繋がる。何故なら、利権を継承する側からすれば下手に深追いをすれば、前体制の利権を全て放棄する羽目になるからだ。

暴力団の力を得て勝ち残った田中理事長もまた、在・野崎を告訴すると息巻いていたが、実際は放置したままだ。ならば、利権を継承する立場に押し上げてくれた功労者に報いるかとおもえば、それさえも反故にした。

田中理事長がしたことは、自身に繋がる窓口を暴力団に一本化することで、内と外に大量にばら撒いた空手形を整理させ封じ込めたのだ。ここまでは田中理事長を後押しした暴力団の思惑通りだったかもしれない。

脳筋男には搦め手は必要ない。押して前に出ることしか能が無い単純な男で扱い易いと踏み、田中体制の誕生に尽力したのであろう。

しかし、暴力団もまた田中理事長の本質を見誤ってしまう。散々、暴力団を背景にした脅しで地位を固めてきたからには、誰よりも暴力団に畏怖の念を感じていなければならない。

ところが、田中理事長はアッサリと暴力団との関係を切ってしまうのだ。尤も、たまたま暴力団との僅かな接触も禁じた暴力団排除条例の施行があり、その時流に乗じただけに過ぎない。

自身の周辺を固める弁護士軍団や警察OBからの助言があったにしても、先々のことを考えもせず切ったに過ぎないのだ。方や思っていた以上に単純で短絡的な男だと悟り、寧ろ暴力団の方から「田中英寿は危ない」と、距離を置いたともいえる。

今般、暴力団の危惧は現実のものとなり、距離を置いた判断が正しかったことが露呈する。田中理事長と今も蜜月関係であったなら、流れ弾に晒されかねない事態に巻き込まれたかも知れない。

今年二月、週刊文春の記事で、田中理事長と住吉会福田会長のスリーショットが掲載された。掲載時には田中理事長と大物親分の中央で目隠しながら堂々と写っていた男は日大理工学部の加藤和英事務局長である。

加藤局長は、この度、田中理事長の肝入りで、理事に抜擢されている。週刊文春が、どのような経緯で掲載写真を入手したかは知らないが、田中理事長の周辺から漏れたことは確かだ。

これまでなら、けして表に出なかったものだ。因みに、掲載写真について問われた田中理事長は「二十年も前のことで覚えていない」と惚けた。 同様の場面が数多くあったであろうから記憶が薄れているか、若しくは脳筋故に本当に忘れている可能性も否めない。ならば、加藤現理事は記憶しているのだろうか。

単なるお供としてついて行ったところ、大物組長と写真に収まることになり、彼は嬉々として、この写真を学内で自慢していたというから、今も後生大事に保管しつつ記憶も鮮明に残っているに違いない。最近、安倍内閣の新人事で抜擢された数名の閣僚に対し、極右団体の人物やらヘイトスピーチ等で批判の的となっている在特会関係者やらと過去に写真に写っていたことをマスコミが取り上げ、その尻馬に乗った野党が追求の材料にして騒いでいる。

「国会議員たる者として軽率だ」ということだが、当の本人達は請われて写真を撮っただけと、それ以上の関係を何れも否定している。そして、関係を裏付ける新たな報道がないなかでも、糾弾は収束することなく、野党は国会で追及するとまで息巻いている。

さて、無名の自称極右活動家と政治家の一枚の写真に大騒ぎする大手マスコミだが、任侠界の大物組長と我が国最大の総合大学、日大理事長の写真は、見事なまでにスルーしているのが解せない。況してや、写真に収まった経緯は天と地の開きがある。

田中理事長と加藤現理事は、住吉会会長就任祝いの席に出向き、その流れが件の写真なのだ。少なくとも教育学府を管轄する文科省は事実確認をした上で、何らかの処分を課すべきである。

昔の事案で取り上げるまでもないと言うなら、つい最近の写真ならばどうだろう。写真に写るのは、当時すでに現職だった田中理事長と田中体制発足後の前捌きを担当していた弘道会の山本岩雄氏である。

山本氏は平成二十二年十二月、先代の墓前で拳銃自殺により亡くなっている。だとすれば、この写真は田中体制が発足した平成二十年後の少なくとも四・五年前に撮影されたものといえる。

いくら脳筋の持ち主でも、記憶にないとは逃げられないだろう。しかも、この手の写真は闇に埋れているだけで、他にも大量に存在しているとも言う。

田中体制の継続が決まった今、田中理事長と暴力団の蜜月関係を示す写真や資料が、堰を切ったように流出するのは間違いない。これも、意地汚く権力にしがみ付いたことの酬いである。

亡き山本岩雄氏と田中理事長

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