長野県川上村の高原野菜で名を馳せた
名物村長藤原忠彦の表の顔と裏の顔(1)

(敬天新聞3月号)


ブラック農家の烙印

▼日本有数のレタスやキャベツといった高原野菜の産地で知られる長野県の川上村。特に長野県が天然記念物に指定した川上犬は、村の名を世に轟かせてきた。都心から遥か離れたのどかな山奥の集落で、日本オオカミの血を引く伝承ある川上犬を従え、高原野菜の収穫で、たくましく生活を営む人々の姿が思い浮かぶ。

嘗ては陸の孤島と謂われた村落を、活力ある村として村民を長年従えてきたのは自伝「平均年収2500万円の農村」の著者で全国町村会長でもある藤原忠彦村長だ。日本有数のレタス産地として知られる川上村では、一戸あたりの平均年収(正確には年商)は2500万円を越えるという。

しかし、そんな自伝は美談に過ぎないという川上村の実情が、昨年明らかとなり報道各社が「ブラック農家」と報じた。農作業に携る外国人実習生を受け入れていた「川上村農林業振興事業協同組合」が東京入国管理局から五年間の受け入れ停止処分を受けたことが発端で、村全体のイメージが「ブラック農業」とのレッテルを貼られることになってしまった。

藤原忠彦村長


夏が短い高冷地での野菜栽培は、夏季集中型を取らざるを得ないため、未明から深夜までの長時間農作業が必要となる。以前から川上村では全国各地の学生アルバイトなどを季節労働的に募集して労働力需要を補っていた。嘗ては若者が他市からも就労を求めて殺到しているという報道も見られた。

しかし、実際は過酷な作業で地元の若者も都会へ流出しており、人材難に陥っていたようだ。そこで国内での人材確保は人件費もかさむので、近年は「外国人技能実習制度」を利用して中国人などの外国人で農作業を支えていた。

外国人技能実習制度とは、発展途上国の人たちに日本の技術を伝える制度だ。嘗て外国人研修生の受入機関、受入企業の一部で実質的な低賃金労働者として扱う問題が相次ぎ発生し、問題を回避すべく平成二十二年に法改正が行われ「外国人研修生受入制度」から「外国人技能実習制度」と改められたものだ。

ところが、平成二十四年に川上村の中国人研修生による投書を基に日本弁護士連合会が調査を行った結果、長時間労働、過少な残業代、執拗な罰金制度による減給といった人権侵害があったことが分かり、村も設立に携わり毎年数百人の中国人技能実習生を受け入れていた「川上村農林業振興事業協同組合」に改善を勧告。

投書は在米国大使館にも届き、米国が日本政府に対して改善を求める事態になった。その結果、昨年九月に東京入国管理局から五年間の研修生の受け入れを停止する処分を受け、「川上村農林業振興事業協同組合」は昨年十一月に解散するに至ったのだという。

現在、厚生労働省が少子高齢化に伴う介護業界の人材難を見据え、介護分野への外国人受け入れを検討しているが、労働力の確保は制度の趣旨に反している事、外国人を低賃金で使うこと、虚偽の難民申請をして別の職場で働くこと、など制度の悪用が後を絶たず物議を醸しているが、その要因ともいえる事件である。


日弁連の勧告書

▼日本弁護士連合会が公開した勧告書によると、暴行や脅迫が日常的に行なわれ、実習生が勝手に逃げ出さないように口座や旅券などを農家側が管理し、更には実習生を監視するための「班長」という制度などを作り、様々な規則を押し付け、少しでも違反すると罰金を徴収していたという。

また、農家側の過失が原因で外国人実習生が死亡する事例も発生。女性に対しては性的な暴行があったと主張している。宿舎も劣悪な環境であったことも報告されている。

もちろん外国人実習生の中にも不届き者も居るだろうし、文化も生活習慣も違うのだから規則をつくるのは当然だ。村民や規則の全てを非難する意図は当紙にはない。

しかし、日弁連の主張が全て認められた訳ではないが、事実があったから入国管理局は処分を下したのだろう。善良な村民にとっては、迷惑極まりない一部の不届き者による事件である。

せっかく国が定めた国際貢献の一環として設けた善意の制度も、バカな組織が主旨に反する行いをすれば、世界から誤解を招くことになる。特に反日的な国家の国民を受け入れるには細心の注意が必要である。だから制度の趣旨に反する行いを見逃さないよう政府は新たな監督機関の設置などを含め、制度の再設計を進めるべきである。

また、不当な行為が発覚し入国管理局から外国人実習生の受け入れ停止処分と成ったから、その組織を解散しただけで解決済みとするならば、五年前に天然記念物「川上犬」の血統書偽装疑惑で問題となった川上犬保存会の時と同じである(詳細は次号)。

この「川上村農林業振興事業協同組合」の責任者、或は悪事を行った者を処罰するべきだ。

一部の不届き者が犯した罪であることをはっきりさせ、善意の制度を活用し真面目に働いている農業従事者や日本国民の名誉のために、中国や米国から向けられた誤解を払拭するべきである。

ところで、日弁連の勧告書によると「川上村農林業振興事業協同組合」の理事長は由井久となっている。

しかし、もともと藤原村長の右腕ともいえる副村長の経歴を持つ由井明彦が理事長となって村の手動で2005年に設立した組織である。 この由井明彦は、2007年に現職の副市長の身でありながら参院選の自民党比例代表候補だった森元恒雄氏を当選させようと、副村長の立場を利用し複数の部下職員に対し、投票や票のとりまとめを依頼し、公職選挙法違反で逮捕されて五年間の公民権停止になった人物だ。藤原村長は監督責任を負い減給となった。

かし、公選法違反事件の後も由井明彦は川上村農林業振興事業協同組合のトップを続け、時には取材も受けていた。

なぜ逮捕後も理事長でいられたのかという理不尽に加え、今回は日弁連の動きを察し、問題が公になる前に理事長を降りたのでは?という疑念の声が村民の中から聞こえている。

そして、善良な村民たちは「また川上村が悪いことで全国に恥を晒してしまった」ことに心を痛めている。「また」とは、悪事を働く一派が藤原村長に寄添い、川上村を牛耳っているからだ。そして度々理不尽な問題を引き起しているからだ。

川上村は山奥の小さな集落である。ゆえに村民たちの仕事は「役場」「農業」「林業」の関係に大きく分けられ、この限られた雇用の中で生活を営んでいる。これらが死活問題に直結しているという事だ。

だから、この三つの雇用に携る権力者を前に、村民は村八分といった嫌がらせを恐れて逆らえないのだという。


疑惑の報道

劣悪なタコ部屋(日弁連の勧告より)


▼一見、平穏無事な村と思われるが、藤原村長の名はこれまでも何度か週刊誌や新聞紙上を賑わせていた。

嘗てオウム真理教が、川上村にサティアン施設の建設を画策した際、オウム排除に陣頭指揮を取り一躍を担った藤原村長だったが、実はオウムに土地取引を仲介していた人物の弟である不動産会社社長から、別の土地開発事業に絡み賄賂を貰っていたという告発記事が週刊誌「サンデー毎日'99.8.15号」に掲載されたことがあった。

この件はその後も月刊誌「新政界往来」が実名で記事を連載し、追及を続けている。オウムと中島某の不動産取引を仲介していた杉山和典氏の弟である信濃建設の元社長・杉山衛氏が、川上村でレジャー施設の経営を計画し、藤原村長に便宜を図ってもらうため様々な金品を供与していたが、後に藤原村長と親密になり村有地を借り上げ「川上村ゴルフ場」を経営することになる高橋博之氏に裏切られ、藤原村長から七千万円で購入した筈の土地を乗っ取られ、藤原村長と高橋博之氏ならびに実兄まで関与して財産を騙しとられ食い物にされたという話である。

記事が事実であれば大変な事だ。杉山衛氏が訴訟を起こしたという風聞は知っているが、後に村長が逮捕されたことも無ければ、逆に藤原村長が出版社を名誉毀損で訴えたという話も無く真相は藪の中だ。

また、近ごろ川上村の議員達に杉山衛氏より書状が届いているということで、当紙は取材中に村民から杉山衛氏の関係者か問われることがあったが、当紙は無関係であることを念のため申し上げておく。

当紙が、なぜ今この問題を記事にしているかというと、藤原村長と仲間たちによる不条理によって、善良な村民が心を痛めているけれど異議を唱えると嫌がらせや村八分にされることから、怖くて何も言えないとの相談や情報が方々から寄せられているからだ。

そこで尋常ではないと思い情報の真偽を糺すことにしたのである。不条理を感じたということだ。こうした川上村の闇は五年前に起きた川上犬の血統書偽装疑惑の問題に、顕著に現れているのである。次号に続く。


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