(敬天新聞6月号)
増え続ける詐欺被害額 |
相変わらず詐欺や悪質商法の被害が後を絶たない。警察庁の発表も消費者庁の発表も、毎年被害額は増すばかりである。
オレオレ詐欺や振り込め詐欺といった特殊詐偽の被害額が昨年は約五六〇億円で過去最悪を更新した。
また、消費者を欺く紛い品や欠陥品、効能効果を偽ったサプリなどを売りつける悪質商法の消費者被害では、全国の消費者センターに寄せられた被害相談などから、約六兆七〇〇〇億円に上ったとする推計額を消費者庁が発表した。
いずれも、主務官庁が把握している被害額であるから、実際はそれ以上という事に成ろう。それだけ悪党が世に蔓延っているということだから、決して他人事ではない、明日は我が身ということもある。
被害に遭ってからでは後の祭りだ。しっかりと啓発し、消費者も自己防衛策を身に着けなければならない。
ロト6詐欺の関連住所は札幌の風俗街になっているが実体は不明だ
被害者の心理 |
当紙は、これらの被害に遭われた方から相談を受けることが良くある。被害内容だけを聞くと、何故そんなものに大金を騙し取られるのだろうかと理解に苦しむ。騙す奴は勿論悪いが、欲にくらんで騙される被害者も悪いのだという声も耳にする。
だが、事件報道の表面的な被害状況だけではなく、被害者の人に直接話を聞くと、内面的な事情が見えてくる。例えば被害女性で共通しているのは、女手一つで子供を養っている母子家庭であったり、一人で障害や病を患った親の介護をしている人であったり、日々の生活苦で心身ともに疲れ果て、甘い言葉に救いを求めやすい精神状態にあることだ。
騙される人には騙されるなりの事情、背景もあるのだ。身近に信頼できる相談者もなく、そういう精神状態のとき、藁をも縋る思いで夢のような話に吸い込まれてしまうのだ。
そして、最初に登録料等と言われて、数万円を払ってしまうと、途中で怪しいと感じても、それがかえって不安な気持ちを助長し、最初に投じたお金を取り戻そうと慌てふためき、冷静な判断力を更に失い、次から次へと要求されるが儘に支払いに応じ、引くに引けない状態へ嵌まっていくのである。だから一人で数千万円もの被害に遭う人がいるのだ。被害者の名簿は確実に闇で回され、少額な取引から負の連鎖に捲き込まれていく。詐欺であれ、霊感商法であれ、新興宗教であれ、騙される道筋は同じだ。
詐欺被害の連鎖 |
現在、当紙に被害相談に来ているAさんも、その一人である。Aさんは東北の自宅で親の介護をしながら、日夜を問わず暇を見ては仕事をしている三十代の女性である。
Aさんは雑誌広告をきっかけに購入した開運数珠商法に一二〇〇万円を騙し取られていた。霊能者に不安を煽られ祈祷料や仏像代金と称して金を取られたのである。
詐欺ではないかと思いネット上で被害回復を謳う調査会社に相談し、六〇万円を支払い、紹介された弁護士に説得されて二〇万円で和解をしてしまったそうだ。
更に、開運商法の相談ダイヤルに電話をしてから数カ月後、携帯電話に見知らぬ男から電話がありロト6の当選番号を教えると言われ総額一一四一万円を騙し取られてしまったという。 この件も先の調査会社に相談し、別途に六〇万円を支払ったそうだ。一応この調査会社からは調査報告書が届いたそうであるが、ある日突然、電話がつながらなくなってしまったというから、この調査会社も、まともな業者ではないだろう。弁護士もまた然りである。
開運商法は和解をしてしまっているので、ロト6詐欺との関係や調査会社と弁護士の関係に疑念が残るが、今回は未だ解決に至っていないロト6詐欺に的を絞り、業者名を公に曝すことにする。
平成二十五年十一月ごろ、Aさんの携帯電話に株式会社リーフの「イワタ」という見知らぬ男から電話があり「ロト6に興味がありませんか?会員になれば当選情報を教えます」と言われた。
その後もイワタの同僚と名乗る複数の男から電話が来るようになり「会員になれば儲かる。登録料は一万円」などと勧められたため、先ず一万円ぐらいならと思い指定された口座に振り込んだそうだ。
すると今度は「アキタ」という男から電話で「当選金の中から配当金を受けるための枠を確保する必要があるから二〇〇万円用意できるか」などと言われ、別の口座に二〇〇万円を振り込んだ。
こんな調子で更に現金を要求され八〇〇万円を振り込んだが、突然「機械が壊れた。これまで預かった金は年明けに返す」と言って時間を稼ぎ、仕舞には連絡が取れなくなってしまったそうである。
ロト6詐欺と風俗店 |
株式会社リーフは実体のない架空業者だ。電話番号は011(558)0892であるが、電話の契約者は有限会社オールアンドニューである。
この電話の設置場所は札幌市中央区南六条西5ー3で、すすきので有名な風俗店が軒を連ねるビルの住所であることが分かったが実体は不明である。
オールアンドニューの代表取締役は「野本英章」という人物で、住所は調布市深大寺北町2のアパートである。恐らく名義貸しで得たダミーの住所であろう。 電話で「アキタ」が入金を指示した振込先は、「住信SBIネット銀行レモン支店・普4983221カワノマサシ」、「住信SBIネット銀行イチゴ支店・普4920612ホンダセイ」、「ジャパンネット銀行本店営業部・普5692017ユ)ジースタイルエイギョウブ」、である。
詐欺に遭ったAさんは1000万円以上も振り込んでしまった
既に名前を変え、新たな法人名を騙って同様の手口で詐欺を繰り返しているに違いない。
しかし、詐欺グループの中身は一緒だから、何れ必ず足が付き、天罰が下ることだろう。とはいえ詐欺がこれほど蔓延り、繰り返されている理由は刑罰が軽すぎるからである。
このままでは警察も手一杯で手に負えなくなる。もっと重罪にして厳罰化すべきだ。さもなくば、プロの詐欺師は勿論繰り返すし、捕まることをリスクと思わす詐欺に手を染める若者がこれからも増え続けることだろう。
これ以上、詐欺師を蔓延らせてはならない。以上の情報が何かの手掛かりに成る事を願う。
当選番号が事前に決まっている事はない。見知らぬ人に電話でわざわざ教える筈もない