スーパー銭湯を全国展開する上場企業葛ノ楽湯に内部告発と思われる投書

(敬天新聞9月号)

日本人と銭湯

日本人にとってお風呂とは、単にシャワーのみで体を洗うヨーロッパの国々とは違い、独自の伝統文化として深く馴染み親しんできた歴史がある。まだ風呂の無い家庭が多く存在した昭和の時代は、近所の人たちや家族や友人が、煙突のある「銭湯」に集い、富士山などが画かれた風呂に浸かりながら談笑し、良き交流の場として存在してきた。

昭和の大衆浴場と呼ばれたその銭湯も、今や「スーパー銭湯」と呼ばれる娯楽施設の一つに様変わりし、遠い温泉地に行かなくとも手軽に立ち寄り安価で温泉地に言った気分に浸れるだけでなく、食事は基よりマッサージや理髪まで施設が充実していることから、近年人気を博している。

現在ではどこの街でもスーパー銭湯を見かけるようになり、一大ビジネスに発展している。そのスーパー銭湯を全国に店舗展開している企業の一つに、葛ノ楽湯(東証JASDAQ2340新川隆丈社長)というのがある。極楽湯は直営店舗とフランチャイズ店舗を合わせて約四十店舗を運営し、近年では海外進出を果たし、平成二十五年には上海一号店を出店させ、今年は上海二号店を出店させた業界屈指の上場までしている企業である。

まるで極楽湯のPRじみた前置きとなったが、当紙の本題はこの極楽湯の上海出店に絡み、内部告発とも取れる投書が送られてきたことである。

(株)極楽湯の新川隆文社長


投書

投書の主な内容はこうである。

『極楽湯は香港に設立した「極楽湯中国控股有限公司」を通して、中国上海で二店舗直営店を設立しています。この香港の法人「極楽湯中国控股有限公司」は、葛ノ楽湯が五十一%の株式を保有するしており、中国上海における直営二店舗の法人は、極楽湯中国控股有限公司が一〇〇%出資しております。この中国の二店舗直営店の法人における代表取締役は、共に葛ノ楽湯の取締役である山口猛氏が担当しております。

■不正疑惑@

極楽湯が上海にて展開した二店舗の建設費が異常なほど高く、上海二店舗法人の代取である山口氏の横領疑惑があります。

極楽湯が中国上海にて展開している極楽湯碧雲温泉館(一号店)および金沙江温泉館(二号店)について、建設費が通常では考えられないほど異常に高いようです。一、二号店とも建設費が日本円で二〇億円(中国元換算、一号店建設当時:約一・五億元、二号店建設当時:約一・二億元)のようですが、一号店および二号店の建設規模は延床面積で六〇〇〇〜七〇〇〇平方メートルであり、一平方メートルあたりの単価計算をしますと「二万元/平方メートル」程度となります。

この建設単価は、中国においては五〇〇m以上級の超高層ビルの建設単価を上回る額であり、一、二号店の建設内容では考えられないレベルの建設費です。加えて、極楽湯の一号店および二号店は建物は賃借であるため、建設コストには部分的改修を除き、建築躯体コストは含まれないはずです(内装費用のみのはず)。

中国国内で、この内容の工事コストは六千元/平方メートルぐらいだと思われます。極楽湯が仕様を高く設定していたとしても、多く見積もっても一万元/平方メートルと思われ、実際との差額は一〇億円近くなると思われます。

この件に関して私が伺っている情報では、取締役山口氏が数億円の横領を行っているようです。現時点で証拠の有無は分かりませんが、支払い経路などの調査により、明らかできるものと思われます。

■不正疑惑A

極楽湯の中国支社における重役複数名が、極楽湯の将来展開を阻害しするような計画を進行させているとの情報があります。極楽湯は今後、中国にてフランチャイズ展開を含めた一〇〇店舗という大規模展開をしていくようですが、中国支社における複数名が、新たな法人を極楽湯とは別に個人的に設立し、その法人で中国の市場展開を行おうとしているようです。

もしこの計画および行為が真実であれば、極楽湯の大規模展開に大きな影響が生じるはずです。

極楽湯に競業避止義務規定や競業務禁止契約が存在するかは分かりませんが、状況によっては不正疑惑一と同じく特別背任罪や、加えて規定違反などもでてくるのではないでしょうか。

この件に関しては、取締役山口氏のほか、椎名氏、西村氏といった複数の名前が上がっております。』

※当紙注釈。後日、投書の主から「建坪と延床面積を取り違えて計算してました。お詫びします。実際は建坪が約六〜七〇〇〇平方メートル、延床が約一万二〇〇〇平方メートルで、建設単価は一・〇〜一・二万元/平方メートルになります。知人によると、これでも通常の三倍以上の相当な高単価だそうです」との連絡あり)。


極楽湯の回答と当紙の見解

以上の投書を要約すると、極楽湯が中国に日本式の健康ランド風銭湯を作ったわけだ。その建築費を山口という男が莫大に上乗せして、懐に入れた可能性がある、ということだ。山口の権限がどのくらいあるのか分からないけど、山口一人じゃ出来ないのではないだろうか?。例えば社長が山口にやらせて、キックバックさせてると疑った方が自然かも知れない。

ところで、これとは別に社長が自社株を大量購入していたとの情報が入った。しかも、その購入資金が、中古車ベンチャー企業家で名を馳せながら横領事件で逮捕され、サラリーマン社長を食い物にすることでも有名なW氏から出ているというのだ。今流行りの株価を吊上げ会社を売却する策略でもあったのだろうか?。

これらも含め極楽湯の新川社長に質問状を送ったところ、新川社長から直接回答を得ることが出来た。新川社長はW氏について取引先の関係者だったので知っていることは認めたが、他の内容については全て事実ではないと否定する回答であった。

事実ではないと否定するという事は、内部調査を徹底的に行ったという事だろう。若しくは全てを知った上で否定しているということになる。

新川社長が極楽湯の代表になった経緯は、前オーナーからM&Aによる企業継承を相談され、自ら買収し経営者となっている(本人インタービューより)。実際は伊藤忠からの、とらばーゆサラリーマン社長らしいが。どっちにせよ個人商店の創業者とは会社への思い入れは違うだろうから、会社の売却やマネーゲームに乗ることは有り得ることだ。

投書の発端が内紛によるものなのか、極楽湯を嵌めようとしているのか、山口役員を陥れようとしているのか、それとも自浄作用を促す正義の告発なのか現時点では分からぬが、何れにせよ更なる調査によって内容の真偽を明かにせねばなるまい。

昭和の銭湯

平成のスーパー銭湯


敬天ブログ敬天新聞社ホームページ敬天千里眼不正疑惑(評判・噂)告発