当社を誘った取って置きのビジネスKKCの山本一郎と競球の山本意致朗

(敬天新聞平成27年12月号)

先日、新橋駅前で街頭演説をしていると、演説内容に共鳴をしたという一人の女性から声を掛けられた。

行く末に不安が募るばかりだが次世代の為にも、今を生きる大人の私たちが何とかしなければならない等と世間話をしているうちに意気投合した女性は、「私はこれで救われた」と言って、幸せになれる取って置きのビジネスを教えてくれた。

この会社にお金を預ければ預けるほど、元金は保証され毎月多額の報酬が得られるという夢のような話であった。既に一回目の報酬を手に入れたから本当の話だという。真っ黒い街宣車を前に、しかも詐欺糾弾専門紙を自負している当社に対して、真剣に資料を見せて説明するのだから、女性は本気である。その素晴らしい会社の社長の名刺を拝見させていただくと、あの人だった!。KKCの山本一郎である。敢えて説明するまでもないが、KKC(経済革命倶楽部)の山本一郎は、平成七年に僅か一年足らずの期間で全国一万二千人の会員から三五〇億円を集めた詐欺師として名を馳せた御仁である。一千億円を集めた波和二が「円天」を餌にしたように、三五〇億円を集めた山本一郎は「平成小判」を餌にした。

一〇年間を塀の中で過ごし、娑婆に出た山本一郎は、週刊誌などに登場しKKCは革命的な事業であったにもかかわらず、国家権力の横暴による不当逮捕であったと持論を展開していた。その山本一郎が、名を山本意致朗に改め、株式会社競球(西浅草三‐三‐十二)なる会社を設立し新たに金を集めているようだ。


球転がしで銭儲け

一部のメディアが取り挙げていたし、当紙社主を山本一郎に会わせようとする者もいたので、山本が金を集めているというのは何となく知っていた。今度の構想は、競馬でいう馬主ならぬ「球主」を集め出資させ、巨大な競技場にいくつもの球を転がして順位を競うギャンブル事業だ。馬のように維持費はかからず出走する球に会社などのPRも入れられるから投資する企業が殺到し、レース事業でみんなが潤うというものだ。

特許庁に申請した素晴らしい事業だというが、女性が手にした資料をよく見たら、単なる名前の商標登録だった。そんな虚勢をかましながら訳の分からない妄想を実現可能な構想であると信じ込ませながら、主に無知な女性や過去の事件を知らない外国人(中国人)をターゲットに、競球事業をPRする本だの浄水器の販売権利だのを謳って金を集めているようだ。 また、金を持っている人には四五六万円を預けると九ヶ月間毎月一〇〇万円支払われる長期コースという儲け話を勧めている。たったの九ヶ月で四五六万円が九〇〇万円になって返ってくるというが、合理的な根拠が何ひとつ資料には示されていない。それなのに信じる人がいるのは、山本の無から有を作りだす希代の話術のせいだろう。

因みに女性の話だと、山本の事務所で現金を配るそうだが、山本の机の上には現金が山の様に積まれていたという。これは、訪問者の気を引く見せ金だろう。全て本物か疑わしい。


未常識の経済

当紙も幸せになりたいので、どれだけ山本の考えが素晴らしいのか、山本と競球事業をPRした「未常識の経済」という本を読んでみた。ところが全く魅力を感じるどころか、さっぱり理解できない。唯一興味を引いた記述は、四十九ページのKKCが「なぜ、強制捜査を受けることになったか」という項である。山本は、世間に詐欺師呼ばわりされて逮捕されることになった発端を、この本で次のように語っている。

『何故に出資法違反という形で強制捜査を敢行される状況に陥ったのかというと、急激に発展した事業には付き物の、恐喝まがいのゆすり・たかりの族が増えてくるのである。その一端が、怪しき新聞の勧誘から始まった。ある新聞が、KKC広報担当のところへ、五〇〇万円で買ってくれという申し入れを持ってきた。その申し出をKKCは即座に断った。この申し出を断ったことにより、「私らを敵に回すと高くつく」と脅しのような捨て台詞を吐いて、その場を立ち去ったらしい。その事件の後、何故かKKCに対して執拗な街宣活動が始まった。その街宣の内容はKKCを陥れる内容で「高齢者を食い物にしている」などだったが、逆に宣伝になり高齢者が競って入会するような状況だった。その街宣も何の効果もないので放置しておけばよいのだが、KKCの入っていたビルの社長が「このビルは誰の物か知っているのか」などと追い返していた。

そのうち、街宣行動もあまりにも頻繁に来るようになったので、牽制のため一一〇番した。それで、赤坂署の警察のパトカーがその街宣車を追い返すようになった。ところが追い返された者たちは、赤坂警察等へ「KCCの方をよく調べろ」と言うようになっていく。当然乍ら、赤坂警察から二人の取調官がKKCの方へ来た』

長ったらしい文句だが、要は街宣の内容が正しいと警察が判断し、裁判所も犯罪であると認めたから街宣した者ではなく、一一〇番した山本自身が逮捕され、実刑判決を受けたのではないか。「詐欺師は先ず己を騙すことから始める」とはよく言ったものだ。未だ己にかけた催眠術から覚めていないようだ。というか山本会長は本気だな。やっぱり山本意致朗は山本一郎だ。変わってないな。

ところで新聞社と街宣車って、どこの誰のことを言っているのか?。当紙は取材もしたし街宣もした。だから当紙のことを言っているのだろう。しかし、この文章では当紙が金を要求したようなイメージだが、ちょっと違うだろう。ただ本人の言葉じゃなく広報から聞いた「・・らしい」話だから、いいけどね。


被害者意識を覚醒する話術

それにしても競球の構想は、球を転がし順位を競うギャンブル事業であるというが、KKC事件の首謀者であった山本一郎の話を信じ、その構想に金を投じること自体が既にギャンブルをしているようなものである。「未常識の経済」というセリフもKKCの時と全く同じである。果たして、後日組織が破産になった時、信じた者が「被害者」と言えるかどうかは微妙である。少なくとも世間は同情しないのではないか。 それに、山本に会った人は皆、いい人だという。騙されたという感覚がないのだそうだ。その場で語る話に夢があるのだろう。語る話だけで、無から有を作るのだ。人の煩悩にある欲の習性を知り尽くした結果であろう。これも一種の才能である。「未常識の経済」を騙り、非常識に銭を集める山本一郎は敵ながらアッパレである。糾弾対象として申し分ない男である。


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