敬天新聞6月号 社主の独り言(中辛)

(敬天新聞6月号)


▼世の中には信念で物を語る人、ビジネスで物を語る人、様々である。森喜郎元総理が最近出した自書「遺書」という本の中で、JOCの竹田恒和会長を無能呼ばわりしていることが話題になっている。

話題になることを知恵付けた人が居て意識して記述したのか、思い余って本音で書いたのかはわからない。元々舌禍で有名な人だから、おそらく本音で書いたのであろう。

舌禍の人は基本的には、サービス精神が強いだけで、そんなに悪気があって、喋ってるつもりは本人にはないのだが、ついついそこだけを取り上げられた時、立場によって注目されたりするのである。そこら辺の人が舌禍であっても誰も気にも止めないが、有名人は舌禍は慎むべきだろう。

JOCの竹田会長が能力があるかないかは知らないが、竹田氏は元皇族である。言うならば、名前は会長であっても、実質名誉会長みたいな存在であって、その方に実務を求める方が所詮無理である。

確かに、今回の東京オリンピックを迎えるにあたって、JOCの影が薄いのは国民の誰もが感じていることである。オリンピックの主催が国際オリンピック委員会であるわけだから、日本の東京主催となれば、もう少しJOCが主導権を持って、活躍場面があっても良さそうであるが、それが見えないのである。

JOCのトップが無能であるなら、ナンバー2がしっかりすればいいだけの話である。そのナンバー2が、何故だか知らないがオリンピック競技にも入ってない相撲界の実力者である田中英壽氏である。

田中氏は日本大学の理事長でもある。名だたる親分とのツーショット写真に、アメリカの雑誌で「ヤクザオリンピック」と揶揄された張本人である。

しかし、今のところそのことを追及するマスコミはいない。ただ、去年からスクープを連発している文春が、二度側近の不祥事を取り上げている。

一つは、陸上部コーチが学生と不倫したことを週刊誌に記事にされたことを怒った理事長側近が、上司の責任として助監督に暴力を振るったこと。

もう一つは、理事長夫人の側近である外部広報担当者が立場を利用して読売巨人軍に無理難題を吹っかけ、現場を混乱させていること、であった。

また直属高校の相撲部監督が、相撲部生徒の肛門にデッキブラシの柄を突っ込む暴力を振るったとして両親と本人から告訴され、書類送検もされている。また大学の研究室の大学院生が教授のパワハラで、二名自殺している。

しかも最初に自殺した学生の親が「こんな悲しい想いは二度とさせたくないので、真実の解明をして欲しい」という要求を大学側に頼んでいたにも拘わらず、何も行われず、同じ研究室から二人目の自殺者が出たのである。今のところファクタ誌以外、何処も取り上げていない。

朝のワイドショーには打ってつけの内容であるのだが、スポンサーとか、広告とかの関係で、世の中には取り上げられるもの、故意に取り上げないもの、とか存在するのである。

毎日新聞が先日、東洋大学の田淵常務の不正を記事にしたが、当紙が十年以上前に百回近くも記事にした内容であった。田淵常務は一年前に亡くなったそうであるから、生きてるうちは、「名誉を守り切った」ということである。

亡くなったことで、利権の位置が変わったのだろう。大人の世界には、かようにビジネストーク、ポジショントークというのが、存在するのである。

せめて真実を語ることを求められてるメディアの世界でだけは、信念のトークが優先されて欲しいものである。



▼アメリカのトランプ大統領の雲行きが急に怪しくなった。流石に民主主義の基本である三権分立が、しっかりしている。幾ら権力者と言っても、全てが自由にならない。司法・行政・立法がの立場が犯されないように、独立しているのである。

マスコミも日本のように権力に阿ることなく、堂々と発言する。こうなれば、あっさりと逃げ出してしまう可能性もある。マスコミに総攻撃を受けて耐えられるトップはいない。

国民と言うのも、風に乗せられやすく、雰囲気が作られたら、もう嘘か真実かの検証よりも、流れは一気に加速するのである。そういうのを作る、作れるという人達が居て、つねに世論を操作しているのである。例えば、大阪の橋下徹元府知事をスターにしたブレーンが、そっくり小池百合子東京都知事を支えているブレーンだそうである。

橋下氏も最初は、政治手腕は未知数だった。それが、政治家として押しも押されもせぬ知名度と実力者になり、辞めた今でも、発言力に一定の影響を持っている。勿論本人の才能もあろうが、開花しなければ埋もれてしまうのである。

世の中にも、才能はあったが、開花しないまま終わった人は幾らでもいる。小池都知事も、国会議員時代よりも今の方が俄然輝いている。見た目は元から華やかな人ではあったが、今のような能力があったとは知らなかった。

トランプ氏にも支えたブレーンは当然居たろう。ブレーンが優秀だったからこそ、政治に素人でありながら、大統領までなれたのである。今その、素人ならではのボロが出始めたようなのである。

アメリカの政治は、そのまま日本の政治と言っていいぐらい、日本に取って影響が大きい。韓国の大統領が反日感情の強い大統領になった、北朝鮮がミサイルを発射した、中国の軍艦が尖閣諸島の領域を航行した、という問題より、今の日本にはアメリカとの外交の方が百倍重要なのである。

今の日本の経済の強さ、基盤はすべてアメリカとの核の傘下で守られ、成り立っているのである。だから、アメリカが風邪をひいたら、日本は肺炎になってしまうのである。安倍総理はトランプ大統領が安泰のうちは、日本が如何にも優位にあるように、世界で誰よりも早くお祝いに駆け付けた。

そしてそれはトランプ大統領の心を捉えた感もあった。それに安心しすぎた感もある驕り発言も国会で目立った。野党が弱くて、政権は成り立っているが、支えているのは世論である。

暴対法もテロ等準備罪も憲法改正も、すべて世論の賛成意見があって決まるのである。トランプ大統領がアメリカでコケれば、その一因は安倍氏にもあったと言わんばかりに、一気に安倍総理に影響が出よう。

そういう意味では、アメリカ頼りの言動に終始しないで、日本独自の意見も言うべきで、気を引き締めて行かなければならない。

最近北朝鮮が、全く中国の話を聞かなくなった。独立してやっていく自信がついたのだろう。アメリカの恫喝さえ気にも留めなくなった。戦いに自信がでてきたのだろう。いずれ反目に出て来るとわかってる所は、芽が小さいうちに摘んでおくべきだったのである。

今後いくら経済制裁しても、近隣諸国に力で交渉し、財力を奪って行くだろう。日本に牙を剥く日は必ず来る。その時に備えるべきは、先ずは国民の迎え撃つ意識と戦う覚悟である。



▼サッカーは世界的に人気のようである。ルールをあまり知らないので、特に見るわけではないが、野球の四番や投手が目立つように、点を入れた者だけが特に目立つようである。バスケットもそういうところがある。

団体競技だから、みんなが主役のように見えるが、ポジションでその差があるのは不公平に映るが、私だけの感覚なのだろうか?と思っていた。

ところが、やはり今まで馴染みのなかったラグビーを見ていて感じたのだが、ラグビーの選手は、点を取った選手が、サッカーに比べて派手に喜びの表情を表さない。

そのことを、選手の一人が、「ラグビーは十五人でやるもの。みんなの協力があって、もぎ取った点だから、一人だけが派手にパフォーマンスはしない。縁の下の有り難さを知っているから。」と言うようなことを言っていた。日本人的感覚の団体競技である。

しかしこれも、プロスポーツじゃないからかもしれない。金が絡んでないから、チームワークを保てるが、金が絡めば一人一人の才能の違いも目立つだろうし、周囲が花形選手を作ることもある。バレーなんか、パスやトスをする人よりも、点を取る人が今でも花形だから、プロ化したら、益々その差が歴然となるのは間違いないだろう。

ということは、ラグビーもプロ化すれば、個々の力が評価されるようになって、自然と個人的スターが生まれていくのかもね。またスターを創らなければ、業界として支持されないというビジネス的な側面もあるから、痛しかゆしなんだろう。

自分が経験したことがないから、その凄さというのがわからない、というのもある。私の場合、柔道をやったのだが、田舎ではそこそこではあったが、猛者が集まる中央では全く歯が立たず、途中リタイア組のそこら辺のレベルまでしか習得できなかった。

だから四月二十九日に行われる全日本選手権(無差別)に集う選手には、やはり敬意を表する。おそらく会場に来てる観客の殆ども、柔道に精通した関係者であろう。自分が経験すればその偉大さ、奥深さというものが、僅かではあるが見えてくるのである。

サッカーであるとか、野球であるとか、プロが演じているわけだから、相当にすごいことであろうが、何も知らない我々は、無責任にたやすく難癖にも似た愚痴を言ったりするが、本当はトンでもないことである。

まー、そういう人も含めて見る人達がいるから、その経営も成り立つのであるし、その分、大金を貰っているから、仕方がない面もあるけどね。スポーツで食っていくことの難しさと関係あるのか、最近、芸能界の層がものすごく厚くなってきている。

芸能界で稼ぐ仕組みがどうなってるのかは良く知ら無いが、スポーツと違って、間口が広いし、売れたもん勝ちの一発当たれば蔵が立つ世界みたいだから、みんなが躊躇せず参加するのだろう。

昔の芸能人に比べたら、今の芸能人の方が芸がないのは一目瞭然である。今の芸とは、軽薄で舌禍で相手を小馬鹿にするようなものが受けており、軽妙洒脱とはほど遠いものである。今の日本人の民度が芸能界に反映しているのかもしれない。

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