SGホ-ルディングス上場に隠された佐川急便の過去

(敬天新聞9月号)

佐川急便の闇

佐川急便が上場するらしい。詳しく言えば佐川急便ではなく、佐川急便を主体にしたグループの集合体のSGホールディングスの上場である。

このSGホールディングスの売り上げの内訳は、大半が佐川急便で、残りがSGムービング、佐川グローバルロジスティクス、佐川フィナンシャルなどのグループ会社で構成されている。ということは、佐川急便の上場と同じなのである。

ところが、ご存知のように、佐川急便一社では、あまりに波乱万丈な事件に関わってきた過去があり、上場させるには世間を納得させることができない。

そこで、目くらましのためであろうか、流行のホールディングスにして、傘下に佐川急便を置くというスタイルにした。ところが、そこへ突如として降って湧いたのが、資本関係はないものの、事実上の『兄弟会社』である佐川印刷の湯浅敬二・経理担当常務による「六〇億円業務上横領事件」で、同常務ら三人が京都地検に逮捕されたのである。

新聞報道によれば、事件発覚当初の横領額は九〇億円とされていたが、いつの間にか被害金額が六〇億円に激減した。

この件については、次回詳しく裁判傍聴記を書くが、国内屈指の優良印刷会社である佐川印刷に斯くも巨額の横領事件が起こった原因は、「佐川急便最高幹部に献上する裏金を関連子会社で捻出するためのスキームが失敗した」(地元紙記者)ことによるものといわれている。

佐川印刷が伸びたのは、創業当初に佐川急便の資金援助を受け、業務的にも佐川急便の伝票など印刷物のすべての『下請け』を始めたから、というのが世間周知の話である。

勿論その話は、その通りであるが、佐川印刷が裏金を支払い続けたのは、佐川急便創業者である故佐川清氏に対する恩返しもあるが、印刷会社としての入札に影響しているのだそうだ。

日本で一番大きな印刷会社は凸版印刷。二番目が佐川印刷。次は大日本印刷かな?いろんな業者と入札では競い合うのであるが、入札の条件の中には、印刷物を刷るだけでなく、その出来上がったものを配達する、届ける、という行為も入札の中に入る為、その分を計算に入れなければならない。

その分、佐川印刷は、配送は佐川急便がやってくれるために、他社より有利になって、他社からは「佐川印刷には勝てない」と羨ましがられているそうだ。それで、故佐川会長に謝礼として、毎月二千万円の裏金を届けることが習慣になったといわれている。

その『悪しき慣例』がクーデターによって二代目を継承した今の栗和田榮一社長(現会長)にも連綿と続いてきたというわけである。現在は、二百万円と言ったかな? 湯浅容疑者が起訴された金額は約六〇億円で、これは村橋郁徳容疑者によるシンガポールのサーキット場建設費と湯浅容疑者の私的流用額の合計額という。

検察の見立ては、佐川印刷の木下宗昭会長も佐川急便の栗和田榮一会長も一切関係なく、湯浅容疑者が勝手に金を持ち出して、使い込んだというストーリーらしく、共犯として同容疑者と一緒に逮捕された宮口孝(湯浅常務の部下)、村橋容疑者は、検察の見立てに沿った供述をしている模様である。

また、九〇億が六〇億に減額された理由は、ゴルフ場に関わった関係者の妻が、皇室と縁戚関係にある有名寺院の次期座主候補らしく、そこら辺を忖度した結果ではないか、と囁かれている。

逮捕当初は「三億円の横領で手打ち」の『取引』であったため、湯浅容疑者は自宅マンションまで売って弁済(これとて必要のない弁済である)したにもかかわらず、木下会長と栗和田会長に手のひらを返され、「あっと驚く為五郎」になったというわけである。

今は徹底して否認で、何年拘束されようが、佐川急便、佐川印刷の真実を公表すると「相討ち」に闘志を燃やしているのだそうである。そんな佐川急便グループが上場するのである。

昔ならコンプライアンスに問題はないか?株主に反社はいないか?過去に不正はないか?と大騒ぎになったものだが、汚い過去を覆い隠すようにホールディングスで包み込んで、「過去は問わない」というのが、強い者に味方、金持ちに味方の「安倍一強政策」のようである。


覚せい剤運送

佐川急便に至っては、もう一つこんな話もある。地元ではともかく、旧聞に属するので、世間では忘れられた話となっているようであるが、過去に佐川急便に天下った警察OBが中心になって、交通違反のもみ消しを継続的に行い、賄賂を贈り続け、摘発され警察OBの自殺者まで出した奈良県内で、佐川急便系列の運送屋が「覚せい剤の取り扱い運送」を専門にやっていた時期があったらしい。

一般に言う、「覚せい剤の運び屋」ではなく、覚せい剤の注文・販売の運送である。それも一つの組の誰かの注文を受けていた、と言うのではなく、不特定多数の暴力団の注文を受け付け、にっちもさっちも行かなくなり、さる親分に交通整理をお願いしたそうである。

当然莫大な整理料が約束されたという。覚せい剤の配達をビジネスにしていながら、暴対法や暴排条例が施行されたら、何事もなかったように、過去から逃げ出す汚い者が多いが、佐川急便にもそういった過去があったのである。その事案でも二人の関係者が死亡しているそうである。

こういうことも隠したまま、SGホールディングスとして上場するらしいのだが、後で問題にならないのだろうか?今は金を持てば何でも許される。社会的に発言力のある者や、政治的に力のある者、高級警察OB、検察OB弁護士、等を顧問に迎え、潤沢に金をばら撒けば、その金が汚れていようが、違反的な金であろうが、国の助成金であろうが、誰も異議を唱えられないようである。

また、歌を忘れたカナリアのように、主要マスコミも寝たふりするのである。経済的には文句なしに上場する資格がありながら、永久に上場出来ない会社(資格のない会社)と自他ともに認識されていた佐川急便であったのだが、その時はハラハラドキドキでも、月日が経てば、何事もなかったように繕うのが、人間の至らないところであろう。

因みに、奈良佐川急便の副社長原田義男(県警OB)は詐欺容疑で逮捕されたのであるが、一年半で五千万円の裏金を作り、その中から一千二百万円を受け取っていたと言われ、書類送検された中野英平元警視は、焼身自殺をしているのである。つづく。


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