（敬天新聞 令和元年8月号 一面）
光と陰 |
主に化粧品や健康食品を会員に安く売るという手法で躍進している（株）ベガ＝ＶＥＧＡ（福岡県福岡市早良区）という会社がある。近年は不動産事業やメガソーラー事業なども手掛けているようだ。女性をモチーフにデザインしたというベガ本社の外観は、その業績に違わず大手ブランド会社を彷彿させる華やかで斬新な佇まいである。
だが、見かたによっては人食い鮫が大きな口を開けているようにも見えなくもない。
そんな風に見えてしまうのも、きっと関連会社で取締役を務めていたというＡさんから、ベガの創業者である濱野隆一郎氏から受けた人道に反する苦悩を、弊紙が打ち明けられたからだ。
（株）ベガの主だった業務形態は、今流行りのマルチ商法だとかネットワークビジネスとか言われる手法である。それについては今のところ、商品でクレームがついたり、末端の会員とトラブルが生じているわけではない。
一方、ベガの会員は知らないと思うが、濱野氏は別会社を作って産業廃棄物処理業もやっている。その産廃会社で、表向き華やかでホワイトなイメージのベガとは真逆に、極めてブラックな行為をやっていたことがわかった。
Ａさんの証言 |
ベガの関連会社はいくつかあるが、そのベガグループを築き上げたのが濱野隆一郎氏だ。その濱野氏は成功を収めた今日、娘の富塚加奈子氏に会長兼社長の座を譲っている。業務が安定してきたことから一線を退き、顧問か相談役みたいな立場で加奈子社長体制を支えて、成功するまでの汚れ時代を知っている関係者を引き連れ、いずれ隠居するのだろう。
だが、汚れ役を被ってゴミのように切り捨てられた者は、その痛みを一生忘れることは無い。このまま成功者として、何もなかったように隠居させるわけにはいかないと、告発者のＡさんは憤る。
「産廃で出たゴミを適切に処理せず、下請け業者を通じて、山に不法投棄していたんです。今の富塚加奈子社長が、この事実を知っていたかどうかは分かりません。ただ濱野隆一郎氏が会長だった当時、この不法投棄に絡んでいたのは間違いありません」（Ａさん）
Ａさんの言葉を裏付けるように、実際に濱野氏本人も行政が下した不法投棄に対する『措置命令』に名を連ねている。 この件で、ゴミ搬出の担当者で逮捕されてしまったのがＡさんである。Ａさんはベガの関連会社である産廃業者（株）北斗（佐賀県鳥栖市）の取締役として現場責任を担っていた。北斗の社長は濱野氏の右腕でベガの総務部長をしていた薙野宇（なぎのたかし）氏である。
北斗が受入れていた産廃には石膏ボードがあった。建設現場などから排出された廃石膏ボードを業者などから受け入れ、粉上になるまで砕き、再利用（肥料やセメント等）する業者や中間処理・最終処理業者などへ引き取ってもらう等、適切に処理をしなければ成らなかった。だが実際は全てではないが、わざわざ県を跨いで鹿児島県志布志市まで行き、山中に埋めていたのである。
非道な掌反し |
Ａさんによると、廃石膏ボードにもランクがあって、混じり気が無く上質なものから、粗削りで色んな不純物が入っているものまでを、Ａ〜Ｄまで区分けし、表向きは業者に一袋１００円とか２００円で買ってもらうそうだ。だが実際には裏で「引き取り料」として、ランクに乗じて１０００円〜４０００円を払っていたという。その産廃を下請け業者が、山に運んで捨てていたのである。つまり最初から適切な処理をせずに山中に埋めることを知っていながら裏金として渡していたということだ。そのほうが正規に処分するより安く済むからだ。
結局、不法投棄が発覚しＡさんは逮捕されてしまった。しかし濱野氏から「一人で背負ってくれ。あとのことは心配するな。一生面倒見るから」などと説得され、その言葉を信じて全ての責任を背負い、濱野氏に責任が及ぶことを阻んだのである。
ところが、保釈中の期間までは優しかった濱野氏だったが、判決が決定した途端、掌を返して連絡を絶ったそうである。それどころか、警察で自供した調書を逆手に取って、Ａさん一人に責任を被せ、民事訴訟まで仕掛けてきているのだという。汚いね〜、今時こんな韓流時代劇によくある悪役の重臣みたいなことをする奴が、日本企業の経営陣にいるとは情けない限りである。
現在は北斗を休眠会社にしているようだが、警察の捜査に影響を受けることなく、鹿児島県が下した『措置命令』には「（株）北斗」と社長であった「薙野宇」と共に、「濱野隆一郎」の名前も被処分者として刻まれているのである。
濱野氏は、成長の裏で人を食いものにしてきた汚い過去を、この際すっきりと綺麗にしてから隠居しないと、代表となった愛娘の名声と前途に傷をつけることになるのではないか？
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