タダより高いものは無い?当選商法日帰りバスツアー

(敬天新聞 令和元年12月号 2面)


当る方法

実りの秋、食欲の秋、紅葉の秋、とくれば行楽の秋である。晩秋であってもまだまだ行楽は楽しめる。

とは言え、貧乏ヒマ無しカネも無し。紅葉を仰ぎ見て露天風呂に浸かり、湯上りに地酒と旬の料理を堪能する。そんな温泉旅行一泊など、夢のまた夢。テレビで行楽地の特集やニュースが流れる度に、ため息の出る毎日。

そんな人の心に、一縷の望みを与えてくれるのが、主婦がよく行くスーパーやお父さんの憩いの場「スーパー銭湯」などで、ときどき見かける「旬の日帰りバス旅行・プレゼントキャンペーン」といった懸賞の応募チラシである。

この一枚の応募チラシをめぐって、胡散臭い旅物語の体験談が弊紙に寄せられているので紹介しよう。胡散臭いと言っても、受け止め方は人それぞれで、悪徳商法だという人もいれば、それを理解したうえで注意して楽しめば、寧ろお徳であると言って評価する人もいるので、今回は業者の名は伏せて、注意喚起の意味で記事を書くことにする。

この話は、読者の方も一度は目にしたことや、応募したことがあると思うが、日帰りバス旅行が当たるという懸賞チラシの話である。懸賞チラシというのは、魅力たっぷりのバス旅行の広告が掲載された小さな応募用紙の事である。

旅の行先はその都度、応募者の気を引くために魅力的な場所に変更されている。記入欄に自分の名前と住所と年齢性別を記入して、店に備え付けてある箱に投函する。筆者もスーパー銭湯などで貰って何度か応募したことがある。

だが一度たりとも当たったことが無い。そもそも当りなどは無く、個人情報の収集が目的ではないかと僻んで疑ったりもしていた。

ところが、今回寄せられた情報提供者の言う方法で記入したら、見事に当選したのである。(画像参照)

バスに乗れる人数は限られているから、これをしたら必ず当たるという訳ではないだろうが、当選確率が高くなるのは間違いないようだ。

その方法というのは、応募用紙に男性ではなく中高年の女性の名前を書くだけである。つまり、無料旅行の主催者は中高年の女性を選んで、優先して当選させているということだ。

応募用紙の記入欄には、応募者一名の名前を書くタイプと、二名(二口)まで書けるタイプのものがある。一名しか書けないタイプは、主に女性の利用者が多いスーパーなどで配られ、二名まで書けるタイプは男性の利用者が多い銭湯などで配られるようだ。

二名まで書けるタイプを貰ったお父さんは(男性は)、大抵が二人目の名前に奥さん(女性)の名前を記入する。

だが、お父さんは当選することは無い。当選するのはついでに記入した奥さんの方である。男性が当たるとしたら、応募者の人数が満たなかった時だろう。それだけ女性を優先し当選させているということだ。

なぜなら、このバス旅行には、応募チラシでは決して明かされていない秘密のコース日程が確実にセットされているからだ。

一般の人は、応募用紙を配ったお店がお客様への日頃の感謝を込めて特別に企画したバス旅行プレゼントかと思うかもしれない。ところが、主催している業者はコレを生業にしている業者である。

考えても見れば、日帰りバス旅行をその都度無料で何人も招待し、ご当地グルメを御馳走するのだから、カラクリがあるのは当然である。さもなくば業者は潰れてしまうだろう。潰れるどころか儲かっているから続けているのである。

また、当選を知らせる案内状を見ると同伴者の参加を認めているが、同伴者については、相応の旅費が発生する。家族がいることが想定される人選をしているのだから、一人で参加することは無いと見越しての事だろう。

当選者は無料で日帰りバス旅行に行けるのだから、そんな細かい余計なことは、全く考えずに参加するのが常である。



本当の目的

ところが、チラシで宣伝していた観光スポットへ、行くには行くのだが、その前に、或いは楽しんだその後に、バスはジュエリー業者の待つ展示場へと向かい、そこで高額な宝石や磁気ネックレスといった健康グッズのセミナー的な講習を受け、素晴らしい品だと言って購入を勧められる。 宝石だったら特別な賞を受賞しているとか、健康グッズであれば特別な効能・効果を謳い購買意欲を煽るが、一般的には見たことも聞いたことも無い品であるという。

これが無料で行けるバス旅行の最大の目的であり、カラクリである。旅先で財布の紐が緩んだおばちゃん達が、自分へのご褒美として買ってしまうようである。数々の受賞や実績があるという品だという割に、一般的には聞いたことも無い業者の宝石を、何十万円もするのに購入してしまうのだ。古典的な催眠商法のようにも思えるが、本人が満足しているなら仕方ない。

このカラクリを知っている強者のおばちゃんになると、この商品勧誘タイムを凌げば、あとは無料で観光と食事が出来るのだからと言って、割り切って評価しているのである。

筆者が当選した業者の案内には、日本最大のジュエリーメーカーのアウトレットショッピングが楽しめると、小さくとも告知はされており、宝石業者の広告も入っている。幾度となく危ない橋を渡り、批判反感を受けながら、改善してきたことの表れだろうか。一応、目的を明かしているので不備は問えないだろう。

こういう高額商品の販売を目的に、無料バス旅行の当選を謳う懸賞を企画している業者は、数多存在しているようだ。

悪徳商法かどうかは、当選して旅行に参加した各々の心構えで変わる極めてグレーな商売である。

東京都では行政処分を受けた、これらに値する旅行業者の名前をいくつか公表している。名前を代えながら続ける業者もある。

消費者が忘れてならないのは、「無料」には気を付けろ、「タダ」より高いものは無いということだ。

それにしてもいろんな商売の仕方があるもんだ。まだまだ弊紙の知らない悪徳商法が沢山あるのです。

師走は、サギ、窃盗、犯罪者もオシゴトに疾走する時期ですので、読者の皆さんは被害に遭わないように気を付けて、よい年を迎えてください。



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