トランプ大統領で分かった米国人の民意と日本の覚悟

(敬天新聞 令和2年12月号 1面)


米大統領選

世界を巻き込んだトランプ大統領による米国政治が、ようやく終幕を迎える。先月行われた米大統領選は、当選を確実にした民主党のジョー・バイデン前副大統領が、来年1月20日に第46代大統領に就任する。

バイデン氏は11月7日に行った勝利宣言で「分断でなく結束を目指す」とか「辛辣な言葉を脇に置き、互いに目を見て耳を傾け合おう」と全国民に呼び掛けた。また「このウイルスを制御しない限り、経済も生活も取り戻すことは出来ない」と述べ、コロナウイルスへの対応を最優先課題に挙げ、これまでトランプ大統領が招いてきた騒乱と分断から脱すべく、米国の結束を誓った。米国第一主義から同盟関係や各国の連携を重視する国際協調路線への転換を図る意向も示した。

副大統領にはカマラ・ハリス上院議員が女性、黒人、アジア系で初の副大統領に就くことが決った。ハリス氏は、演説で「私は女性として最初の副大統領になるだろうが、最後にはならない。なぜなら今夜、ここは可能性の国であるということを全ての少女が目のあたりにしたからだ」と発言し、称賛されている。 この二人の演説は内容も演出もハリウッド映画のワンシーンを見ているかのように見事だった。 日本の政治家のように原稿を読むことがなく、自分の思いを自分の言葉で伝えようとしている強い姿勢が、日本で見ているテレビからでも伝わってくるのである。

対するトランプ大統領は、未だに側近や支持する共和党議員、そして身内までが説得をしても、負けを認めようとはしない。無下に抵抗が長引けば、それだけ見苦しさが増してくる。共和党の考え方も理解できるが、トランプ大統領は極端過ぎて、世界のリーダーには相応しくない人物に見えた。あまりに不動産屋のオヤジに見えるのである。不動産屋といっても転売転売を繰り返し、土地の値段を釣り上げていく悪質な地上げ屋的な不動産屋のことである。

本業の不動産屋をやってる時はそれでいい。しかし世界最大の大国である米大統領である。もう少し、品格と常識と博識を持つべきである。

それでも悪いところばかりではない。新型コロナウイルスに感染しても、重症化のリスクが伴なう高齢者なのに3日で戦線復帰を成し遂げた。他人の迷惑を顧みない無茶苦茶な姿勢は我がままの極みだが、「俺は大統領だ! 休んでる暇はない」という気概だけは凄いと感じた。

日本の政治家の中には「政治家の矜持」だとか「断腸の思い」という言葉をよく使うくせに、マスコミ等に叩かれたくらいで睡眠障害だといって三ヶ月も国会を休んだりする大臣がいたり、お腹が痛いといって辞職するリーダーもいる。本当に命懸けで目的を果たそうとする強い姿勢は比べ物にならないだろう。落選したら逮捕されるかも知れないという韓国のような事情が背景にあったとしてもである。



トランプの功績

独裁者が多い中国といった共産主義国に対しても、トランプ大統領は歯に衣着せぬ物言いで圧倒したのは事実である。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長にしても、初の米朝首脳会談の時は、強がっては居たが明らかに戸惑っていた。トランプ大統領の容姿は大国に見合った体格と言動に見えたのも事実である。

また、米国の現状の明暗を分かりやすく世界に伝えたという意味では、時代の寵児として、適任の4年間であったような気がする。それまで全く見えなかった米国の本質が、この4年間で長所と短所が良く見えた。

只、ツイッターの使い過ぎが墓穴を掘った感がある。おそらく多くの人が感じた感想だと思うが全てにおいて「やり過ぎた」のである。特に大統領選挙においては、米国の民主主義さえ否定する行為に見えたし、「これが世界をリードしてきた米国の真の姿なの?」というイメージを世界に晒してしまった。

日本は戦後75年間、ただ闇雲に言われるがままに安保予算の要求を呑んできた関係であったが、これからは是々非々で自国の意見を言ってもいいのではないか。日本も独立国家なのだから、ただ盲従するだけでなく、日本の立場としての意見を言うべきである。その代わり、国家防衛を全て米国にお願いするのではなく、世界の常識的な考えを鑑みて「自国の防衛は自国民の手で」というのが基本であることを国民は忘れてはならない。

米国に支えられて戦後を生き抜いて来たのは事実だし、今も尖閣諸島の沖合いに船で押し寄せる中国といった近隣諸国とのトラブルに米国との安保条約締結が役立っているのは言うまでもない。

しかし何時までも、おんぶに抱っこに肩車までして貰っている状態では宜しくないだろう。勿論間違った戦いに扇動するような為政者には注意が必要だし、断じて許してならない。

平和な時代には色んな主張があった方がいい。我が国では「三権分立の三竦み」が国民にとって節度ある自由の尊重に繋がるだろう。

国民の利益と国家の利益を最優先に、尚且つ先進諸国の一員としてプライドと常識を忘れずに行動することを我が国のリーダー菅義偉総理大臣にはお願いしたい。

今年も残り一ヵ月をきった。新型コロナウイルスの感染が再び世界で拡大し、日本にも第三波がやってきた。本来であれば、人の動きが盛んになり街中が活気づく年末なのに、社会経済活動が抑制されるのは残念だ。

右往左往しながら、コロナで始まりコロナで終る一年だった。しかし米国でウイルスに有効なワクチンが開発され、来年には日本でも出回りそうだ。世界一に選ばれた日本のスーパーコンピューター「富岳」もウイルス対策の強い味方だ。

来年は、日本も米国も新たなリーダーで始動する。「禍を転じて福と為す」という言葉の通り、来る年が皆さんにとってよい年に成るよう願って止みません。読者の皆さん本年もご愛読有り難う御座いました。来年も宜しくお願い致します。


日本の尖閣諸島と乱暴狼藉をはたらく中国船


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