（敬天新聞 令和2年12月号 2面）
| 消えたHP |
近頃、福岡市内に本部を置く一般社団法人セントマザー（西村泰一代表理事）という団体が、教祖と思われる野中邦子氏が唱える「手をかざしただけで病気が治せる」という教義の下、病に苦しむ人達の弱みにつけ込み会員を募るなどの悪質商法を展開しているとして、俄かに巷を騒がせている。集まった会員たちには、空の雲を消せるとか、ジュースの味を変えることも出来る等、超常現象にまで言及し洗脳しているという。
その不思議なパワーは、高額な講習会に参加すれば習得することが出来るといって勧誘しているそうである。現在、そのパワーを習得したとされる幹部会員達が「つくしの会」を構成し、中心的役割りを担っているそうだ。
この団体の活動に於いてカリスマ的な存在となっている野中邦子氏は、過去に「アースハート」という団体名で活動し幹部３名と共に逮捕されている。その野中邦子氏が刑期を終え、セントマザーという団体で活動を始め、再び求心力を増しているという事を弊紙はこれまで連載してきた。
現在は東京都心に関連施設（千代田区紀尾井町３‐30山本ビル５Ｆ）を進出させている。全国各地の消費者団体に相談が相次いでおり、今年２月20日には消費者支援機構福岡（適格消費者団体）がホームページの運用を巡り是正を求める事態となっている。記載されている内容が、あまりにも非科学的で根拠が無いからである。
その後、ホームページは跡形も無く消えているのは、消費者団体の指摘に対してセントマザーが何も反論できなかったことの証左である。
そのセントマザーの活動に絡み、野中邦子氏を信じて集まる会員たちをターゲットに、ジャパン・オアシス㈱の末廣修一代表が何やら出資を募っているとの情報が寄せられている。集めた金は、末廣氏から還流して野中氏に渡り、それを税務署に申告せずに隠しているというのである。
野中氏が集会に参加すれば、会員のモチベーションが高まり、被害者が新たな被害者を生む（勧誘する）というマルチ商法的に広がっていく状況にあるという。集めた金は何に使っているのか？
申込書の条文で謳っている毎月の配当と二年経ったら元金は全額返すと言う約束は履行されるのだろうか？（前号参照）
| 治療と覚醒 |
セントマザーはこれまで幾つも問題を起こしている。セントマザーが設立されたのは平成26年7月である。登記上の所在地としている福岡市東区蒲田５‐７‐30の建物は、市街化調整区域にあるため、都市計画法の適用を受ける。福岡市が認めているこの建物の使用目的は「老人ホーム」と「医療施設」であった。
ところがセントマザーは認められていない商行為につながる集会を繰り返し、市がその度に行政指導を行ってきた。何度も繰り返される事から、遂に役所が厳重な処分を検討していたところ、セントマザーは東区蒲田から東区多の津２‐７‐34に移転したとして、平成28年12月に法人登記の住所変更を行っている。
指導にあたっていた福岡市建築指導部監察指導課は、これをもって解決済みとの認識を示したようだ。
ところが、セントマザーの内情に詳しい元会員などからの情報によれば、住所変更は行政指導を免れるための表向きの手続きに過ぎず、現在も市街化調整区域である東区蒲田の建物で活動しているのだという。現に弊紙がこの旧住所でセントマザー西村代表理事宛に書状を送ったところ、受け取っているのである。
だが、これまでクリニックや介護施設などの看板を掲げて体を成してきたけど、行政の監視が厳しくなってきたので、目立たないように大規模な集会は、大分県久住の山奥に用意した「レモングラス」という施設で行ったり、「蛍をみる会」などの名称で地域コミニティー集会を装って新たな会員集めをしているそうである。似非宗教団体などがよくやる手口だ。
改めて福岡市の建築指導部監察指導課は実態把握と注意が必要である。建築指導部の手が及ばない活動に止まっているというのであれば、他の部署と情報を共有し注意を促して欲しい。
この問題の本質は、会員に成ると、更に別の者を勧誘させる行為を「覚醒」と称して、会員に「覚醒」をしなければ病気が治らないなどと不安を煽り、「覚醒」と病気の治療を結び付けることによって、病気を治したいという会員の切実な思いにつけ込んで、その勧誘行為をマルチ商法的に繰り広げている事である。そして何よりも病気で苦しむ人達の適切な治療と回復の機会を奪いかねない事である。
弊社では被害が広がることを阻止すべく疑惑を徹底追及し、監督官庁や関係各所に対する情報提供に努めているところである。過去の巨額脱税事件や被害弁護団の告訴、今般の適格消費者団体の是正などを踏まえれば、国税や警察当局には一刻も速い適切な対処を講じるよう願うばかりだ。
ところで新型コロナウイルスにも野中邦子教祖様の手かざし、ハンドヒーリング、ハンドパワー、マインドパワーは効くのかね？
