日米首脳会談で同盟強化 沖縄県尖閣諸島も明文化

(敬天新聞 令和3年5月号 1面)


米の対日防衛義務

4月16日、菅首相が米ワシントンを訪問し、バイデン大統領と初の首脳会談を行った。バイデン大統領は最初に直接面談する外国首脳に、日本の菅首相を選んだ。それはインド太平洋地域を重視し日本を重要なパートナーと考えている証だ。

近年、覇権主義的な動きを強める中国を念頭にバイデン大統領は同盟国である日本と更なる関係強化を求めている。

中国は東シナ海や南シナ海で一方的な現状変更の試みを活発化させ、近隣諸国と軋轢を生じさせている。

我国にとっても中国は海警局に外国船への武器の仕様を認める海警法を施行させ、沖縄県尖閣諸島周辺で中国船による領海侵入を繰返している。領有権を主張し、武器の仕様をチラつかせ、日本の漁船を威嚇するようになった。

そんな折に行われた日米首脳会談において、「日米安全保証条約5条が尖閣諸島に適用されることを再確認した。日米両国は共に、尖閣諸島に対する日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対する」と、米国の対日防衛義務について、共同声明として明文化したことは評価したい。

また「東シナ海に於けるあらゆる一方的な現状変更の試みに反対する。日米両国は南シナ海における、中国の不法な海洋権益に関する主張及び活動への反対を改めて表明する」と言及した。

口だけのトランプ前大統領より、バイデン大統領の方が実効性を伴なっている。これは日本にとっては千載一遇のチャンスである。菅首相は、今後、争いの火種にならない様に、また近海の安全を期すために、尖閣諸島に港湾をつくり、建造物の設置や公務員の常駐を実行するべきである。そして最新鋭で世界最大級の電気通信機能を備えた灯台を建設し、世界中の船が安全に航行できるよう寄与するべきである。この機を逃してはならない。

いくら中国が大国であっても、米国と本気で一戦を交えるほどバカではないだろう。軍事力を増し、経済成長も著しいかもしれないが、国民の生活といった民度などを含めた総合力を見れば、まだまだであろう。

共産党が力で国民を抑えてはいるが、内部が脆弱である。米国が率先して日本と共に、中国に対峙するというのだから、このチャンスを逃す手はない。このまま中国に尖閣諸島の上陸を許すようなことに成れば、竹島の二の舞になってしまう。

日本は島国であるから小さな島の一つでも、失えば領域が大きく変わって来る。漁場が小さくなるし、原油や天然ガスといった天然資源の開発にも大きな影響を及ぼす。また、何より地政学的にみても、国防の要となる戦略的な構図を塗り替えることに成り兼ねないのである。

逆をいえば、中国にとっては、豊富な天然資源を得られるうえ、対米の防衛ラインとして勝手に主張している第一列島線や、沖縄に駐留する米軍や台湾を牽制するのに有益と成る。

中国共産党のやっていることや発想は海賊行為に他ならない。中国船が日本の近海で金になるからといって、サンゴ礁を根こそぎ盗って行ったのは記憶に新しい。正に海賊の所行であった。


首脳会談後に共同記者会見をした「ヨシ」と「ジョー」


要は自主防衛力

それにしても米国が守ってくれるからといって喜んでいる場合ではない。米軍は金で雇った傭兵ではないし、永遠を約束してくれた守護神でもない。バイデン大統領は、アフガニスタンの駐留米軍を完全撤退させると表明した。それは対中政策や他のことで手が回らなくなったからだという指摘もある。また、日本を最優先して首脳会談に臨んだのは、台頭する中国に一国だけでは対応仕切れないという米国の「弱さの裏返し」であるという見方もある。

尖閣諸島に米国の対日防衛義務が適用されると明文化された一方、中国は強い反発を見せている。また、共同声明が台湾に軍事的挑発を繰返す中国に対して言及していることに、「強烈な不満と断固たる反対」を表明している。中国は日本に対して、「大国間の対立に巻き込まれないように忠告する」と警告してきた。

今後、中国が台湾に侵攻するような有事に至ったら、米国の求めに応じて日本はどこまでの事がやれるのか。

日本はいつまでも米国に追随するだけでなく、自国の強い意志によって自国を守り、同盟国及び友好国を守れるようにならなければならない。

共同声明には「日本は同盟及び地域の安全保証を一層強化するために自らの防衛力を強化する事を決意した」ということも記された。菅首相は、言葉倒れに成らぬように実行性を高めなければならない。

それには国民が自分の国を守るという覚悟を持つことが欠かせない。日米首脳会談が支持率浮揚のパフォーマンスだったと言われないよう理解を求め頑張って頂きたい。

 


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