(敬天新聞 令和3年9月号 1面)
自民党の驕り |
安倍前総理の「桜を見る会」の不起訴に対して、検察審査会が「不起訴不当」の物言いを付けた。
これは安倍前総理の後援会が主催した超一流ホテルでの食事会で、一応五千円の会費は徴収したものの、足りない分の四年間で計七百万円を安倍事務所で負担した、というもの。やはり一強と言われた独裁政権を敷いてる最中のトップに対しては、特捜と言えどもそう簡単には切り込めない。
しかも当時は検察庁ナンバー2の立場の黒川弘務検事長が、政権の用心棒をしていたのである。情報も抜けていたであろう。予算も人事権も握られては、如何に特捜と言えども太刀打ちできまい。
しかし、状況は変わってきた。当時の政権の用心棒と言われていた黒川弘務氏は退任し、安倍前総理も体調不良で辞任した。三本の矢として支えていた二階幹事長と麻生副総理兼財務大臣も今や政権運営をめぐって対立する立場になり、もう一本の矢であった菅総理もやること為すこと外れだらけで、「死んだ鯖のような目」をしてると言われる始末である。
確かに最近の菅総理の目はそのようにも見える。覇気がない。官房長官時代の方が生き生きとしてた感じがする。地位が人を作るという言葉もあるが、地位に溺れてしまう人が居るのも事実だろう。要するに役職が重すぎたのである。
安倍前総理も持病が再発したという理由で二度目の辞任をしたはずなのに、今ではすっかり三度目を狙わんばかりに活発に活動している。重職から解放されての健康回復とは思うが、仮病で逃げたのではないかと思ってる人も多いと思う(口にこそ出さないが)。
安倍前総理に比べて菅総理が叩かれやすいのは、三本の矢がいないこともさることながら、官邸ポリスの実態が暴かれて活動に支障を来したことだろう。 警備や調査と言えどもやり過ぎれば、国民の反感を買うことは有り得る。何でもそうだが、良くも悪くも長くやることで綻びは出る。その尻拭いの状況での指名総理であったし、時代のニーズに合わなくなった老人が二人居て、好き勝手なことを言う。
この二人に何を言っても、暖簾に腕押し状態で、叩いても響かない。だから、総理として盤石な地盤が出来ていない菅総理をマスコミは叩くのである。
人は毎日の生活の中で、間違いだらけ、誤解だらけの生き方をしている。マスコミに集中的にターゲットにされれば、いくらでも上げ足を取ることはできるだろう。
それにしても原稿読み間違いが多すぎる。雌雄を決するような質問なら、官僚が作った文章の棒読みでもいいが、簡単な質問なら自分の考えで喋ってもいいと思うが、余りに棒読み過ぎるから、国民の心に響かないのである。
国民の怒りと元凶 |
オリンピックは可もなく不可もなく終えはしたが、それで菅総理の人気が上昇することはなさそうである。何か質問されれば、「安心・安全な大会を目指して」と言うだけで、「どのように担保しているのか?」という問いには一切答えられない。それどころか、天皇陛下の御前で、ぼけーっと座ってる姿が全世界に流れた。あれが菅総理の一世一代の汚点である。
国民は開催が決定したから結果的には協力したが、コロナ禍の中での開催の意義や安全・安心に対しての具体的な説明は一度もないままの進行に不安を持って臨んだし、「オリンピックが始まれば国民は熱狂して、夢中になる」と言う風でもなかった。
確かに選手の活躍には一喜一憂した。感動もあった。選手には「ありがとう・ご苦労様でした」とは言いたいが、これで感染が拡大したら、菅総理と同様に安倍前総理の責任も問うべきであろう。
選手たちの気質も、雰囲気も、個性も、ずいぶん変わって来た。国対国のスポーツの戦いというイメージから、個人の大会と言う感じになってきた。ジェンダー論が全てに影響してるのだろう。
金メダルを取って市長に報告に行くと「かじる」バカ市長もいる。本人は市民に受けると思ってやったパフォーマンスだろうが、本当に軽い男である。つい一年前に、愛知県知事の解職請求運動で署名偽造事件が発覚し、その中心的人物の一人で話題になったばかりのくせに、とにかく目立つことが好きで、わざとらしい名古屋弁も受けてると勘違いしている一つ覚えだろう。
今や「三蜜は避けましょう」、「できるだけ外出は控えましょう」と言う時期である。その理由は人との濃厚接触を避けるためである。その為に苦しいマスクまでしているのである。
メダル授与を行う役員のオリンピック関係者でさえメダルに触らず、本人が自分で取るスタイルで臨んでいるのに、表敬訪問してメダル獲得の報告に来た選手のメダルにかぶりつくなんて、笑いを取るために売れない三流以下の芸人がする発想である。
市政であれ県政であれ国政であれ、長く政権を運営する立場になれば、右だ左だという政党に関係なく驕りは出て来る。公明党のように創価学会と言う宗教団体で持っている政党であっても、長く与党に与していれば、業者と役所の仲介に入ったりするのである。
遠山清彦元議員は、東京都の行政に抜群の力を持っていた藤井富雄元公明党都議に非常に可愛がられていたらしい。そういうパーティーを何度か見たことがある。最近、藤井富雄元議員が亡くなったというニュースが流れていたので、そういう睨みが効かなくなったというのもあるのではないか。時代は知らず知らずのうちに確実に流れているし、社会の形成、勢力、人脈も確実に変わって行く。昔、成功した人ほど、変われないのも事実である。
横浜市長選挙ではまさかの野党推薦候補が勝った。これは確実に総選挙に繋がる結果になるだろう。自民党は狸爺体質を一掃して若手に代替わりし、女性登用に努めなければ今回は野党に惨敗するのは間違いない。
マスコミは菅総理の地盤で菅総理が推す議員が負けたから、菅総理の不人気が原因のように記事にしているが、今回の負けは間違いなく、安倍晋三前総理への批判である。
安倍一強の驕りと未だに説明責任を果たさない、責任を取らない姿勢に、国民は怒っているのである。