フージャースホールディングスの不可解なバイオマス発電事業案件

(敬天新聞 令和3年9月号 2面)


多大な損失の訳

株式会社フージャースホールディングス(代表取締役 廣岡哲也)という会社が、既存株主に対して新株予約権を割り当てて資金を調達し、その金を新規事業に投入すると発表しながら、わざと多大な損失を計上し会社に損害を与えるという株主無視の非道を行っているという情報提供があった。

フージャースは不動産業を営むれっきとした東証一部上場企業(証券コード3284)なのであるが、そのやり口は非常に巧妙である。勿論、単に損するだけでは何の意味もないのであるから、会社は損しても担当者は得するという極めてオーソドックスな悪事が行われている。

それには必ず社外に担当者と組んで儲けを上げようとする相方が存在する。今回の話は融資型クラウドファンディング事業者大手のK社(代表取締役K氏)がその相方である。

融資型クラウドファンディングというと、先般取り上げた株式会社テクノシステム(代表取締役 生田尚之=詐欺容疑で逮捕)に被害にあわされたSBIソーシャルレンディング株式会社(代表取締役 宮地直紀)が同業者であるが、なんとK社は年利6%以上の高配当を出しながら2013年以降、元本回収率100%を続けている。

まあ、今回の悪事のカラクリがわかってしまえばなるほどと思わないこともない。要するに、フージャースの担当者はどのように金が使われたのか業務監査を避けるためにK社の匿名組合スキーム(合同会社〇〇シリーズ→税理士法人シリウス内に多数存在。その各々全ての業務執行社員 塩谷一樹税理士=2019年自己脱税で税理士業務禁止処分)を使用して会社の金をつぎ込み、K社と利益を分配したのである。有価証券報告書等から、その総額約50億円超と推測される。

新規事業という名目で掲げたのは、バイオマス発電事業であったが、業界関係者は誰でも知っているとおり、バイオマス発電所は実際に開業にこぎつける事例は極めて少なく、事業権利(ID)を高額で転売するブローカーが跋扈する世界である。例えるなら土地コロガシのようなもので最後に誰かがババを掴む。

今回ババを自ら進んで掴んだのがフージャース(の担当者)だったのである。 そしてその担当者とは(1人と限らないが)廣岡哲也社長である。なぜなら案件資料を確認すれば、今回のようなスキームは絶対採用しないからである。決済権者が新規事業の中身を精査しないなんてことはあるまい。

株主の利益を無視し、従業員をも裏切り、多大な損失を出す材料として使われたバイオマス発電事業案件だが現在も魑魅魍魎が事業権利(ID)転売を目論んでいる。

現在の事業権利(ID)所有者は以下のとおり。例によってまたもやK社の融資付き合同会社2社となっている。

▼神栖バイオマス発電開発合同会社 ・業務執行社員 代表社員 塩田卓也(フージャース元従業員) ・業務執行社員 K氏(K社代表取締役) ・業務執行社員 嶋田智樹

▼合同会社グリーンエナジー神栖 ・業務執行社員 代表社員 伊地知宣雄(株式会社サンエレメント代表取締役) ・業務執行社員 瀧田桜司 ・業務執行社員 枝潤(K社執行役員 弁護士)

塩田は過去テクノシステムの名刺も使っていたようだ。以上2社は令和2年7月28日設立。フージャースが事業撤退のため匿名組合持分売却発表は令和2年8月3日。

受け皿を造って、再販できるようにフージャースに損切りさせて値段を下げた。

フージャースの損失は発表では約32億円だが、実際はもっと多額だろう。K社は物凄く助かったね。元本回収100%が継続発表できたのだから。

廣岡社長の取り分はさぞかし高額になっただろう。2匹目のドジョウを探してまたもや事業権利(ID)コロガシやる気マンマンのようである。新株予約権で資金調達→新規事業の名目で簿外に金を流出させ自らのフトコロへ→特別損失計上で事業撤退→早期の決断として株主の同意を得る。このパターン調べてみると結構多いかも。


?フージャースホールディングス 廣岡哲也社長


カラクリを解く

このフージャースホールディングスとK社が手を組んで投資家を欺き、一部の者が濡れ手に粟の儲けを手にしたと思われるバイオマス発電事業案件は、両社に対する投資家の属性から発覚しにくいものになっている。

個人投資家が資金運用する場合、元本が原則として保証されていて金利が付く銀行預金のような安全性を重視する者をAタイプ、株など元本保証は無いが儲かったときの利益の大きさを重視する者をBタイプとする。

フージャースの株主はBタイプ。新株予約権(ライツ・オファリング)は既存株主に対してフージャース株を安く手に入れられる権利で、第三者割当増資と違って既存株主の利益の希薄化を生じない。

ただ、発行会社(フージャース)が資金を集めるには大義名分が必要なので新規事業をぶち上げて期待感を株主に持たせる。もともとBタイプは儲かったときの利益重視だから新規事業という言葉に期待を抱く。そして、儲けが大きい可能性がある反面、事業失敗の場合は元本を損なう所謂ハイリスクハイリターンであることは理解している。但し、株主にとっての利益とは株価の上昇であり、株主配当金である。

だから株主の多くは、新規事業の早期撤退を経営陣が選択しても、思い切って損切りをしてウミを出し切るほうが株価下落への影響が少ないと考えたがる。故に経常損失ではなく、特別損失として計上する。「恒常的に損失が出るわけじゃなく今期限りですから来期以降に期待してくださいね」とも言わんばかりに。株主も本業はしっかりしているのだからまあいいかーと深く追求しない。

K社のバイオマス事業ファンドへ投資した者はAタイプ。この手のソーシャルレンディングは元本保証ではないのだが、昨今のあまりに低い預金金利に辟易しているAタイプ個人投資家たちが元本回収率100%の実績に心惹かれ、元本が保証されているかのごとく錯覚を起こしてK社に金を投げるのである。注目しているのは元本回収率100%だけである。

バイオマスだろうが太陽光だろうが案件のリスクや実現性なんか全く関係ない。元本保証(実績として)年利6%超という預金利息の数百〜数千倍の配当にAタイプ個人投資家が殺到するのも無理はない。

一方、高配当を実現するためにK社は年利8〜12%(謄本の抵当権で確認)で発電所の事業権利(ID)転売企業に貸し付けている。この低金利下において、元本回収確実つまり支払能力抜群の優良企業がこのような高金利で借りるわけがない。

謄本で確認できるが、K社が融資している企業は資本金僅か1000円〜10万円程度の合同会社である。事業権利(ID)を実際に持ってなくても関係ない。お仲間の税理士法人シリウス内に多数の合同会社を集め、塩谷一樹税理士を職務担当者に指定し、合同会社間で事業権利が移動したことにして融資金+利息を別の合同会社が引き継いでいく。

但し、どこかで発電所事業に意欲のある実体ある企業に売り抜けないと元本回収100%神話が崩れてしまう。

     (三面に続く)



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