(敬天新聞 令和4年7月号 2面)
新理事長誕生 |
創立130周年という大切な節目に、重大な汚点を残してしまった日大が、田中英寿前理事長の後任であった加藤直人理事長兼学長を6月30日付で退任させ、7月1日開催の理事会で、直木賞作家の林真理子女史を新しい理事長として正式に承認する。
林真理子女史は、田中体制のやり方に心を痛めていた一人だった。外から見るのと、実際に中に入るのとでは、雲泥の差はあろうが、風通しが良くなるのは間違いないだろう。
左から加藤前理事長 林新理事長 末松文科大臣
日大ОGだから母校愛は当然あるだろうが、「外に居た人」と言うのが味噌である。中に居た人では、誰がやっても「前体制」の改革は無理である。中に居た人たちでは、何らかの柵があって、「あちらを立てれば、こちらが立たず」という状態の連鎖で、結局は見えない圧力に潰されてしまう。事実、加藤理事長の下では、決別宣言した舌の根も乾かぬうちに、田中前理事長は日大関連施設に出入りしたり、副学長に公用車で持病の薬を届けさせていたことが発覚し、世間の疑念に拍車をかけた。
これまでの悪いイメージを、取り敢えず見栄えだけでも整える効果は林真理子女史にはあるだろう。
ところで、林真理子女史を誰が推薦したのかということが話題になっている。林新理事長は田中前体制を批判していた。特にアメフト危険タックル事件の時の選手の潔さに対して、監督、コーチの対応、説明責任を果たさない田中前理事長の対応を公に批判していた。それが本心であり、常識的な判断を持ち合わせている人なのは間違いないだろう。
その林真理子女史を、「理事長に推薦したのは、読売新聞の山口寿一社長じゃないか?」と筆者に言った人が居る。山口氏は相撲協会の理事も務めているし、日本新聞協会の会長でもある。読売巨人軍で取締役広報担当でもあった。
確か今年2月2日に亡くなった二代前の社長で日大文学部卒の内山斉氏も大相撲の横綱審議委員会委員長だった。読売新聞と大相撲とは縁が深いのである。そういう理由もあって、山口寿一社長が田中人脈の一人として語られることもあったのである。
背景を考察 |
そこで考えられることは、東京ドームに大きな日大の看板がある。あの球場広告と日大を繋いだのは、元理事井ノ口忠男被告の姉である橋本稔子女史である。読売新聞社にとっても日大広告の影響は大きかった筈だ。東京ドームの広告だけでなく、読売新聞への広告や読売系の日本テレビでCМも頻繁に流れた。日大は巨人軍のオフィシャルスポンサーにもなった。その前に大手マスコミがタブー視していた日大田中理事長の裏金疑惑を追及していたのが読売新聞である。
橋本稔子女史が日大に入り込んで広報で采配を振るようになって、その甘いひと時(広告収入)が、山口社長も忘れられないのだろう。だから田中体制が潰れても日大との関係は壊したくないのかもしれない。あくまでも現時点では、筆者の推測の域である。
日大は、取り敢えず外部との事業を取引する部署に限っては、「田中一派」(ちゃんこ屋詣でをした人々)を外すことが喫緊の課題だろうし、事業者でも、裏金を渡したり、井ノ口被告と家賃を払う賃貸契約をした業者など(全国警備・サンアメニティ)は一掃すべきだろう。
勿論、日大の広告利権を握るエルフ・エージェンシー社長の橋本稔子女史も決別対象者であろう。橋本稔子女史は、田中前理事長の妻である優子夫人の懐に入り込み、弟の井ノ口被告が大学事業に入り込む切っ掛けを作った。言わば日大事業部を牛耳る井ノ口被告の立役者だ。山口組の二代目宅見組の入江組長に直電するのが得意で、それを間近で見た教職員は黙ってしまうのだそうである。そういう背景を経て、これまで日大の広告費10億円を握って、映画作りにまで精を出していると言われてきた。
この際、全ての契約を見直して、大学にプラスになる物は残し、マイナスになる物は切るべきである。
それから、井ノ口被告は保釈条件で、誰と接見が禁止されているのか知らないが、全国警備保障株式会社の上笹貫剛社長と永田町のキャピトルホテル東急で会っているところを関係者に目撃されている。上笹貫剛社長は「ワインレッドのトヨタ・アルファード」に乗っていたらしい。意外と突飛な嗜好らしい。全警は井ノ口前理事を通じて警備を請け負っている企業である。都心の高級ホテルでいったい何の話をしていたのだろうか? まだ田中前理事長や井ノ口被告の影響力が残っているという噂も満更ではないようである。こんな不条理を見逃したら文科大臣が赤っ恥を掻くことになるだろう。先ずは林真理子新理事長の日大愛と発信力に期待することにしよう。
全国警備保障(株)上笹貫剛社長とホテル東急に駐車中の愛車ワインレッドのアルファード |
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